フランスの「アニメ雑誌」事情 | アニメ!アニメ!

フランスの「アニメ雑誌」事情

レビュー そのほか

 フランスのアニメファンがアニメを楽しむには、ケーブルテレビかDVDを購入することになる。その際、ガイドとなるメディアの位置づけはファンにとって高いものになると考えられる。たしかにネットで情報サイトを開けば、早い情報を手に入れることはできるが、マンガファンと重なる若いアニメファンにとってカジュアルなメディアといえばアニメ雑誌となる。
 日本では長い年月を生き残った老舗アニメ雑誌と、高い年齢層にむけたよりマニアックな雑誌に二極化している。海外地域の中でもアニメの視聴歴が比較的長いフランスではどのようなメディアとなっているのか、実際に購入して状況を調査した。

【フランスの3大アニメ誌】
 フランスのアニメ雑誌は「AnimeLand」、「Japan Vibes」、「Coyote mag」といったタイトルが並ぶ。このほかにもあるが、創刊しては休刊する雑誌が数々あり、これらが3強と言われている。刊行ペースは月刊から隔月刊が多い。
 価格はだいたい6ユーロ(約1000円)程度である。現在ユーロ高のため、円に直すと高く思えるかもしれないが、コーラが2ユーロ程度という物価を考えると、フルカラー100ページの雑誌はそれほど高くは感じられないだろう。定期購読をするとさらに安くなる。これらは、大きな駅の売店か、マンガ/アニメDVDショップで手に入れることができる。

 「AnimeLand」は20年前は同人誌で日本のアニメを紹介していたというフランスにおけるアニメ雑誌の草分け的な存在だ。アニメの比重が最も高く「~X-TRA」という増刊号も出している。
 「Japan Vibes」はマンガの背景を知るための日本文化ジャーナルやニュースに力を入れている。「Coyote mag」は翻訳マンガの連載や、J-POP・ファッションなどの情報も掲載している。人気作品は各誌で表紙を飾るが、基本的にそれぞれ雑誌の個性に合わせた作品をフィーチャーしている。

 それぞれの誌面は方針により個性が表れているが、巻頭の速報ページはどこも日本の最新事情に力を入れている。
 私が7月初頭に入手した号では、3月の東京国際アニメフェアで発表された「4月新番」をキービジュアル込みで紹介している。若年層の読者を考慮すると、手軽に接することができる情報としては、相当に早いスピードで伝わっていると感じられる。

【誌面の中心は作品紹介とレビュー】
 誌面のアニメビジュアルはキービジュアルの他は画面カットが数点で、版権イラストは基本的にない。その替わり、一つの作品に対しての文章量はかなり多くなっている。内容は作品のあらすじや見所の紹介がほとんどである。これは、ファンがDVDを購入する際のガイドとしての役割を果たすためである。
 大きく扱われる作品は2ページ、小さい作品は1/4ページ程度である。また、作品リリース状況が日本の時系列とかなり異なっているため、日本で少し古めの作品と、日本でも1,2年前に発表された作品が続けて誌面を飾るため、ページをめくると絵柄に違和感を覚える読者がいるかもしれない。

 誌面全体の30%程度はマンガの紹介とレビューに当てられている。マンガの場合は表紙と作中の1ページを載せることが多い。現在、フランスのマンガ出版事情は、ひと月に100冊程度とかなり多いペースで刊行されているため、紹介する点数も非常に多い。最大でも誌面1ページ、小さいと表紙と数行程度の紹介というものまである。
 少女マンガの勢いも強く、分量としては青年+少年マンガで、マンガページの2/3程度、少女マンガがそれらとは別に1/3程度の誌面を与えられている。

 このほか、作家へのインタビューやイベントレポートなどが掲載されている。雑誌によってはゲームの情報を扱っているものもあるが、分量としては日本のアニメ雑誌と同様に、2Dアニメと親和性の高い作品に留まる。
 このほか、タイミングによってはハリウッドの3DCG映画も誌面に現れたりもする。フランスといえば伝統的なコマ割りマンガのバンド・デシネがあるが、これらの誌面では全く扱いがない。

 広告は巻頭や裏表紙などの大きい場所は1ページを使って出版社やビデオメーカーが出稿するが、雑誌中ほどにはショップの広告などもある。
 マンガは専門店でしか手に入らず、その店も限られているフランスでは、消費者にとっても販売者にとっても通販の果たす役割は日本のそれよりずっと大きく、価値の高いものとなっているだろう。
【日詰明嘉】

AnimeLand  /http://www.animeland.com
Japan Vibes  /http://www.japan-vibes.com/
Coyote mag  /http://www.coyotemag.fr
《animeanime》
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