アニメ映画と実写映画
米国の大作アニメーション映画『ポーラエクスプレス』の公開後の興行収入が思わしくなく、早くもその巨額の制作費を回収出来ない可能性が懸念されている。しかし、『ポーラエクスプレス』のオープニング週末の数字は『Mr.インクレディブル』に開けられているとはいえ
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最新の技術と巨大過ぎる製作費のアニメーション。過去を振り返ってみると、これと似た構図がある。2001年に日本のゲーム会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)が社運をかけて製作した『ファイナルファンタジー』である。製作費1億3700万ドルのこの映画の興行収入は米国で約3200万ドル、日本国内で9億円であった。結局、製作費を回収出来なかった当時のスクウェアは、約130億円の特別損失をだし、その後、資本力の懸念からソニーグループの傘下に入ることになった。この両者に共通するのは、最新の技術を使ったリアルさの追求であった。つまり、アニメーションでどこまで現実に近づけるかである。確かに驚きはあった。しかし、映画は技術の驚きだけで成り立つわけでない。
『ファイナルファンタジー』が興行的に失敗した時によく言われたのは、本物そっくりなら本物でいいじゃないであった。つまり、人間そっくりならアニメである必要性はない。今回の『ポーラエクスプレス』でいえば、トム・ハンクスそっくりなキャラクターなら、最初からトム・ハンクスの実写映画でいいのでないか。観客が求めているのは本物そっくりのリアルな画像でないはずだ。むしろアニメ的であることのほうが重要でないだろうか。少なくとも両作品とも実写で作って製作費を抑えれば資金的にかなり楽であったはずである。そして、米国の批評サイトを見ると今回の『ポーラエクスプレス』への批判は、皮肉なことにキャラクター造形に集中している。大金をかけて実写には近づけても、実写にはならないのもまた事実である。
結局、アニメーションの作り手が考えなければいけないのは、アニメという手段で何が出来るかである。勿論、表現する手段が違うだけで、映像表現がしなければいけない基本は同じという考え方もある。しかし、アニメを観る側は製作者の思惑通りではない。多くの場合は、実写とは違う何かを、アニメだから出来る違いをそこに求めているはずである。
/ポーラエクスプレス公式サイト
/スクウェア・エニックス