■社会的テーマとエンタメのバランス感覚

――差別やテロといったテーマを扱うにあたって、苦労された点はありますか?
アメリカという舞台で多様な人種を描く以上、日本を舞台にするのとは別の難しさがあります。描き方一つで、特定の属性への差別や偏見に繋がりかねません。ハリウッドでもキャスティングのバランスが話題になりますが、自分も構成や配置には非常に注意を払っています。描いていて(映画のキャスティングのことなどは)「こういうことなんだな」と身に染みて感じました。
――社会的テーマとエンターテインメントとしてのバランスは、どのように取っているのでしょうか。
長編連載なので、よりポップに、ハードルを下げて多くの人に読んでほしいと考えています。自分自身の意見を一方的に主張するのではなく、あくまで「面白い物語を作るためのツール」として使うという、作品との距離感を意識しています。
――作中にはさまざまな主張を持ったキャラクターが登場し、なかにはかなり過激な主張もあるわけですが、それはうめざわ先生自身の考えとは別だということですね。
そうですね。距離を取っているから描ける部分もあります。何かの主張に肩入れしすぎるとエンターテインメントとして読んでもらうのが難しくなります。かといって「何もコミットしない」のも欺瞞的なので、自分の考えや立場はありつつも、物語としてはそれぞれの意見からいい距離感を保つようにしています。このバランスをとるために慎重に描写しています。
――お話を伺っていると「他者」という言葉がキーワードに感じます。先生にとって他者とはどういう存在ですか?
人間同士でも、結局自分以外のことはわからない。けれど、同じ社会で協力して生きていかなければならない。人間が抱える多くの問題は、この「他者」という言葉に還元されるのではないかと思っています。
――「わからないもの同士が一緒にいなければならない」のが社会であり、その象徴がチャーリーであると。
「わからない新しいものが出てきた」という見方もできますし、「元々あったけれど見えていなかったものが可視化された」ということでもあると思っています。

――最後に、アニメ化によって物語がより広く届くことになりますが、どのような反響を期待されていますか?
まずはエンターテインメントとして楽しんでほしい、というのが一番です。物語はまだ続いているので、アニメで触れた皆さんのリアクションを見て、それをまた作品にフィードバックしていきたい。ぜひ何らかの声をいただけるとありがたいです。海外でどう受け止められるのかは、正直怖さもありますが、どんな反応が得られるのか、今から楽しみです。
TVアニメ『ダーウィン事変』
<放送・配信情報>
1月6日(火)24:00よりテレ東系列にて放送
1月7日(水)0:30よりプライムビデオで独占配信開始
<スタッフ>
原作:うめざわしゅん(講談社「アフタヌーン」連載)
監督:津田尚克
シリーズディレクター:中山勝一
シリーズ構成:猪爪慎一
キャラクターデザイン:友岡新平
美術監督:野村正信
色彩設計:橋本賢
撮影監督:山田和弘
編集:廣瀬清志
音楽:桶狭間ありさ・堀川真理子
音響監督:岩浪美和
制作:ベルノックスフィルムズ
製作:「ダーウィン事変」製作委員会
オープニングテーマ:Official髭男dism「Make Me Wonder」
<キャスト>
チャーリー役:種崎敦美(※崎はたつさき)
ルーシー・エルドレッド役:神戸光歩
リヴェラ・ファイヤアーベント役:大塚明夫
ギルバート・スタイン/バート役:森川智之
ハンナ・スタイン役:佐藤利奈
フィリップ・グラハム/フィル役:上田燿司
ゲイル役:石川界人
レスリー・K・リップマン/少佐役:江頭宏哉
(C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会











