「平成ゲームメモリアル第2回」本当の“ゲームハード戦争”を語る... ハードが無くなるトラウマ、経験した?【特集】 4ページ目 | アニメ!アニメ!

「平成ゲームメモリアル第2回」本当の“ゲームハード戦争”を語る... ハードが無くなるトラウマ、経験した?【特集】

平成の時代で起きた、ビデオゲームの出来事についての座談会「平成ゲームメモリアル」。第2回は、数多くのゲームメーカーがハードに参入した、20世紀最後のゲームハード戦争について語りつくします!

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平成ゲームメモリアル第2回「本当のゲームハード戦争の時代を話そう―“ハードが無くなる”トラウマ」
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セガのハード事業撤退の発表が21世紀の始まりだった



G.Suzuki98年といえば、ドリームキャストが発売された年でもありますよね。また、あの年は、最近リメイク版が発売されたカプコンの『バイオハザード2』を筆頭に『ゼノギアス』、初代『Half-Life』、『クロックタワー ゴーストヘッド』、初代『マーヴル VS. カプコン』、そして前述の『メタルギアソリッド』と色々なタイトルが発売されましたね。

末永ドリキャス……セガサターンと同じく周りに持ってる人がいなくて、リアルタイムで一切触ってないハードです。湯川元専務のCMは覚えてます。

G.Suzukiああ!あのCMは印象深かったですね!一方で、サターン以上にドリームキャストはそこそこ友人宅で見た記憶がありますね。

葛西祝ドリームキャストのCMは、最後のあたりめちゃくちゃでしたよね。「セガなんてだっせーよな」とか自虐的に言わせるとか。あのCMには秋元康さんが関わっていたそうじゃないですか。ああいうセンスがいい風に見せかけて、とてもセンスの悪い試みを受け入れざるを得ない状況は辛いものがありましたね

SHINJI-coo-Kセガサターンもそうでしたよね。有終の美に対する意識というか、終わる事実を引き受けて「私たちは負けました!」とやる感覚はすごかったです(笑)。

葛西祝プレイステーション2は音楽CDだけではなく、DVDも再生可能と、よりマルチメディアを洗練させた機能を持っていました。それだけではなく、PSと互換性があったり、強力なソフトを供給するメーカーがいたりしたことで、やはりドリキャスは勝てなかったんですよね……。

戦争って負けた国が無くなることがあるわけじゃないですか。当時のゲームハード戦争って、負けてしまったハードがそのまま、次の世代で本当になくなってしまうわけですからね。それどころか、メーカーが他社に吸収されたり、最悪、無くなってしまったりするんです。

PCエンジンをリリースしていたハドソンの終わり方は衝撃的でしたよ。コナミに子会社化され、ハドソンブランドとして継続したものの、最終的に消滅してしまったんですから。全盛期には『ファイナルファンタジー』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズと闘おうとしていた『天外魔境』シリーズを作ったところが!?『ボンバーマン』って強力なマスコットキャラクターも持っていたところが?ってなりましたね。

それどころかPCエンジンを共同開発していたNECホームエレクトロニクスも、後継機だったPC-FXの失敗に加え、事業悪化で会社が解散しています。あの文明が跡形もなくなってしまったんですよ。

SHINJI-coo-Kそうですね……当該ハードを所持してたユーザーって、それを敗北と受け取るし、そういった強い感覚ではなくてもちょっとした喪失感を味わうので、ゲームハード戦争の根っこは多機種の登場と、それまでのハードがなくなるときのユーザーの意識にあるのかなと思います。ハードってモノなので愛着が湧くし、競争に負けるとなくなっちゃうし。


G.Suzuki「もうこれ以上、このコンソール機の拡大は無く、後は終息していくのみ」というのは影響が大きすぎますよね。それでもドリキャスは、2001年に生産終了を発表したあとも、継続してタイトルが発売されたのはユーザーあってのものかと思います。自分も、当時アーケードでプレイし、2007年のドリキャス最終タイトルの1つとなった童のシューティングゲーム『トリガーハート エグゼリカ』を予約して買いましたから(もう一つの最終タイトルはSTG『カラス』)。

末永なにげにハードがなくなる感覚って、今まで味わったことがないかもしれません。自分が買ってきたハードが、ほぼ全て任天堂やソニー、マイクロソフトのものなので。唯一なくなってしまったものと言えば、ワンダースワンくらいですね。

葛西祝自分の中では21世紀までに2度、ビデオゲームの大きな価値変動があるんです。ひとつはPSが躍進していく1995年。その次が2001年、ドリームキャストの撤退が発表された時なんです。「ああ、ハード戦争に一区切りついたんだ」と思うとともに、ビデオゲームがさらに違う世界に入った感覚がありました。いま振り返ると、セガがハード事業撤退を発表する時期も出来過ぎなんですよ。2001年1月、21世紀に入ってすぐですから。

事実上、任天堂以外のゲームメーカー主導で、ハードが発表された時代は、ほぼここで終わってしまったんですよね。敗戦国にもいろんな名将がいるわけですけど、戦勝国に取り入るなかで「あの人がこんなことに……」みたいなシーンを、この時代以降、たくさん見かけることになるんです。

たとえば『バーチャファイター5 Final Showdown』以降、新作が作られず、アキラやパイが『DEAD OR ALIVE 5』に登場したのがもっとも新しい姿って、90年代に『バーチャファイター2』でブームだった頃からするとトラウマみたいな印象があるんですよ。

SHINJI-coo-Kそうですね。21世紀からは基本的に代替わりすることでハードが生き延びる、共存している、そういう世界に変わったように思います。

G.Suzuki90年代のゲームシーンは、こうやって振り返ってみると、ジャンルを問わないゲームの演出やストーリーテリングの拡大だけでなく、大手のゲームハードが最終的に事業ごと無くなったりして、一度ゲーム業界の市場自体が収縮してしまった危機から、SHINJI-coo-Kさんのおっしゃるとおり、ハードの存続の仕方を学んだように感じますね

末永あとはやはり、いろいろな意味でカオスだったなあと思います。それからどんどん淘汰が進んで、PS2・Xbox以降のハイエンド志向につながっているのかなと。

次回予告!20世紀のハード戦争が終わり、21世紀へ……


葛西祝21世紀に入ってからは、任天堂やソニーが引き続きハードをリリースする中で、マイクロソフトがXBOXで参入します。ここからはインターネットも一般的に広まったことで、3つのハードを煽りあうみたいな流れもありました。でもいくらネットで争っていても、もうハードが撤退したり、リリースしていたメーカーが無くなるような、「戦争で国がなくなる」ほどのことは、結局起きていないんですよ

それよりも21世紀に入ってからのゲームは、ハード戦争とは別の文脈になっていったと思うんです。それはどういうことか?次回、SHINJI-coo-Kさんが司会となって語る予定です!

SHINJI-coo-K次回のテーマは、PCゲームや洋ゲーが大躍進した00年代前半となります。特にゲーマーがゲーマーたる自意識を持ちだした時代ですね。今回は足早に20世紀の終わりの部分を語りましたが、果たして21世紀の始まりはどうだったのか、じっくり語っていきたいと思います。

G.Suzuki第3回は2000年初頭から2005年ごろまでが振り返りの対象となります。2000年以降はPCの普及とインターネットの来襲も合わせて、家庭に何らかの形で「海外ゲーム(洋ゲー)」がハッキリと目に入るようになりました。そんなPCゲームについても触れて行けたらなと思っています。

SHINJI-coo-K末永さんの「何気にハードがなくなる感覚って今まで味わったことがないかもしれません」というコメントが興味深かったです。これって今の時代の人達にとっては当たり前のことかも知れませんし、すごく興味深い視点だと思います。

末永子供なのであんまり意識もしておらず、周りに合わせていわゆる覇権ハードを選んできたので、ハードが消える感覚というのは味わっていないのですが、その心中はお察し致します……。それを考えると、今はとてもいい時代で、ゲーマーが安心して楽しめるようになったなと思います。

ある意味、撤退してしまったメーカー、消えてしまったハードがあったからこそなのかもしれません。彼らに、最大級の敬意を払って、これからもゲームを楽しんでいければと思います。あと、『アクアノートの休日』に触れたことがないという方は、ぜひ遊んでみてください……!

葛西祝30代以上のゲーマーは、ハードが消えゆく体験をしてしまったことで、少なからず心に傷を負っているのです……みんな優しくしてくれよな!何を?また次回!

平成ゲームメモリアル第2回「本当のゲームハード戦争の時代を話そう―“ハードが無くなる”トラウマ」

《葛西 祝》
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