レベルファイブのアニメ的な世界 東京ゲームショウ2008 | アニメ!アニメ!

レベルファイブのアニメ的な世界 東京ゲームショウ2008

 10月9日から12日まで、東京ゲームショウ2008では数多くの新作ゲームが発表された。しかし、そのなかでも最も目を惹いたのは、レベルファイブとそのゲームソフトである。
 それは同社の自社開発するソフトから、非常にアニメ的なものが感じられるからだ。今回、レベル

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 10月9日から12日まで、東京ゲームショウ2008では数多くの新作ゲームが発表された。しかし、そのなかでも最も目を惹いたのは、レベルファイブとそのゲームソフトである。
 それは同社の自社開発するソフトから、非常にアニメ的なものが感じられるからだ。今回、レベルファイブは、新作ゲームソフトとして4つの完全新作タイトル『レイトン教授と最後の時間旅行』、『ニノ国』、『ダンボール戦機』、『うしろ』を発表した。

 一番の目玉は、前作2作品が爆発的なヒットとなった『レイトン教授と最後の時間旅行』であることは間違いないだろう。しかし、アニメ的な立場から行くと、スタジオジブリがアニメーション制作に参加する『ニノ国』がより興味深い。アニメ映画のヒットメーカーであるジブリの作るゲーム映像とは何なのか興味を持たないわけにはいかないだろう。
 しかし、クローズドシアターで上映された『ニノ国』の映像は、驚くほどオーソドックスなスタジオジブリ的なものだった。子供のための冒険ファンタジーで、映像を観ている際にはそれがゲームであることを忘れ、あたかもアニメ作品の予告編かのよう感じさせる。

 それを感じさせるのは、この作品が、2Dセルタッチのアニメーション、一貫したストーリーを持つ点、冒険ファンタジーと日本アニメが得意とする要素をことごとく取り入れているからだ。
 つまり、『ニノ国』は様々な点で、アニメなのである。唯一、そして最大の違いは、ゲーム機を使うこと、ゲーム特有のインタラクティブな機能を持っている点である。
 しかし、これは『ニノ国』に限ったことではない。こうした特長は『レイトン教授』シリーズが、既に持っていた。むしろ『ニノ国』は『レイトン教授』シリーズの延長にあるのかもしれない。こうした特長は、残りのふたつ作品『ダンボール戦機』、『うしろ』も同様である。つまり、レベルファイブのゲームソフト群は、様々な点でアニメスタイルの延長線にある。

 アニメとコンピューターゲームは近年、益々接近していると言われる。しかし、アニメとゲーム接近にはいろいろな局面があり、一様ではない。
 最大のものは、ビジネス的な接近である。人気アニメ作品のゲーム化、あるいは人気ゲームのアニメ化、さらに現在はアニメとゲームの同時開発といったメディアミックスである。
 もうひとつは、技術的な接近である。これは主に3Dアニメーションについてになる。ゲームムービーの中の3Dアニメーションは既にひとつの完成したアニメーション作品となっている。その逆の動きとして、アニメ製作が2Dアニメから3Dアニメーション制作にウィングを広げつつある。

 レベルファイブは、これらとは全く異なった方法でアニメと接近し、融合を始めている。つまり技術的面では、2Dアニメの映像表現の取り込みである。これまでのアニメとゲーム映像の融合が、ゲームムービー3Dの拡張の先にアニメーションがあるのとは対称的である。
 もうひとつは、物を語るアニメのストーリー性である。さらに子供向けのアニメ作品がかつて持っていたハラハラドキドキするような冒険のスピリットをゲームソフトの中で巧みに継承している。
 だからレベルファイブのゲームソフトを見ていると、アニメとゲームの融合と同時に、近い将来にアニメの役割は完全にゲームに取って代わられるのでないかとの危機感さえ持つのだ。

レベルファイブ /http://www.level5.co.jp/
東京ゲームショウ2008 /http://tgs.cesa.or.jp/
《animeanime》
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