DASおよびDIS装置は、分散型アンテナネットワークを構築し、建物内部や広域施設内の無線カバレッジを最適化する通信インフラ機器である。特に5Gミリ波帯では直進性が強く遮蔽物の影響を受けやすいため、DASおよびDIS装置の重要性が大幅に高まっている。
システム構成としては、アンテナ、RRU(リモート無線ユニット)、HEU(ヘッドエンドユニット)、増幅器、光ファイバー、同軸ケーブルなどで構成される。市場では、広範囲通信に適した「アクティブDAS」、低コスト型の「パッシブDAS」、両者を融合した「ハイブリッドDAS」が主流となっている。
近年のDASおよびDIS装置では、クラウド監視機能、AIベースの通信最適化、自動障害検知機能なども搭載され始めており、単なる通信補完設備から高度なインテリジェント通信基盤へ進化している。


図. DASおよびDIS装置の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「DASおよびDIS装置―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、DASおよびDIS装置の世界市場は、2025年に5325百万米ドルと推定され、2026年には5746百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)8.6%で推移し、2032年には9442百万米ドルに拡大すると見込まれています。
DASおよびDIS装置市場の成長背景と世界規模
DASおよびDIS装置市場は、5G通信インフラの急速な整備、屋内通信品質への要求拡大、およびスマートシティ投資の増加を背景に、中長期的な成長局面へ移行している。特に大規模商業施設、空港、地下鉄、スタジアム、病院など高密度通信環境において、DASおよびDIS装置の導入需要が急増している。
また、2025年における米国関税政策の再編は、DASおよびDIS装置市場のサプライチェーン構造にも影響を与えている。北米市場では通信機器調達コストの上昇が懸念される一方、中国・東南アジアへの製造分散が進み、通信インフラ企業による地域別調達戦略の見直しが加速している。
DASおよびDIS装置の導入拡大と主要用途
DASおよびDIS装置の主要用途は、通信事業者向けインフラ、公共安全通信、企業施設、交通ハブなど多岐にわたる。特に近年は、公共安全向け屋内通信整備が世界各国で義務化されつつあり、市場拡大の大きな推進要因となっている。
2025年には世界全体で約71,000システムのDASおよびDIS装置が導入される見込みであり、中小規模案件における平均販売価格は1システム当たり約75,000米ドルとなっている。さらに業界粗利益率は30~45%と比較的高水準を維持しており、高度なシステム統合技術とエンジニアリング能力が収益性を左右している。
最近6か月では、日本国内の大型再開発案件や韓国のスマート空港プロジェクトにおいて、5G対応DASおよびDIS装置の採用事例が増加している。特に地下空間や大型商業施設では、高密度同時接続への対応が不可欠となっている。
DASおよびDIS装置市場を支える5Gと公共安全需要
DASおよびDIS装置市場の最大の成長ドライバーは、5Gインフラ拡張である。従来の4G LTE環境と比較し、5Gは低遅延・大容量通信を必要とするため、従来型基地局だけでは十分な通信品質を確保できないケースが増えている。そのため、建物内部や交通施設におけるDASおよびDIS装置の補完需要が急拡大している。
さらに、公共安全分野ではNFPAやIFCなどの建築基準強化により、緊急通信対応型DASの設置義務化が進行している。特に北米市場では、病院、空港、地下鉄、スタジアム向け案件が増加しており、公共安全DASが最も成長性の高い細分市場として注目されている。
一方で、DASおよびDIS装置市場には技術的課題も存在する。5Gミリ波への最適化、高密度通信時の干渉抑制、複数通信キャリアとの互換性確保、建築構造ごとの電波特性調整など、高度な設計能力が求められている。
DASおよびDIS装置市場の競争構造と地域動向
DASおよびDIS装置市場では、Cisco Systems、CommScope、Huawei、Ericsson、NEC、Nokia、SOLiD、Comba Telecomなどの大手通信インフラ企業が主導権を握っている。特にアジア市場ではHuaweiやZTEが価格競争力を武器に存在感を高める一方、北米市場では公共安全規制対応力を持つ米欧系企業が優位性を維持している。
地域別では北米が最大市場を形成しているが、今後はアジア太平洋地域が最も高い成長率を示す見通しである。中国、日本、韓国ではスマートシティ政策と5G基地局投資が拡大しており、DASおよびDIS装置需要を継続的に押し上げている。
今後の市場では、「屋内通信品質」「公共安全」「スマートビル連携」が競争軸になると考えられる。特にAI監視、IoT接続、エッジコンピューティングと融合した次世代DASおよびDIS装置は、単なる通信補完設備ではなく、スマートインフラの中核としての役割を担う可能性が高い。
本記事は、QY Research発行のレポート「DASおよびDIS装置―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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