今年4月にヤフーの子会社となったGyaOが、そのサービスを全面刷新した。9月7日午後より、GyaOはサイトの全面リニューアルを行い、これまでの黒と赤をベースにしたサイトからより親しみやすいホワイトを基調としたデザインに様変わりした。 変わったのはデザインだけでない。GyaOはヤフーグループの映像セクションとしての位置づけを明確にし、ヤフーのポータルサイトからの連動を開始した。一方で、これまでポータルサイトの中にあったYahoo!動画はなくなり、GyaOに統合された。 リニューアルに伴いビジネスモデルも大幅に変更される。これまでGyaOは多数のユーザーを持ちながら、広告事業をベースでの黒字化に至らなかった。 今回はこの反省から、新たに映像の有料販売を導入する。GyaO!ストアである。最新の映像はプロモーションを兼ねた無料配信をし、一方でアーカイブ的な作品は有料販売で視聴可能になる。 無料配信の広告もこれまでのテレビ広告型の番組挿入型だけでなく、映像画面と画像の枠の外を利用したインタラクティブヴィジョンやページ全体の企画と結びついたもの、さらにインターネットならではのターゲッティング配信を導入する。 こうした広告は、これまでヤフーとGyaOの双方に技術を提供してきたマイクロソフトのSilverlightの最新バージョン3.0を積極的に利用することで可能になる。 今回の全面リニューアルに合わせて、映像コンテンツも大幅に強化される。先週、GyaOに出資をすることを発表したフジテレビ、日本テレビと連携するだけでなく、このほか複数の大手メディアと事業提携を交渉中だという。 また、9月7日には、東京・六本木のヤフー本社で記者会見が開かれ、GyaOの代表取締役社長の川邊健太郎氏のほか、ワーナー・ブラザーズ テレビジョン日本代表の小田充氏、角川グループのネット映像事業会社ムービーゲートの代表取締役専務原田氏、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部長大場章弘氏が出席した。 新サイト公開に合わせたアニメ作品の目玉として、2007年に劇場公開された『時をかける少女』を初めて無料配信する。さらに『幽☆遊☆白書』や、Yahoo!動画から引き継ぐかたちで吉浦康裕氏の最新作『イヴの時間』第6話を初公開するのも見逃せない。 実写映画ではワーナー・ブラザーズから、『チャーリーとチョコレート工場』、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』といった大型タイトルが登場する。大きな話題を呼びそうだ。 記者会見では川邊氏は、同社のコンテンツが著作権をクリアした違法性のないものだけで構成されることを強調した。そして、今回の発表で「動画」という言葉を用いずに「映像」という言葉を用いるのも、動画配信には合法、違法を含めた幅広いコンテンツが含まれている印象が強く、それと差別化するためだと言う。 こうした差別化は、動画配信で先行するYouTubeやニコニコ動画を強く意識したものであることは間違いない。実際に川邊社長は、GyaOの新しい戦略を立てるにあたりYouTube、ニコニコ動画への対抗策を考えたようだ。 こうした差別化は、実はGyaOが初めてでない。米国で大きな成功を収めつつある動画配信サイトHuluが同様のコンセプトを持っているからだ。投稿動画を受けつけず、有力コンテンツホルダーの合法コンテンツだけを一方向に送り出すHuluは、巨大メディアの共同出資により運営されている。 動画コンテンツを厳選すること、合法コンテンツのみで、構成することで、そうした問題に敏感な大企業、所謂ナショナルクライアントの広告を獲得することが目指せる。これによりグーグルの子会社で、小規模広告を積み上げるYouTubeとの差別化も可能になる。GyaO! /http://gyao.yahoo.co.jp/GyaO!ストア /http://streaming.yahoo.co.jp/
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