名探偵コナン劇場最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影（サブマリン）』（2023年4月14日より公開）では、特報などでも示されている通り、灰原哀がフューチャーされる作品となる。
筆者は、何を隠そう初恋が灰原哀、今も理想の女性像は灰原哀の灰原哀ガチ恋歴25年。今も、アニメ！アニメ！の編集長として、アニメに関わる仕事をしているのは、名探偵コナンや、灰原哀の影響が大きい。鳥取県で年始に行われる「青山剛昌先生と話そうDay」で、当日付き合っていた彼女と共に参加しながら、「初恋は灰原哀です！」と伝え、彼女、先生双方に引かれたのはいい思い出です。
特報では「私は変われた。だから信じて」という劇中でのセリフの1部も明かされているとおり、灰原哀は、作中で大きく変化したキャラクターの1人といえるだろう。
本記事では、劇場版名探偵コナンを中心に、灰原哀の変化と魅力について紹介します。
■劇場版初登場 『世紀末の魔術師』
劇場版名探偵コナンで灰原哀が初登場したのは、1999年公開の『世紀末の魔術師』です。劇場版3作目となる本作は、怪盗キッド、服部平次などの人気キャラクターたちも劇場版に初登場する豪華な作品でした。本作での灰原哀は、今や恒例となっている劇場でのアガサ博士のクイズに少年探偵団とともに参加したり、歩美ちゃんと色違いのバッグを持っていたりとすっかり馴染んではいながらも、コナンに対しては基本的に「お手並み拝見」というスタンス。
アガサ博士のクイズに灰原が正解した際にも元太からは「灰原って少年探偵団の仲間だよな？」と確認するような発言もあり、仲間になりたてな当時の独特な距離感です。また、近年は事件に関しての調べ物などを担当することも多い灰原ですが、本作ではアガサ博士が担当していました。
アガサ博士との関係性は、無くした免許証を探してあげたりと今と変わらない世話を焼く姿が見られます。個人的には、コナンが命を落としたのでは？というシーンでつぶやく「バカ・・・」がたまりません。
以降の劇場版すべてに灰原は登場することになります。
■灰原を語るうえでは外せない 『天国へのカウントダウン』
劇場作品の灰原哀を語るうえで、大きく『天国へのカウントダウン』以前か、以降かに分けられると筆者は考えます。
2001年に公開された本作は劇場版作品で初めて、ジン、ウォッカが登場した作品です。そのため黒の組織に追われる灰原や、亡くなった灰原（宮野志保）の姉、宮野明美を想う灰原の姿が描かれる作品となりました。
また、アガサ博士から灰原が黒の組織側に寝返ったのでは？というセリフが出るなど「もしかすると裏切り者かもしれない灰原哀」が描かれます。絶対の信頼を得ている今とは異なる灰原哀が見られる貴重な作品です。
30秒ゲームや、キャンプ時のお米の話、灰原のおしゃれなウェーブヘアー含め多くの伏線がはられている本作は、1セリフ、1カットも見逃せない名作でもあります。
灰原の代名詞的な「私はパス」も本作では複数回発動しました。
クールな灰原、弱っている灰原、困っている人の顔を楽しむいじわるな灰原と多くの灰原を堪能できる灰原ファン必見の作品です。
■コナンのパートナーとしての灰原『ベイカー街の亡霊』
2002年に公開された本作は、『天国へのカウントダウン』以降の作品第一作目。本作から、近年の作品につながるコナンのパートナーとしての灰原哀が描かれ始めます。
ゲームオーバー時にコナンにかける
「ダメよ工藤君、諦めちゃ。お助けキャラがいないなら、私たちにとってのホームズはあなた。あなたにはそれだけの力がある」
の言葉は、灰原からコナンへの絶対の信頼を感じます。
また、機知に富みながらもダークな発言もこの映画から現れます。パーティー会場で行儀の悪いお金持ちの子供に対して「まるで、悪しき日本の世襲制が凝縮された光景ね」や、「こうした世襲制と共に、人間の過ちの歴史が繰り返されるわけよ」などの発言は、これまでの沈黙や不参加から演出されるクールさとは異なる、キュートさとダークさを兼ね備えた小悪魔なクールさを演出しました。
またこのセリフは本作の根幹のテーマとなる「血のつながり」について暗に示していたセリフでもあり、灰原は以降の作品でも作品の根幹や、締めのようなセリフをつぶやくことがあります。
また本作は、劇場で初めて子供ぶる灰原が見られる作品でもあります。
「とかなんとか、昨日のニュースでいーっぱい言ってたよ」
怖い。。。 そこが可愛い灰原哀。
■コナンの相棒としての灰原哀
2005年上映の『水平線上の陰謀』では、「灰原 あとは頼んだ！」など今の関係にも続くコナンと灰原を代表するようなセリフが登場し、ほぼ近年の灰原のイメージが完成します。
TVアニメにて2004年に放送された「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」で、灰原と毛利蘭の関係性が描かれたことなどもあり、これまで少年探偵団やアガサ博士、コナンとの交流が中心だった灰原が、他のキャラクターとのコミュニケーションが増え、より立体的に描かれるようになります。
これにより、コナンと灰原の相棒なの？恋愛もありえるの？という気になってしまう、まるで熟年の夫婦のようなやり取りが行われます。
2011年放送の「ホームズの黙示録(0 is start)」で工藤新一が毛利蘭に告白をした直後の2012年公開『11人目のストライカー』では、灰原哀が大ファンのサッカー選手・比護隆佑が登場し、灰原とコナンのこの関係性が描かれるのもこれまでかと思われましたが、2015年『業火の向日葵』では、
「あなたを見つめていると後悔するらしいから」と、え？灰原やっぱりコナン君のこと好きなん？と我々の心をかき乱してきます。
2019年には「紅の修学旅行」で正式に付き合うことになった、蘭と新一。以降の『紺青の拳』『緋色の弾丸』『ハロウィンの花嫁』では、他のキャラの関係性を中心に描かれることが多くコナンと灰原の新たな関係性を深ぼる内容ではなかったものの安定した相棒としての活躍を見せています。
個人的なおすすめは2008年公開『戦慄の楽譜』。本作では灰原の口から「それに、私も彼を信じてるから…相棒としてね」とコナンの相棒宣言するシーンが登場します。また、映画冒頭の「俺の名前は工藤新一…」から始まるナレーションには灰原が途中から参加。「ほら、いつものやつ」とコナンに「真実はいつも一つ」の口上に促す少しメタなやり取りから始まるのも印象的。息がぴったりな二人の活躍を余すところまで楽しめます。
ちなみに、公式Youtubeチャンネルでは劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の公開を記念して、TVアニメシリーズ特別編集版『名探偵コナン 灰原哀物語～黒鉄のミステリートレイン～」のオープニング映像で使用された【オープニング映像 灰原哀ver.】が公開されている。こちらもファン必見です。
■いよいよ『黒鉄の魚影』公開！
これまで、ジン・ウォッカなどのいわゆる「黒の組織のメンバー」が登場する作品は、前述の『天国へのカウントダウン』、2009年公開の『漆黒の追跡者」、2016年公開の『純黒の悪夢』の3作品（安室透のみの登場作品を除く）。2023年4月14日（金）公開の『黒鉄の魚影』は予告などからも分かる通り「黒の組織」の登場が予告されており、7年ぶりの劇場での「黒の組織」との対決となる。
予告では灰原の正体が黒の組織にばれるのでは？というようなシーンもあり、公開まで気が気ではない。コナンの眼鏡をかける灰原の姿も予告に登場。
眼鏡姿の灰原大好きな筆者的にはとてもご褒美です。
「知ってるか？そいつをかけてると正体が絶対バレねーんだ！クラーク・ケントもびっくりの優れ物なんだぜ？」
の過去のコナンのセリフの通り、コナンのスーパーマンばりの活躍で灰原を助け出してくれることに期待。
