日本文化の国際交流を行う国際交流基金は、『遠近』で海外での日本のアニメを特集として大きく取り上げている。 特集は「特集日本発!アニメの魅力」と題しており、主に世界各地で受け入れられている日本アニメの現状のレポートが中心となっている。これまで比較的情報の多かった欧米・アジアに加えて、オーストラリアや南米、アフリカなど広い地域からの情報を紹介しているのが特徴である。 それに加えて巻頭特集ではアニメーション作家山村浩二氏と編集家竹熊健太郎氏による対談「アニメーションの創造力 テレビアニメからアート・アニメーションまで」が掲載されている。 対談はアニメとアニメーションの違いから始まり、マンガやアニメーション文化、アニメーション作家、海外での日本アニメーションの評価など及んでいる。現在の、世界と国内における日本のアニメとアニメーションを概観するものとなっている。 さらに、この夏に開催された広島国際アニメーションフェスティバルも話題として取り上げている。 『遠近』は国際交流基金が、国際交流の促進を目的に2ヶ月に1度発刊している。国内の主要書店でも発売されており、手に入れることが可能である。 国際交流基金は、日本と海外の文化交流を促進する外務省系の独立行政法人である。日本の伝統文化に加えて文学や芸術、建築、映画、教育など幅広い分野で文化の国際交流を行っている。また、近年はマンガやアニメなどのサブカルチャー分野での国際交流にも大きな力を入れている。 アニメの関連では世界各地での作品上映会を行っており、近年はアニメの専門家による東南アジアや北アフリカを中心としたレクチャーツアーも実施している。さらに、マンガ分野では今年で11回目を迎えるアジア漫画展を開催している。 今回の海外における日本アニメの特集も、そうした新しい分野での国際文化交流の拡大を目指す国際交流基金の事業の一環といえるだろう。 国際交流基金は、長年、海外での文化交流に大きな実績があるだけに、今後の活躍も期待できそうだ。『遠近』13号 「特集日本発!アニメの魅力」より抜粋巻頭対談 アニメーションの創造力~テレビアニメからアート・アニメーションまで 山村浩二×竹熊健太郎レポート ANIME世界を駆けるフランス 果たして偏見は去ったのか~日本アニメの波、この10年 ファブリス・アルデュイニアメリカ アニメビジネスにおける二つの市場 海部正樹カナダ アニメとマンガで教える日本の心 ジェイ・グールディングオーストラリア 10年がかりで実現した『手塚治虫』展 フィリップ・ブロフィ韓国 知られざる日韓合作プロジェクト 宣政佑エルサルバドル 『沈黙の艦隊』から『ちびまる子ちゃん』まで 土生川正篤モロッコ ジブリ作品、12都市を巡回する 葛山優里子世界最大規模のアニメーション映画祭へ~ 平和都市・広島が発信する国際映画祭 島本登夫/国際交流基金