東映アニメーションが新しい映像表現を目指した「画ニメ」は、アニメより少ない絵と斬新な映像表現を組み合わせた意欲作が並ぶ企画シリーズだ。『ざくろ屋敷』は2006年に発表された「画ニメ」の一作品である。フランスの文豪バルザックの短編小説『ざくろ屋敷』を原作に、若手映画作家の深田晃司さんが脚本監督を、画家の深澤研が絵画・美術を担当し、印象的な映像に仕上げた。 この画ニメ『ざくろ屋敷』が、この夏にバルザックの旧居でもあるバルザック記念館で上映されることになった。合わせて原画展、そしてクリエイターの講演会を行われる。東映アニメーションではこれを異例の抜擢として紹介している。 『ざくろ屋敷』は、19世紀フランスのロワール河の近くにあるざくろ屋敷を舞台とする。その屋敷に住む過去の分からない夫人とふたりの男の子、美しい風景のなかで死期迫る夫人の姿を描く。 画ニメ『ざくろ屋敷』は、この物語をテンペラによる静止画とナレーションで表現する。作品制作にあたっては、現存するざくろ屋敷の取材も行い、物語を映像として再現した。作品は発表以来、映画評論家や仏文学者からの賞賛を集めた。そして、2008年にパリで開かれたKINOTAYO映画祭で、ソレイユドール新人賞を受賞、フランスでの高い評価を勝ち取った。こうした評価が、今回のバルザック記念館からの招聘につながった。 映画の上映は6月19日17時からバルザック記念館で、深田晃司さん、深澤研さんのふたりによる講演と共に行われる。また、原画展は7月1日より記念館のギャラリーを会場とする。 さらに作品は7月には、同じパリのパリスシネマ国際映画祭でも上映される。原作者の国で、作品の評価はますます拡大しそうだ。ざくろ屋敷 /http://www.lagrenadiere.jp/画ニメ /http://www.ganime.jp/