11月2日から4日まで、米国のワシントン州エヴェレットで開催された2D or Not 2Dアニメーション映画祭で日本の水江未来さんの『LOST UTOPIA』が2Dアニメーション最優秀賞を受賞した。 受賞作品は、水江未来さんが大学院の修了作品として制作したもので、綿密に描かれた模様が音楽に合わせて動くのが特徴となっている。独特の映像と動きが特徴的な作品である。また作品は既に国内外の数多くのコンテストに出品、上映を行っている。今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でも公式上映作品に選ばれている。
2D or Not 2Dアニメーション映画祭は、The Animaticus 財団の運営により昨年創設されたばかりの新しい賞である。しかし、その独特の運営方針により開始当初より大きな注目を集めている。 2D or Not 2Dアニメーション映画祭はそのタイトル通り、2Dアニメーションと3Dアニメーションさらにフラッシュなど幅広い作品を集めた国際アニメーションコンテストである。しかし、このタイトルは実際には2Dアニメーション重視の裏返しである。
主催者のThe Animaticus 財団は、3Dアニメーション全盛の米国において、2Dアニメーション産業の発展を目指して教育、保存、技術の進化を目的とした団体である。およそ100年にわたる2Dアニメーションの発展を理念に掲げている。 だからこの2D or Not 2Dアニメーション映画祭も、2Dアニメーションを重視し、その技術により高い価値を見出している。またこの映画祭のタイトルは、シェークスピアの「To be or not to be:生きるか死ぬかそれが問題だ」を引用しているが、3Dアニメーションに押されて瀕死の存在にある2Dアニメーションの現状を皮肉を込めて表現しているようだ。