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この日の記者会見に訪れたメディア陣は200名以上、報道陣の多さからも映画に対する国民的な関心の高さが窺い知れる。
舞台挨拶に立った宮崎監督は、「今回はいろいろな意味で幸運な作品だった」と、映画の出来上がりに満足しているようだ。
また、今回は鉛筆で作るアニメ映画にあらためて挑戦した作品であることを強調した。それは、現在のアニメのほとんどがシャーペンとCGで作られているためで、もう一回鉛筆を取り戻そうと思いがあるということである。宮崎監督は、鉛筆が取り戻せたかどうか分からないと言うが、映画のスクリーンに展開した鉛筆とは思えない動きの多い映像に多くのファンが驚かされたことは間違いないだろう。
このほか登壇したのは、山口智子さん、長嶋一茂さん、天海祐希さん、所ジョージさん、柊瑠美さんという、ジブリ映画ならの豪華な声のキャスト陣である。誰もが、宮崎監督の作品に参加出来てとてもうれしいと語る。
なかでも宮崎アニメの大ファンという天海祐希さんは、オファーがあった際には「是が非でもやらせてください」と言ったが、自分の苦手な色っぽさを求められて苦労した様子を紹介した。
また、ポニョ役の奈良柚莉愛さん、主人公宗介役の土井洋輝さんと二人の子役俳優が、挨拶に華を添えた。映画そのまま、明るい挨拶に、多くのファンが映画に続いて心を癒されたに違いない。
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午後からは、日本の映画では異例の初日会見が行われた。会見では数多くの質問が飛び、映画制作の裏側や作品に対する出演者の思いが語られた。
「どんな人に映画を観せたいか」という質問に対して宮崎監督は、「お金を出してくれる全ての人、あの人には見せないとはありえない」と子供だけでなく、多くの人に見てもらいたい気持ちを述べた。山口智子さんは、「どんな大人も子供だった。疲れた人には特にお薦め」とのことであった。
また、監督は今回エンディングタイトルに、スタッフの全てを肩書きなしアイウエオ順で、協力会社も会社の大きさに関係なく20社をアイウエオ順に表記出来たことを画期的ですと紹介した。
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気になる劇場の初日の動員状況だが、全国各地で満員が相次いでいるという。発表によれば19日15時の段階で、ジブリ作品最大のヒットとなった『千と千尋の神隠し』対比83%に達した。
興収304億円のメガヒットになった『千と千尋の神隠し』級のヒットも狙える状況である。この夏全国の劇場に、『崖の上のポニョ』の大津波が押し寄せそうだ。
崖の上のポニョ 公式サイト /http://www.ghibli.jp/ponyo/