『テレビゲームとデジタル科学展』
東京:上野の国立科学博物館で開催中の『テレビゲームとデジタル科学展』は、今や世界中の子供たちに馴染み深いTVゲームをコンピュターの誕生から現在までの流れをその当時のPCやゲーム機の展示と伴に追っていくものである。TVゲーム発展の歴史を掴むに相応しい企画で
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この展覧会の感想を一言で表現するなら『ゲーム機の墓場』である。これは、展覧会をネガティブに捕らえているわけでない。ゲーム機の歴史を辿るこの企画は、意図されたかどうかは判らないが、歴史の表裏の関係でゲーム機メーカーの興亡史ともなっているためである。
実際、現在、世界市場にて販売されているゲームコンソール機が、事実上ソニーのプレーステーション2と任天堂のゲームキューブ、マイクロソフトのXボックスだけであることを考えれば、展示場に並べられた何十台ものゲーム機のほとんどが今では使われなくなったゲーム機である。そこにあるインベーダゲーム、パックマンからセガサターン、3DO、ピピンといった数々のゲーム機はどれも一時は世の中を賑わしたものだが、今やその歴史的役割を終えている。それらの機器が暗い展示場にスポットライトを浴びて、かつての栄光を誇示するかのように浮かび上がっている。そして、横に並べられた解説のプレートはまるで墓標のように写っていた。
展示品は、パソコン勃興期のアップルⅠやLisa、あるいはインテルの4004、あるいはアタリ社の世界初のコンピュターアーケードゲーム、TVゲームなど貴重なパソコンやゲーム機などをよく集めている。しかし、全体の印象としては専門的な解説共に往年のゲーム機が並んでいるだけとの印象が否めない。
そう考えると、国立科学博物館の主な入館者である小学生や中学生がどれだけこの企画を楽しめたのか多少心配である。むしろ、30代以上のかつての子供たちのほうが昔遊んだゲームを懐かしみながら楽しめたかもしれない。
ならば、もう少し内容的に掘り下げてゲーム機産業の歴史という面を取り上げたほうが面白い企画が出来たようにも思える。実際、展示を見ていくと産業初期におけるアタリ社の存在感の大きさや、国内のゲーム機の輸入時代、そして、ゲーム機の大競争時代から寡占市場への流れがはっきりと読みとれる。
すると、アタリ社はその後一体どうなってしまったのだろうとか、エポック、トミー、タカラ、学研、SNKといった初期のTVゲームを作っていたメーカーは今どうしているのだろうという疑問が当然出て来るのだ。
しかし、そういった解説はされていない。ビジネスの現場を見せてしまうには、ゲーム機の歴史はあまりにも短く生々しいのかもしれない。ゲーム機企業の歴史はいまだ現在進行形である。今この時点で起こっているこの展覧会さえ歴史の一部として刻まれて行くのだろう。
『テレビゲームとデジタル科学展』 2004年7月17日~10月11日 国立科学博物館(東京・上野公園)
主催:国立科学博物館、TBS、読売広告社/特別協賛:PlayStation ®2、NTT東日本
協賛:株式会社バンダイ
/国立科学博物館 『テレビゲームとデジタル科学展』/プレーステーション.COM
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