東京国際ブックフェア2009 姿の見えないマンガビジネス | アニメ!アニメ!

東京国際ブックフェア2009 姿の見えないマンガビジネス

 7月9日から12日まで、国内最大のブックフェアである第16回東京国際ブックフェアが東京ビッグサイトで開催された。世界30カ国、800社が名を連ねる展示会場は、国内の大手出版社も数多く出展を行う。
 しかし、そうした巨大さにも関わらず、国内書籍・雑誌市場のおよ

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tokyobook1.JPG 7月9日から12日まで、国内最大のブックフェアである第16回東京国際ブックフェアが東京ビッグサイトで開催された。世界30カ国、800社が名を連ねる展示会場は、国内の大手出版社も数多く出展を行う。
 しかし、そうした巨大さにも関わらず、国内書籍・雑誌市場のおよそ1/3を占めるマンガ関連の存在はは影が薄い。マンガ出版社のブースはあまりなく、大手出版社のブースでもマンガを大きく扱う場所は少ない。

 ブックフェアの一般的な目的は、国内外のビジネス関係者とのビジネスの拡大である。しかし、マンガ出版関係者にとっては、ブックショウはビジネスにとってさほど重要視されていないようだ。これは、マンガ出版が書籍出版業界の中で一線を画した独自のビジネス構造を持っていることを示している。
 また、海外向けを考えた場合、基本的に大手出版社のマンガ作品は需要のほうが多く、売り手市場ということも理由かもしれない。マンガビジネスには新規のビジネスパートナーを開拓するよりも、現在のビジネスパートナーとの事業をいかに発展させるかが重要で、見本市場は必要とされてないとも考えられる。

tokyobook5.JPG そうしたなかで今回の東京国際ブックフェアで、マンガジャンルの中で存在感が大きかったのは小学館であった。小学館は会場内に複数のブースを設けており、そのひとつが青年コミックのみにあてられていた。
 正面に掲げられたのは『MW』や『カムイ外伝』、『20世紀少年』といった実写映画化作品、さらに『クロスゲーム』といったアニメ化作品である。クロスメディアのプロモーションの場としてブックフェアの会場を利用しているようだ。

 マンガ関連が量的に多かったのは、角川グループパブリッシングのブースである。マンガ書籍やライトノベルを得意とする角川グループの一角は、『エヴァンゲリオン』や『涼宮ハルヒの憂鬱』などマンガ・アニメファンにお馴染みの華やかなイラストのポスターが飾られている。

tokyobook3.JPG 手塚プロダクションのブースも、最新のデジタルメディアを利用して自社の作品を紹介していた。こちらも豊富なキャラクターによる華やかな演出で、来場者の人気を集めていた。
 しかし、手塚プロダクションの力点は印刷出版ではなく、従来作品の新世代デジタルメディアでの活用である。ネットや携帯、旧作のカラーリングなど、次々と新しい分野に乗り出す手塚プロダクションらしいものだ。

tokyobook6.JPG 実際にマンガ分野の存在感が薄い中で、デジタル分野はやや例外かもしれない。例えば集英社のブースでは、電子コミックスサイトのマンガカプセルやshonenjump.comを正面に置きアピールしていた。新しいビジネス分野では、新しいビジネス展開を求める動きがあるようだ。

 デジタルパブリッシングは会場全体でもかなり大きなスペースを占めていた。そこでの主役は出版社でなく、IT関連企業である。
 電子コミックスのビューアーでお馴染みのセルシスや大日本印刷などが存在感を持っている。電子書籍市場では出版市場以上にマンガ関連の占める割合が大きいことを考えれば、マンガはブックフェアおいて姿の見えない主役のひとつとも言えるだろう。

東京国際ブックフェア2009 /http://www.bookfair.jp/
《animeanime》
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