声優・伊東健人、ソロ初のリリースイベントの様子をレポート!「夢は叶えると、次の夢が出てくるんですよね」 | アニメ!アニメ!

声優・伊東健人、ソロ初のリリースイベントの様子をレポート!「夢は叶えると、次の夢が出てくるんですよね」

伊東健人が、10月22日(土)に東京・品川インターシティホールで初のリリースイベント『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』を昼、夜の2公演に渡り開催した。

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『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子
  • 『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子
  • 『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子
  • 『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子
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  • 『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子
  • 『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』Photo by 高田真希子

川谷絵音プロデュース楽曲「真夜中のラブ」で、A-Sketch内レーベルAstro Voiceよりアーティストデビューを果たした伊東健人が、2022年10月22日に東京・品川インターシティホールで初のリリースイベント『Kent Ito 真夜中のラブ Release Event “Waves #1″』を昼、夜の2公演に渡り開催。その中で、自身初のCDとなる1st EPを2023年2月15日にリリースすることを発表した。

伊東は音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』の観音坂独歩役や、TVアニメ『ヲタクに恋は難しい』の主人公・二藤宏嵩など、さまざまなキャラクターを好演してきた。その一方、中島ヨシキとのユニットUMakeでの音楽活動、SEGAが展開する『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』への楽曲提供など、元バンドマン&ボカロPである素地を活かしてクリエイターとしての才気も発揮している。

声優デビューから10年。ファン待望のソロアーティストデビューではあるが、デビューに至るまでは悩み抜いたそうだ。当初はバースデーイベントとして舞い込んだ本イベントも「もらう側ではなく提供する側でいたい」という理由からリリースイベントとし、「まだ1曲しかないという理由でバラエティパートに尺を使うなら……」と急遽新曲も制作。自身曰くアーティスト活動に対してはわがまま。でもそれは、音楽への並々ならぬ愛ゆえの誠実さに他ならない。そんな彼の音楽への情熱が溢れたリリースイベントの夜公演の模様をお届けする。

OK Goやクリストファーなど音楽好きの伊東ならではのSEが掛かる中、音楽番組などでパーソナリティを務めるMC・藤田琢己が登壇。藤田の呼びかけで、アー写と同様の衣装をまとった伊東がステージに現れ、客席から大きな拍手が起こる。満員の客席を見て「いやあ、埋まりましたね。最初、会場場所とキャパシティを聞いた時に埋まるのかなと不安だったんです。本当にありがとうございます。今日は楽しんでいってください」とにこやかに挨拶した。

この日はトークパートと音楽パートの2部構成。前半のトークパートでは伊東の音楽観を紐解いていく。
ステージに用意された椅子に腰を掛けると、アーティスト活動がスタートした経緯について穏やかな口調で語りだした。

「(アーティスト活動は)ずっとやらないと言ってきましたが、34歳になる今年、ご縁があってはじめることになりました。最近はアーティスト活動を早々に始められる方が多い中、34歳というのは遅いと思うんです。でもきっと、30歳のときだったら絶対に断っていたし、40歳のときでも断っていたと思います。自分の中では、やらない理由、やる理由があって。最初にオファーを頂いてからは1、2か月待ってもらっているんです。“早く決めてよ~”って感じですよね(笑)。ソロだからこそできるものを出していきたいという思いがあり、わがままばっかり言わせてもらっています。他にやってるユニットではイエスマンなんです。自分以外の感性、文化を僕も楽しもうと思っていて。でも伊東健人のソロにおいては、自分のこだわりを突き詰めていきたい。自分がやりたいことを100%やるのか、他の人に求められているであろうことをやるのか。そういう割合があると思うんですけど、自分はわがままなので、その両方を取るぞという気持ちです」。

ここからは音楽のバックボーンをさらに深堀り。伊東の“音楽履歴書”をもとにトークを進めていく。

モニターに映し出された伊東の音楽履歴書には、幼少期から社会人になるまでの、音楽遍歴が手書きで記入されていた。例えば、担当パートの欄には「時々ギター、時々ドラム、ベース、歌」。はじめて買ったCDの欄には「白い恋人達」、「情熱」。自己PR欄には「絶対音感あります。ノド強いです」といった具合だ。ちなみに、尊敬するミュージシャンは書ききれなかったようで「たくさん」(笑)。

さらに、幼少期・小学生・中高生・大学生・社会人に分けて、これまでの音楽遍歴がズラりと並んでいる。
それぞれの年代について、藤田とのやりとりを通して探っていく。音楽履歴書によると幼少期は「カラオケに行くと母が必ず歌っていた工藤静香『激情』を覚える。ピアノ教室に行くも3日で飽きる。ディズニー作品をよく見る」と書かれているが……。

「母が音楽好きなんです。幼稚園の先生なので自宅で童謡を聴いていて、母のカラオケで工藤静香さんの「激情」を覚えました。僕、基本記憶力はよくないんですが(笑)、音に関しては記憶力がいいような気がします。今思えば、マイナー・セブンス・コードがこの頃から好きだったのかも」と音楽体験の原風景を振り返った。そして「激情」の一部をアコギで披露。以降、それぞれのブロックごとに「思い出の曲」の一部を弾き語りで届けた。

小学生の欄には「友達の家で流していたKinKi Kidsを覚える。勉強を教わりに行っていた塾の先生の趣味でサザンオールスターズとスティービー・ワンダーを聞くようになる」と記入。

「少年野球をやっていたんですけど、移動中の車でずっと流れていたのがKinKi Kidsの『A album』。そこからの流れでずっと聴いていました。当時好きだった曲ってずっと忘れないものなんですよね。サザンオールスターズとスティービー・ワンダーは、塾の先生が授業後に教えてくれました。その方は僕に挑戦するというマインドを教えてくれた人でもあります」

なお、ピアノ教室を3日でやめたことは「未だに母親に1年に1回は必ず言われる」んだとか。

中高生の欄には「初めてのアコースティックギターを買う。友達とバンドを組む。文化祭で人前で初演奏」とある。キラキラとした青春時代なのかと思いきや「もともと人前に出たいタイプではなかったんです。でも誘われてバンドをやることになりました。やってみたら、なにかあるかもしれないなと。でもなにもなかった(笑)。高校でバンドをやったらモテるとか言うじゃないですか。モテないです。バンドをやってモテる人は、バンドをやらなくてもモテる!」と力説し、客席から笑いが。

それでも音楽活動を続けていたのは「友だちにバンド好きが多くて、一緒にやってくれる仲間が途切れなかった」から。一緒にギターを買いに行った友人と、人生はじめてのライブも体験した。

「中間テストの最終日にBUMP OF CHICKENのライブに行きました。僕は野球部だったんですが、練習をサボってライブに行ったので怒られましたね(笑)」

その友人がその後「初音ミク」の存在を教えてくれたという。大学時代の欄には「学校外でバンドを組み、ライブを行う。ボーカロイドに出会う。何個か発表する」と記入されており、一歩踏み込んで活動をスタートさせたことが伝わってくる。投稿にあたっても、その友人の存在が大きかったそう。

「大学時代、僕が(ボカロPとして)ニコニコ動画に投稿したときにイラストや動画を作ってくれたのも、その友だち。人生のターニングポイントを与えてくれました。僕にとっての重要人物ですね」

当時、21世紀Pという名義で音楽を投稿していた伊東。2009年、STUDIO COASTで初音ミク発売2周年を記念して行われたライブイベント「ミクFES'09(夏)」にも行ったそうだ。ボーカロイドについて語ったあと、初音ミクの「メルト」の一節を弾き語る。その他、「思い出の曲」としてスティービー・ワンダーの「To Feel The Fire」や、BUMP OF CHICKENの「ダイヤモンド」なども披露していたが「昼の部は決めていたんですけど夜の部は決めてなくて、歌詞も一部しかなかったんですよ」とアドリブが含まれていたことを明かした。

そして「現在」に辿り着く。社会人の欄には「声優になる。今までは聞こうとしなかったジャンルの音楽にたくさん触れる。ミュージカル、ラップ、メタルほか」と記載されていた。

「仕事でいろいろな曲をやることが多いんです。ある時はラップ、あるときはゴリゴリのパンク・ロック。ミュージカルっぽいものからメタル、J-POPまで。いまは一週間に1回は何かしらレコーディングをしている状態でありがたいですね。仕事で新しい音楽や文化に触れることで、プライベートでもハマっていきました。新しい道のりが広がっていくのが僕はすごく楽しくて、それを感じたときに“この仕事、向いてるかもな”と思いました」と柔らかな笑顔を見せた。

「これまで」を振り返ったところで「これから」の展望に言及。昼の部では「ライブ、楽曲制作、グッズ」について、夜の部では「コラボ、楽器、夢」をそれぞれ語った。

コラボレーションしたい人はたくさんいるとのこと。

「伊東健人の活動は、自分でバリバリ曲を作ろうとは思っていないんです。そのうち作るかもしれませんが、それは他のユニットでもやってるので主軸には置きたくなくて。そうじゃないことを伊東健人ではやりたいという話を最初にさせていただきました。仕事をする中で“この人とコンテンツを通さずにやったらどうなるんだろう”と思った方がたくさんいます。そういった方と面白いことをやれたら良いなと」

また、チャレンジしたい楽器を問われると「楽器とは違うかもしれないんですが」と前置きした上で、DJに興味を持っていることを明かす。友だちのDJを見に行き、好奇心が刺激されている様子だ。「でも一朝一夕じゃいかないものだから。極めてみたら面白いだろうな」とコメントした。

夢、という大きなテーマに関しては「今までも叶えてきました」としながらも「夢は叶えると、次の夢が出てくるんですよね。終わりがないなと思っています。それこそ絵音さんに曲を書いてもらえたのも、夢のひとつです。また、アニソンへのリスペクトは忘れてはいけないものだと思っているので、アニソンの素晴らしさも突き詰めていきたいですね。この活動をしていく上で、アニメの主題歌や、イベントにも……とは思っているんですが、今のところ、この活動の終着点も通過点も分かってないんです。でもその浮遊感のようなものも楽しんでいきたいです」と、落ち着いた声色に熱を込めて話した。

トークコーナーの最後を締めくくるのは「音楽仲間からのメッセージコーナー」。昼は川谷絵音からで「伊東さんの声はセクシーで強く、これから色んな曲を歌っていく姿をずっと見ていたいです。同い年のミュージシャンが少ないので今度是非飲みに行きたいです」などと綴られていた。夜はUMakeの相方であり、同志である中島ヨシキからの手紙だ。藤田が代読する。

「改めましてアーティストデビュー、デビュー曲リリースおめでとうございます。大丈夫ですか? 昼の部、このコーナーでメッセージを寄稿したのは、あの川谷絵音さんだと聞きました。「真夜中のラブ」のプロデュースはもちろん、ゲスの極み乙女やindigo la End、ジェニーハイなどのバンドで活躍するあの川谷絵音さんですよ。夜の部、大丈夫か? 中島ヨシキ、弱くないか? 一抹の不安がよぎりましたが、ご指名いただいたのでこのメッセージをしたためています。“私以外私じゃないの”で、私なりの言葉をお送りしたいと思います」

川谷絵音のバンド・ゲスの極み乙女の名曲タイトルの引用に「抜け目ない男ですね」と笑う。中島は共通の知り合いから伊東のアーティストデビューの話を知ったとのこと。寝耳に水だったとしながらも「多くの人に望まれていたソロデビュー。その活動が華々しく、また健やかで、数多の人を楽しませ、救うようなものになることを心の底から願っています。音楽を愛し、愛されている伊東さんから生み出される作品を、私も楽しみにさせていただきたいと思います」と、愛情に満ちた言葉を贈った。

伊東も「コメントありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。UMakeの活動も変わらずに続けていく予定であるとのことだ。

和やかなムードが広がる中、次はアコースティック編成によるライブパート。「真夜中のラブ」のMVのオフショット上映を経て、浜崎快声(バンマス・ギター)、中北裕子(パーカッション)、クレハリュウイチ(キーボード)がステージに。そして中央の椅子に、アーティスト・伊東健人が座った。さきほどとは表情が変わったことが、客席からも分かる。

1曲目は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に提供している、作詞・作曲を手掛けた「magic number」のセルフカバー。客席から自然とハンズクラップが湧く中、情熱的な歌声を響かせる。

「アコースティック編成でここから何曲か歌っていきたいと思います! 改めてよろしくおねがいします。とは言え、僕の持ち歌はまだ1曲。でもせっかくのリリイベなんだから数曲はやりたい、とお願いして曲を作りました。できたてホヤホヤの新曲を次は聴いて下さい」

この日のために用意した新曲「AMBER」は、甘酸っぱい思い出が蘇るようなエモーショナルなナンバー。ゆったりとした音色と、伊東の伸びやかなハイトーンボイスが心の琴線に触れる。タイトルに合わせて黄色のペンライトを灯すファンの姿も見受けられた。続いて、昨年リリースした声優カバーアルバム woven songsシリーズ『COVER~YOUTH~』の中から「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」を歌唱。まっすぐに観客を見つめながら、曲の物語に合わせて多彩な声色を響かせていく。

「次の曲が最後の曲です」と伝えると、客席から思わず小さく声が漏れる。「分かる。え~って言おうとしてくれたんだよね(笑)。でも(情勢的に)言えない。その結果の、精一杯の声。最近、少し規制がゆるくなってきて、あとちょっとの辛抱なのかなという気がしています。完璧に大丈夫になった暁には、またみんなの声を聴かせてください」と希望を込めて伝えると、温かな拍手が湧いた。初のリリースイベントではあるものの、これまでの活動で培ってきたファンとの揺るぎない信頼関係を感じる一幕だった。

ここで客席のペンライトがまばらなことに気づいたようで「なんとなく空気を読んで、ペンライトを出していない人とかいるんじゃない?」とフォロー。するとバックの中からペンライトを出すファンが多数。「めっちゃいる!」と驚きの声を上げた。

「この活動に関しては、そういった制限は絶対にしたくないと思っています。拳しかない人も、ペンライトを持っているひとも、うちわを作ってくれている人も、みんな平等だから。でも腱鞘炎には気をつけてね(笑)」

伊東の一声で客席がネオンのような、カラフルな色に染まる。そのまま「真夜中のラブ」へ。都会的で洗練されたメロディと、ストーリーテリングの妙が光る本ナンバーをアグレッシブに届ける。間奏に入る直前に椅子から立ち上がってメンバーを紹介。<真夜中にバイバイ>では自ら手を振り、クラップを鳴らすなど、ライブならではの特別な一体感を生み出していく。「アコースティックライブなのに熱くなってきた」とジャケットをパタパタさせ、この日いちばんの笑顔がこぼれた。

最後に出演者がステージに全員集合して挨拶。改めて感謝の気持ちを伝え、万感の拍手が送られた。音楽とストイックに向き合っている伊東ならではのこだわりを詰め込んだ、濃密な1日が幕を閉じた。

2023年2月15日リリースの1st EPには、デビュー曲である「真夜中のラブ」を含む4曲が収録される予定だ。また、アーティストHPに加え、10月21日には伊東健人初となるアーティスト公式アプリ『伊東家の縁側』がローンチと、アーティスト活動を加速させている。“Waves #2″が開催されることにも期待したい。

<商品情報>
1st EP「タイトル未定」
発売日:2023年2月15日(水)

初回限定盤(CD+DVD)
価格:3,500円(税込)/3,182円(税抜)
品番:AZZS-134

通常盤(CD )
価格: 2,500円(税込)/2,273円(税抜)
品番:AZCS-1112

[CD]
「真夜中のラブ」含む全4曲収録予定

[DVD]
「真夜中のラブ」ミュージックビデオ+スペシャルメイキング映像 収録予定

<配信楽曲情報>
2022.9.21配信リリース
「真夜中のラブ」
作詞・作曲・編曲:川谷絵音
各種音楽配信サービスにて好評配信中!

Text by 逆井マリ
Photo by 高田真希子


真夜中のラブ
¥250
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)


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