人文分野の研究、評論家活動を表彰する第28回サントリー学芸賞に、竹内一郎氏の『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』(講談社)が選ばれた。サントリー学芸賞は「政治・経済」、「芸術・文学」、「社会・風俗」、「思想・歴史」部門に分かれている。 竹内氏が授賞したのは、このうち芸術・文学部門でマンガ評論が芸術・文学の一ジャンルとして認知されているという点で興味深い。 竹内一郎氏は劇作家であり、また一方で漫画原作活動も行っている。昨年10月に刊行された『人は見た目が9割』も大きな話題を呼んだ。そのほかビジネス書や翻訳書など多数の執筆活動を行っている。 サントリー学芸賞は、1979年に設立された日本で数少ない学術研究の出版物を表彰する賞である。これまでマンガ分野では1994年に大塚英志氏の『戦後まんがの表現空間』が、アニメ分野では2002年に切通理作氏の『宮崎駿の<世界>』がそれぞれ社会・風俗部門で受賞している。 選行委員の一人である文芸評論家の三浦雅士氏は、今回の受賞決定にあたり手塚治虫に端を発する日本のストーリーマンガの文化面での影響の大きさを引用している。 そのうえで竹内氏の功績としてマンガ評論の基軸を提示したこと、著作の手塚治虫論が秀逸であることの2点にふれている。同氏によれば本書は、手塚治虫が何をしたのか、どこが偉かったのかの説明に論理的であるという。 アニメ、ゲームなど数多いサブカルチャーコンテンツのなかで、マンガ評論は研究活動が特に進んできる分野でもある。今回の受賞は、こうした活発に展開するマンガ評論活動という状況も反映しているだろう。/サントリー学芸賞
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