「コンテに縛られると見落とす」 「アサルトガールズ」の押井監督 | アニメ!アニメ!

「コンテに縛られると見落とす」 「アサルトガールズ」の押井監督

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 押井守監督の劇場最新作『アサルトガールズ』が、いよいよ12月19日に公開される。10月19日の記者会見では、映画の内容が明るい感じになったと述べていた。それに関する少々掘り下げた話について、カーネル役の佐伯日菜子さんと共に会見後に伺えた。

 押井監督は、撮影前と後についての印象を「(映画の)準備している間にちょっと変わって、撮影してる間にまたちょっと変わって、編集やったらまた変わって、音響と仕上げやったら完全に変わっちゃった。最初はもうちょっとハードな感じかなと思ってた」と話した。
 一方、佐伯さんは「具体的に変わったというのはなかったかも。現場で指示的なものって、絵コンテはあるんですけども、結構絵コンテと一緒じゃなかったですかね?」と答えた。

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 「カーネルに関してはそんなに変わってないんですよ」と押井監督は続けた。「ただ編集の感じで、(主人公の)グレイとのケンカの部分ではあるかも知れない。脚本で読むのと実際に編集して画面になるのとで、間というか合いの手が入ってくると変わってくるんだよね。やっぱり面白い間を優先的に残していくわけでしょう」。
 『アサルトガールズ』の世界観設定は『真・女立喰師列伝』の一篇『ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子』から続いているため、カーネルもそれに準じている。「ある程度想定してる部分もあったけれど、あの3人の中では彼女が一番タフなんですよ。ただカタツムリの辺りから変わったかな」。
 劇中で印象的なシーンは数あるが、カタツムリのシーンも各キャラクターの一面を特徴づける名場面となっている。「昔と違って今はその場で映像チェック出来るわけで、見たらみんなカタツムリとの絡みが良かったわけですよ。タフでタイトなキャラクターなんだけど、意外と子供っぽいというか。それも日々変わっていくんで、3人の撮る順番がバラバラだから、最終的には編集でしか決着が着かない」と撮影していくうちに変化していった欠かせない要素の1つとなったようだ。

 また「ケンタッキーの延長線上で、タイトな映画になるのかなと思ってたんだけど、凛子が大きいかな」と撮影中に変化が生じた一因を挙げた。菊地凛子さんが演ずるルシファは天然系のキャラクターだ。「そういうキャラクターを生かそうと思うと、どうしてもバランスが悪い。昔だったら都内に持って帰ってラッシュ見て、見るまで分からない。その場で見れるってことは現場が変わってくるってことだから。それが身軽に出来るようになった」。

 それから押井監督は「実写映画ってコンテじゃないなってのが分かってきた。コンテに縛られていると、現場で一番いいものを見落としてしまうってのが多いんで」とも述べた。撮影に臨むに当たり、プロットを一晩でA4に数枚、「今まで描いた中で一番殴り描き」という絵コンテを制作会社の会議室で6時間くらいで描いたという。しかしこれも、スタッフがスケジュールを決めるためや、何をするかを示すものでしかなかった。逆に「CGとかアニメとか実際に作る人間は、コンテに影響されるから面白いカットがあったらその通りにする。カッコよくする方向はみんな得意なわけだけど、外すってのが意外に難しい」と、実写との違いについて考察した。

 最後に押井監督は、自身が気に入っている映画『ロード・オブ・ザ・リング』を念頭に置き、日本でファンタジーを制作するための心構えにも触れた。日本人が体験してきたファンタジーはゲームやSFといった国外のものであることから、日本語でやると違和感があるという。
 そして「ファンタジーとして仕上げるための1つの回答が女優さんをメインにやるということ。男で撮るより遥かに難しい」と話し、さらに「仮想空間の断りのなかでしか、たぶん日本人はモンスターと戦う世界を獲得できない」などといった制作中の模索を語った。
【真狩祐志】

『アサルトガールズ』 公式サイト /http://assault-girls.nifty.com/

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