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年末恒例のGIレース「有馬記念」。スマホ向け育成シミュレーション『ウマ娘 プリティーダービー』にも同名のレースがありますが、その表記は少し異なります。「馬」の漢字から、点が2つ消えるのです。
これは、『ウマ娘』の世界に「動物の馬」が存在しないため。馬といえばウマ娘を指し、その漢字も「ウマ娘が2本の脚で駆ける様」から成り立っています。つまり、4本脚の馬から2本脚のウマ娘になったのをイメージして、点2つになった「馬」という漢字が生まれたのです。
しかし、なぜか「馬偏(うまへん)」を使った漢字(駆、駿など)は、そのまま点4つで表記。漢字単体では点2つなのに、なぜ偏では点4つなのでしょうか?
◆些細な疑問、その答えは江戸時代にまで遡る!
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疑問の答えは、本作の用語解説から裏話まで紹介する「トゥインクル!Web」にありました。
その誕生は江戸後期、とある歌人が狂歌の中で、馬偏を点4つで記したことが始まりです。曰く「駆けるウマ娘の脚の動きは余りにも速く、我が目には4本にも見えるほどだ」とし、点4つで記したのだとか。
これが歌人の間で流行りに流行り、果てには庶民にまで浸透。明治には「点4つの馬偏」がすっかり一般的になったのでした。馬偏が点4つになったのは、ある意味「流行」が理由とも言えます。
なお、この一件までは馬偏も点2つであり、昔からある石碑などには「点2つの馬偏」が残されているそう。ゲームやアニメ、漫画まで注意深く探せば見つかるかもしれませんね。
◆ウマ娘の存在が「ことわざ」すら変える!
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馬がいないことは、漢字だけでなく「ことわざ」にも変化を起こしました。
どんな人間でも身なりを整えれば立派に見えるという意味の「馬子にも衣装」。これが『ウマ娘』の世界では「マ子にも衣装」となります。ウマ娘の子供のように可愛らしいものに衣装を着せれば完璧だという意味で、要は「鬼に金棒」みたいなもの。
悪口だった「馬子にも衣装」が、ウマ娘の存在により誉め言葉になりました。もしかすると「馬の耳に念仏」や「馬脚を現す」なども、『ウマ娘』の世界では誉め言葉になっているかもしれませんね。
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馬の代わりにウマ娘がいる世界、その世界観を細かいところまで適用させるCygamesには脱帽です。