9月3日、東京・六本木で、押井守監督の最新実写作品『真・女立喰師列伝』の完成披露試写会と舞台挨拶が行われた。 本作は2006年に公開された押井監督の『立喰師列伝』のスピンオフ企画で、押井監督ほか、計5名の監督で作る6本のオムニバス映画。上映時間は2時間3分で『立喰師列伝』とは違い、全て実写の作品である。 押井監督はこのうち2本の監督を務め『金魚姫 鼈甲飴の有理』では、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役で有名な、ひし美ゆり子さんを主演に据えることを先に考え、何度も頼んでようやく口説き落としたという。 映画の中では現在のカメラマンが探す「伝説の女立喰師」を務め、背中に金魚の刺青を入れ、肌を露わにしている。 『ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子』は監督が10年以上温めてきた企画のプロローグとも言える作品で、近未来の人類が滅亡した地球で謎の生物と戦う女性軍人を佐伯日菜子さんが演じる。 予算の多くを衣装につぎ込み、実写とCGの合わせ技は『アヴァロン』など押井監督の得意とするところで、重火器の魅力を堪能できる。 『荒野の弐丁拳銃 バーボンのミキ』では辻本貴則監督が主演の「水野美紀さんありき」で作った西部劇風のガンアクション。 スタイリッシュな銃撃映像をスタントもワイヤーも無しで演じきっている。押井監督とは2003年のオムニバス映画『KILLERS』以来の競作となる。 『Dandelion 学食のマブ』は、アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の神山健治監督が、現在放送中の監督作『精霊の守り人』バルサ役で主演の安藤麻吹さんを、実写の主演に据えて撮ったミステリ仕立ての短編。 俳優座所属である安藤さんの芝居は、『精霊の守り人』ファンも必見。なお、神山監督自身も全編に渡り、玄人裸足の芝居を見せている。 『草間のささやき 氷苺の玖実』は今回のメンバーで最も若い、湯浅弘章監督の作品。「女優をいかに綺麗に撮るかがテーマだったので、主演の藤田陽子さんの魅力を出し切ることができた。納得の出来だと思っている」と自信を覗かせる。 押井監督、林海象監督らの下で助監督を務めた湯浅監督は、今作で商業映画デビューを飾り、日本映画らしい丁寧な映像の撮り方で藤田さんの美しさを存分に見せてくれる。 『歌謡の天使 クレープのマミ』は『亡国のイージス』『日本沈没』など数々の特技監督としてキャリアを積んだ神谷誠監督待望の初監督作品。ヒロインを演じるのは監督がシナリオ執筆の段階から念頭に置いていたという小倉優子さん。 今回のオムニバス映画の中では最も前作の流れを汲んだ、架空昭和史的な作品。1985年のアイドルブームを、不思議系キャラから一歩前進した芝居で演じ、難解なナレーションもこなす。 押井監督は今回の映画で「立喰師列伝は、SFもアイドルでも何でもできる世界観であることが証明された。女優を美しく撮る企画として日本映画界の定番となってほしい」と語る。 主題歌は『Fate/stay night』のエンディングテーマで知られる樹海が「ロックでレトロな歌詞に新たに挑戦した」と語る『ヒメゴト』である。 『真・女立喰師列伝』は第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」に公式出品された後、11月10日から30日まで渋谷パルコパート3のシネクイントでレイトショー公開される。【日詰明嘉】真・女立喰師列伝/http://www.deiz.com/onna/
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