1992年にアニメエキスポ(AX)は、ファンイベントとして始まった。一方でAXは、ロサンゼル市近郊で開催される地の利よさやその規模の大きさから日米のアニメビジネス関係者の集積度が年々高まっている。 会場には公式な参加はしていない企業のスタッフも多数みかけられるし、日本から訪れるビジネス関係者も多い。AXを起点としたビジネス環境が次第に育ちつつある。こうしたなかでAXは、昨年からビジネス問題を議題とするコンファレンス・パネルを新たに開催している。 今年は、昨年のおよそ2時間のパネルから拡大し、4日間合計6時間、4つの基調講演と4つシンポジウムを開催した。一般客は参加出来ないため参加人数は必ずしも多くないが、活発な議論と質疑応答が行われた。 今回特に印象に残ったのは、開催3日目「映画、テレビ、オンライン、ケーブルTVにおけるアニメの未来」の基調講演を行ったファニメーションのマーケティング・ニューメディア担当上級副社長デブラ・ケネディ氏の講演である。 ケネディ氏は、米国のアニメ産業のなかで幾つかの変化が同時に進んでいるとし、その変化を読み解くことでアニメビジネス全体のトレンドを明らかにした。 彼女が最初に指摘したのは、アニメが米国市場でより一般的になっていることである。これは一般的な印象だけでなく様々な調査の数字を挙げて、アニメへの関心が増していることを説明する。 近年言及されるDVD売上高の減少にもふれている。ケネディ氏によれば、アニメDVDの売上減少はインターネットの影響のほかに、消費者が若年化していることや、様々なテレビ放映でアニメが視聴出来るようになったこともあるとしている。 さらにテクノロジーの進歩もあり、アニメのビジネスはより多様な展開を見せており、今後ははそれに対応することがより重要になるとする。そのなかには、インターネット配信や有料のアニメ専門チャンネル放送の拡大が含まれている。 ただしアニメの多様な利用が拡大すると日本の権利保有者からは、それぞれのメディア利用によるあらたなロイヤリティーを要求されるという問題もあるという。 講演の内容は現在のアニメビジネスの概要を説明するもので、革新的な内容は少ない。しかし、逆に言えば、アニメの一般化、DVDビジネスの苦戦、ライセンス獲得費用の高騰、映像メディアの多様化、作品販売ルートの多様化といったことが米国のアニメビジネス関係者の共通認識であることも理解できる。 特に今回は北米のアニメDVD市場のトップに立つファニメーションのマーケティング担当者の言葉だけに説得力は大きい。 講演が終わった後でプロフィールを確認したところ、ケネディ氏はハーバードのMBAの肩書きを持っていた。 明確な問題設定と論理的な語り口はMBA仕込みなのかと合点が行ったのと同時に、アニメがそうした肩書きに並ぶビジネスに成長していることにも少し驚かされた。アニメエキスポ2007公式サイト /http://www.anime-expo.org/ファニメーション /http://www.funimation.com/
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