このパネルでは、日本人にも馴染み深い日本のアニメとマンガ関連企業がパネリストに並んだ。ADVフィルム、Vizメディア、4キッズエンターテイメント、Tokyopop、デルレイ、セントラルパークメディア、講談社、ICV2といった企業のCEOやエグゼクティブなどである。 パネルは、進行役グリップ氏が各パネリストに幾つか質問を投げかけ、それに答えていくかたちを取った。しかし、このパネルも質問の趣旨とは話がずれてしまうことが多かったことやパネリストが多いことから全体に散漫になった印象があった。 最初の質問、現在のアメリカでのアニメとマンガマーケットのトレンドについては、思った以上にポジティブな回答が多かった。ここ2、3年、日本から北米市場を見た時には、日本アニメはアメリカで苦戦を強いられているという話が多かっただけに意外感がある。 例えば、4キッズエンターテイメントのCEOアル・カーン氏は、日本には依然、強力で人気があり、成功した作品が多数あると強調していた。そのなかで、『ポケモン』や『オジャ魔女どれみ』、『ふたりはプリキュア』などが言及された。 また、Tokyopopの発行人マイク・キリー氏は、日本のアニメはカートゥーンネットワークを中心に多数放映されている。また、その作品の多様さが魅力だとしている。 一方、こうした状況にも関わらずVizメディア副社長のリサ・コッポラ氏は、市場での競争は激化しており、マーケットも成熟化しているとの指摘を忘れなかった。 さらに、セントラルパークメディア社長のジョン・オダネル氏は、大手放送局で放映されるビッグタイトルだけではなく、TVに放映されないアニメ作品のマーケットの重要さを主張した。 これ以外の話題は、今後のアニメ・マンガ市場やOELと呼ばれているアメリカ人によるマンガ作品・アニメスタイルのカートゥーンなど幅広い分野に及んだ。これらの問題は、主にアメリカ文化の中におけるアニメ・マンガカルチャーについてとの関連で考えられることが多かった。 つまり、現在のティーンエイジャーは、その前の世代よりもアジアのカルチャーの受入れに抵抗感がないという考え方である。それは、かつて日本がハリウッド映画に影響を受けたようなもので、そうした文化が再びアメリカに跳ね返ってきているという。 また、アメリカ人によるアニメスタイルやマンガスタイルの成功する可能性については、積極的に考える意見があった。しかし一方で、現在の世代が作ったそうした作品が大衆に受入れられるとは思わない。そうした作品が本当に受入れられる作品になるのは、今のティーンエイジャーが本格的に作品を作れるようになるもっと先の話だろうとの考え方も示された。 参加者は講談社のスガ・トモコ氏を除くとアメリカ人ばかりで、厳しいなかでもいかにビジネスを展開するかに熱心で、非常に前向きな討論であったように感じた。パネリストマイク・バリフィ (ADVフィルム・シニアヴァイスプレジデント)リサ・コッポラ (Vizメディア・ヴァイスプレジデント)アル・カーン (4キッズエンターテイメント・CEO)マイク・キリー (Tokyopop・発行人)ダラス・ミダウ (デルレイブック・マンガ部長)ジョン・オダネル (セントラルパークメディア・CEO)スガ・トモコ (講談社・海外ライツ部シニアマネジャー)ミルトン・グリッピ(ICV2・発行人)/ICV2グラフィックノベルカンファレンス
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