京都アニメーションは『Kanon』や『AIR』の丁寧な作品制作、そして昨年の『涼宮ハルヒの憂鬱』の大ヒットで、現在もっとも人気の高いアニメ制作会社のひとつである。 この京都アニメーションが、自社企画のオリジナルコンテンツだけを集めたオンラインマガジン「京アニBON」を創刊し大注目である。 オンラインマガジンといっても内容は、オリジナルのコミックやアニメではなく、そのもとになるアニメの企画が中心である。京アニの才能あるクリエイターが主体となってこれまで生みだしてきた100本にも及ぶ企画のなかから、特に際立ったものを10本紹介している。 武本康弘さんの読みきりマンガ『恋は猪突モーシン!』(仮)はあるものの、大半は見開き2ページのアニメ企画の概要となっている。なかには既にパート2まで作られた京アニのオリジナル企画『MUNTO』の第3弾などもあり、これらの企画がまさに検討されている実現性の高いものだとわかる。 ファンにとっては、憧れのクリエイターの頭の中を覗くような楽しさのあるオンラインマガジンである。その一方で、京都アニメーションによれば、「京アニBON」の目的はそうした企画を公開することで、ユーザーからの生の声を聞くことであるとしている。 ユーザーの声を聞くことで、こうしたオリジナル企画をさらに練り優れた企画にすること、あるいは企画が実現した際の人気をはかるプレマーケティングの役割を目指しているようだ。 しかしその内容もオリジナルなら、インタ-ネットでの公開という方法や、公開目的も非常にユニークで、まさに京アニファンが期待するものだといえるだろう。 近年アニメ制作会社のなかにはオリジナル作品を制作し、自ら権利ビジネスに乗り出そうとする会社が増えている。しかし、原作アニメがアニメ化前にマンガや小説の段階で厳しい競争を勝ち抜いてきたのに対して、オリジナル作品は競争が少なくヒットする確立が原作つきの作品より低いとされている。 ヒットする確立を高めるためにはオリジナル企画をなんらかの方法で選別し、クオリティーを上げる必要がある。今回の「京アニBON」は、まさにそうした目的も兼ねたものといえる。 「京アニBON」に掲載された企画は、どれもそれぞれに魅力的である。近い将来このなかからブラッシュアップされ、映像化される作品が出てくること期待したい。/京都アニメーション /京アニBON /マカイブログ
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