オンラインゲームファンドは作れるのか ‐JDC信託‐ | アニメ!アニメ!

オンラインゲームファンドは作れるのか ‐JDC信託‐

 近年、映画やアニメを中心としたコンテンツファンドが注目されている。そうした中で、オンラインゲームの分野でも、制作ファンドについて注目が集まりはじめている。
 AOGC(アジアオンラインカンファレンス)2006東京でのジャパンデジタルコンテンツ信託(JDC信託

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コンテンツスキーム.JPG 近年、映画やアニメを中心としたコンテンツファンドが注目されている。そうした中で、オンラインゲームの分野でも、制作ファンドについて注目が集まりはじめている。
 AOGC(アジアオンラインカンファレンス)2006東京でのジャパンデジタルコンテンツ信託(JDC信託)の浜尾知樹氏による『オンラインゲームファンドはつくれるか』は、そうした現状を踏まえたものである。

 講演はコンテンツファンド全体の現状を中心に、そのなかでJDC信託が行って来た様々な資金調達の仕組から始まった。しかし、同社はこれまでパッケージゲームのファンドは設立したことはあるが、オンラインゲームのファンドは設立したことがないという。
 実際、昨年12月にソフトバンク系のモピーダインベストメントが、オンラインゲームの100億円規模のファンドを立ち上げるまで、オンラインゲームに関するファンドは日本全体でもほとんど例がない。
 それは、オンラインゲームが投資対象として通常のゲームコンテンツと大きく異なることに理由もあるかもしれない。

 一見似ているパッケージゲームとオンラインゲームは、浜尾氏によれば投資対象として大きな違いがあるという。パッケージゲームの投資資金の回収は、通常ゲームソフト発売3ヶ月で結果がでる。いわば短期決戦型である。
 一方、オンラインゲームは開発費や開発期間がパッケージゲームよりかかる一方で、長期間の収益が期待出来る。また、ゲーム完成後も、運営費など追加費用も発生する点なども長期間型である。

 そのうえで、浜尾氏は投資対象としてのオンラインゲームの魅力を1)成長性が高く将来の可能性を秘める市場、2)利用者が拡大すれば長期間収益を得ることが出来る、3)Eコマースと連動やコミュニティ、アイテム課金などの追加的な収益が出来ると説明する。

 しかし、問題なのはオンラインゲームファンドが投資である以上、投資した資金の回収と利益が得られるかどうかによる。ところがMMORPG(多人数同時参加型ロールプレイングゲーム)の開発費は通常より巨額で、分散投資がききにくい。現状では投資に見合った利益を得ることが出来ているゲームはごくわずかある。
 今回、こうした論点は講演では触れられなかった。

 浜尾氏は講演の中で、オンラインゲームの投資条件として次の4つを挙げている。
1.人気ゲームのオンライン化などで商品に魅力があり、早い時期に十分な会員数が確保できること。
2.複数のオンラインゲームを運営するオンライン専門業者が存在し、サーバーの運営が安価であること。
3.携帯系コンテンツで開発費が安く、安定的な会員確保の可能性が高いこと。
4.アイテム課金などゲーム利用料以外の収益があり、付加価値の高いビジネスモデルであること。


 こうした条件にクリアーすることが、投資リスクの回避の手段といえるが、ベンチャー企業や中堅以下のゲームディベロッパーにとっては難しい条件も多い。
 講演の多くはMOORPGを前提にした話が多かったが、実際には浜尾氏の条件の3番目、比較的開発費が安い携帯電話向けのオンラインゲームに多くの需要がありそうだ。
写真(c)ブロードバンド推進協議会

/AOGC2006東京 
「オンラインゲームファンドは作れるのか」
2月9日 東京・日本教育会館
/ジャパンデジタルコンテンツ信託  浜尾知樹 
《animeanime》
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