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任天堂は、第79期定時株主総会を6月27日に実施。その際に行われた質疑応答の要旨を、このたび公開しました。
今回公開された質疑応答は、内容別の22項目に渡っており、ニンテンドースイッチの展開についてや、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』・『スプラトゥーン 2』などのゲーム大会に関する不適切なコメントへの対応を求めるものなど、多岐に渡る質問と返答が記載されています。
ストリーミングなどのネットワークサービスやVRゲーム展開といった業界の流れについて、同社がどのような考えを持っているのかといった声には、代表取締役社長の古川俊太郎氏が、「今すぐにすべてのゲームがクラウドゲームになるとは考えていません」と前置きをした上で、確実に進歩する技術がもたらす環境変化について対応する必要があると返答。そして、「(変化によってゲーム人口が増えるならば)当社ならではのエンターテインメントを、世界中の多くのお客様に届ける機会にもなるのではないかと考えています」と、技術の進歩をチャンスに捉える前のめりな姿勢を明らかとしました。
続いて、任天堂代表取締役フェローの宮本茂氏は、「VRにしろ、ネットワークサービスにしろ、遅れているわけではなく、一番早くから取り組み、さまざまな実験をしています」と語り、快適に遊べるのか、適切なコストで運営できるのかといった点を慎重に分析していると述べます。その一例として、ユーザーが利用しやすいVR展開として『Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit』をリリースした点を挙げ、分析を活かした実績を提示しました。
さらに、取締役上席執行役員の塩田興氏は、実現が近づきつつある5Gについて、技術調査を進めていると返答。その一方で、「トレンドを追いかけるだけでなく、その技術を遊びの中でどのように活用し、その結果、お客様にどのような新しい体験や遊びを提供できるかということもセットで考えながら、私たちの提供する遊びやサービスでの対応を検討しています」ともコメントし、5Gのコスト面なども見極めたいとの姿勢を顕わとしました。
そして、一部で噂になっているニンテンドースイッチの新型に関する質問もあり、「実際に開発をしているのか」といった声に対しては、噂や憶測についてコメントするのはユーザーの驚きを奪い、また株主共同の利益にも反するとして、説明は差し控えると古川氏が回答。その上で、「私たちは常に新しいハード、新しいソフトの開発を行っています」と述べました。
また、Googleの新たなゲーミングプラットフォーム「Stadia」の発表をはじめ、大手企業がゲームビジネスへと本格的に乗り出す動きがこのところ続いています。こういった展開を踏まえ、競争もしくは提携といった方針・指針などがあれば教えて欲しいという質問もあり、こちらについては古川氏が返答。「多くの会社様がゲームビジネスに参入し、ゲーム業界が盛り上がることを非常に好ましい」との見解を述べ、厳しい競争を勝ち抜くには任天堂らしいユニークな価値の創造が最も重要といった考えも明かします。
さらに、提携に関しては「ゲームのキャラクターや世界観等の、任天堂IPの価値を高めるようなパートナーシップであれば、積極的に考えていきたいと思っています」とし、規模の拡大を目指すような提携については、積極的に行う考えはないと言及しました。
このほかにも、「今の任天堂では、アドベンチャーゲームと言われるジャンルのゲームの制作ができる状態なのか」や「中国における外資系企業のビジネス展開は簡単ではないと思うが、どう考えているか」など、興味深い質問がいくつも飛び出しています。気になる方は、公開された内容を直接チェックしてみてください。
■第79期 定時株主総会 質疑応答(要旨) ※pdfファイル
https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2019/qa1906.pdf