大盛況のおもちゃショー 玩具は国際競争力高いコンテンツ | アニメ!アニメ!

大盛況のおもちゃショー 玩具は国際競争力高いコンテンツ

レビュー イベント

 6月19日から22日まで開催された東京おもちゃショーの盛況には驚かされた。前年比46%増の来場者数17万人は、今年12万人の人出となった東京国際アニメフェアを遥かに上回り、19万人の東京ゲームショウに匹敵する規模である。
 これは多くの子供たちや親子連れが訪れた成果であり、「おもちゃ」が依然多くの人々にエンタテインメントとして夢を与える言葉であることを示している。

 おもちゃショーの活況は、イベントショーとしてだけのものではない。4年前までは一般公開されて来なかったように、おもちゃショーの本来の目的は年末年始のおもちゃ商戦に向けたビジネスの場である。
 今年はその商談見本市の参加者も昨年より10%多く、2万人を超えた。大きな成果である。会場では熱心なビジネス関係者の姿多く見かけた。細かくメモを取る人、新商品をみながら相談をする人、国際アニメフェアやゲームショウに比べても、おもちゃショーがビジネスの場として大きな役割を果たしていることが感じられた。
 平日2日間に開催される商談見本市の参加者には、卸売、小売の流通関係者が多数含まれている。自らの商売の根幹に関わる売れ筋商品の見極めは、死活問題なのである。

 また東京おもちゃショーの盛況は、日本の玩具産業の意外な強さを感じさせた。国内玩具産業の市場規模は、日本玩具協会の発表によればおよそ6700億円である。これはゲーム産業の7000億円に匹敵する規模を持ち、およそ2500億円のアニメ産業の2倍以上である。
 少子化による市場の長期低落傾向を指摘されて久しいが、娯楽産業としては依然大きな市場である。そして、玩具産業が未だ巨大産業としてとどまるのは、産業全体が製造業というよりもむしろソフト産業に移行しているからだ。いま流行の言葉を使えばコンテンツ産業だ。

 アニメやマンガ、ゲームが輸出産業として大きく期待される一方で、これまでおもちゃ=玩具産業はコンテンツ産業のひとつとしてはみなされてこなかった。玩具産業は製造業、しかもロウテクノロジーの労働集約的な産業と考えられてきたからである。
 しかし、製造コストで新興国との厳しい競争にさらされる日本の玩具産業の根幹は、常に新しく加わる新しい玩具のアイディアとクリエイティビティである。またアニメやマンガから生まれるキャラクターとの結びつきでもある。
 生産コストだけ見れば、日本の玩具産業の競争力は決して強くない。実際に玩具生産の多くは既に海外でなされている。日本玩具業界は、知的財産によって成り立つ産業である。
 商談見本市には、海外からの来場者も数多くみかけた。海外の来場者の目的も、日本のクリエイティビティが生み出す最新のトレンドにある。

 売上高でみた世界の玩具企業のトップ4は、米国のマテルとハズブロ、日本のバンダイ、タカラトミーの4社である。
 こうした日米の玩具企業の強みは、両国の玩具が映画やテレビ番組、マンガ、コミックス、そして独自のキャラクターに結びついているからである。日本だけでなく世界的に玩具産業は、益々ソフト産業化している。

 玩具のアイディアが優れている点、世界的に人気の高いキャラクターを多く抱えている点で、日本の玩具企業が今後海外で活躍の場を広げる可能性は高い。これまで国内で培ったノウハウハの海外市場での適用である。
 キャラクターの活用では、近年では、バンダイが米国のアニメーションキャラクター『ベン10』で大きなヒットを収めている。また、2007年のタカラトミーの開発・生産する『トランスフォマー』のヒットもある。日本の玩具企業のキャラクターを利用した玩具展開力は、今後海外市場で大きな力を発揮することがありそうだ。

 そして、コンテンツの輸出産業としてみた場合、玩具産業独自の強みもある。それは、海賊版・模倣品対策である。
 海賊版、模倣品は深刻な問題ではあるが、インターネット上に流通する映像や音楽などのデジタルコンテンツに比べれば、商品や販売ルートが見える点で、対策は相対的には取りやすい。

 現在世界的に中小企業の多かった玩具の世界で、M&Aによる再編が進みつつある。また、新興国の玩具企業も付加価値型の商品展開に移行しつつある。世界市場での競争は激化している。それでも日本の玩具産業の海外展開には大きな可能性が広がっている。
 また、生産拠点を海外に移しながらも、知的付加価値で依然世界的な存在感を発揮する玩具産業は、他のコンテンツ産業の今後の在り方に示唆を与えている。今後制作の多くの部分を益々海外に依存しなければいけないアニメ産業は、玩具産業から学ぶことが多いに違いない。
[数土直志]
《animeanime》
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