(9/12)「コンテンツビジネス・ハンドブック」出版記念セミナーレポート | アニメ!アニメ!

(9/12)「コンテンツビジネス・ハンドブック」出版記念セミナーレポート

 8月30日に中央青山監査法人が開催した「コンテンツビジネス・ハンドブック」(中央青山監査法人編 中央経済社)出版記念セミナーは、現在のコンテンツビジネスにおけるファイナンス分野の重要性を改めて確認させるものだった。セミナーは3つのパートから構成されてお

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 8月30日に中央青山監査法人が開催した「コンテンツビジネス・ハンドブック」(中央青山監査法人編 中央経済社)出版記念セミナーは、現在のコンテンツビジネスにおけるファイナンス分野の重要性を改めて確認させるものだった。セミナーは3つのパートから構成されており、第1部が「コンテンツ業界の株式公開の動向」、第2部「プロジェクトファイナンス」、第3部「M&A」である。
  
 第1部の株式公開では、最近のコンテンツ産業の株式公開動向と株式公開の適格性が中心となった。株式公開の歴史的な流れは、一部の放送局や映画興行会社などの有力流通企業のみが上場していた80年代、ゲーム企業や出版社の上場が相次いだ80、90年代を経て、現在はコンテンツ企業の大量上場の時代に入っているという。
 その理由は上場基準の比較的緩い新興市場の創設やコンテンツ流通の技術革新、知的財産権の高まりがあるという。また、一方で上場コンテンツ関連企業は売上高50億円以下の小規模企業が多いのが特徴とされた。
 こうした会社規模の大きさが、コンテンツ企業が利益管理に弱いとされる一因かもしれない。セミナーではそうした企業が利益管理をどうすれば良いのかというコンセプトが紹介された。

 第2部のプロジェクトファイナンスは、現在、非常に注目を集めつつある分野である。プロジェクトファイナンスの要は、会社とプロジェクト(作品製作)を切り離すことである。セミナーでは、主にそうした個別プロジェクトの評価の方法と会社との間での会計処理であった。

 第3部の「M&A」はテーマ自体が、面白い選択である。昨今、新聞紙面を賑わすコンテンツ企業のM&Aが増加しているというだけでなく、一般的なコンテンツ企業に取ってもM&Aは重要性が増しているからだ。コンテンツ企業の価値の大きな部分は、才能のある人材や保有する作品の著作権に負っている。こうした資産は企業が資金力だけで一度に築けるものでない。
 そうであれば、資金力のある企業にとって短期期間にビジネスを拡大するには、M&Aは合理的な選択といえるだろう。ビジネスを拡張したい企業にとっても、価値ある資産を抱えている企業にとっても今やM&Aは避けて通れないものになりつつある。
 コンテンツ業界におけるM&Aの重要さが高まっている一方で、コンテンツ業界向きのM&A情報はこれまでほとんど提供されてこなかった。今回のセミナーがM&A取り上げたのは、そうした意味で意義の高いものだといえる。
 
 セミナーは大手監査法人主催であることもあり、全体に資金管理の正当性や会計処理について言及されることが多かった。セミナーの主要な目的は各企業の財務担当者、経営企画担当者向けということである。しかし、必ずしも財務担当者や経営企画担当者でなくても、内部管理の重要性や高度化する資金調達方法、M&Aを含む企業経営といった業界の大きな潮流にふれることは大きな意味があるはずである。 
 コンテンツ産業の高度化はまだ始まったばかりで、今後もまだまだ変わり続けるであろう。そうした中で、こうしたファイナンス戦略やM&Aを含む企業戦略はますます重要になってくるに違いない。

「コンテンツビジネス・ハンドブック」(中央青山監査法人編 中央経済社)出版記念セミナー
コンテンツビジネスのIPO・資金調達・M&A
主催:中央青山監査法人
後援:デジタルコンテンツ協会、東京三菱銀行、三菱証券


中央青山監査法人 /http://www.chuoaoyama.or.jp/
(財)デジタルコンテンツ協会
/http://www.dcaj.org/dcwp/index.html
 また、今回のセミナーの後援者であるデジタルコンテンツ協会では「デジタルコンテンツ白書2005」を発刊している。こちらもコンテンツビジネスの必携の本である。
詳細は(財)デジタルコンテンツ協会への問い合わせにてお願いします。

《animeanime》
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