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1989年1月8日から始まった「平成」も2019年4月30日に今上天皇陛下が退位され、5月1日より皇太子様が即位して新元号となります。放送開始前に、約30年の間に放送された平成仮面ライダーシリーズは19作品を振り返ってみようと思います。
■第1作『仮面ライダークウガ』2000年(平成12年)1月30日~2001年1月21日放送/全49回
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キャッチコピーは「A New Hero. A New Legend.」(新しい英雄、新しい伝説)。冒険家の主人公・五代雄介が古代遺跡から発掘された変身ベルトを身にまとい、現代に甦った古代種族グロンギと戦います。
テレビ放送された昭和仮面ライダーシリーズ最後の作品『仮面ライダーBLACK RX』から10年4ヶ月ぶり、映画『仮面ライダーJ』からは6年ぶりの新作です。主人公が改造人間ではない、フォームチェンジあり、生物的なデザインから脱却など、世界観が一新。
必殺技名を言わない、怪人が自己紹介しない、戦闘員が登場しないといった、昭和仮面ライダーのお約束を破ったリアル志向で、その後の平成仮面ライダーシリーズの一つの基準になりました。
■第2作『仮面ライダーアギト』2001年1月28日~002年1月27日放送/全51回
キャッチコピーは「目覚めろ、その魂」。仮面ライダーシリーズ生誕30周年記念作品でもある本作は、3人の仮面ライダーが当初から登場。全員を主役級として扱った初の試みで、以後の平成仮面ライダーシリーズでも複数の仮面ライダーが登場するなど大きな影響を与えました。
謎を紐解いていくミステリーのようなストーリー展開、さらにアクションシーンの比重が高いなど、平成仮面ライダーシリーズにおける一つの様式美を固めた作品です。
■第3作『仮面ライダー龍騎』2002年2月3日~2003年1月19日放送/全50回
キャッチコピーは「戦わなければ生き残れない!」。「13人の仮面ライダーが自らの望みを叶えるために最後の1人になるまで殺し合う」という従来の仮面ライダーとは一線を画しています。
「正義へ決して一つではない」というテーマが込められており、作中では悪人すらも仮面ライダーに変身して戦うことが物議を醸しました。また、戦闘では契約モンスターの力を発揮するためにカードをセットするという、カードバトルの要素も組み込まれるなど斬新な作品です。
■第4作『仮面ライダー555(ファイズ)』2003年1月26日~2004年1月18日放送/全50回
キャッチコピーは「疾走する本能」。これまで語られることがほとんどなかった怪人ドラマにスポットを当て、怪人(オルフェノク)へと変わってしまった者たちの苦悩、怪人と人間の共存などが描かれています。
本作では変身ベルトさえあれば、適合性を持つ者なら怪人であっても変身できることから、「主人公はベルト」とも評されている作品です。
■第5作『仮面ライダー剣(ブレイド)』2004年1月25日~2005年1月23日放送/全49回
キャッチコピーは「今、その力が全開する。」「運命の切札をつかみ取れ!」。「職業としての仮面ライダー」という新しいテーマで、「人類基盤史研究所(BOARD)」に所属し、人類を襲うアンデットと戦う仮面ライダーとして給与を得ている主人公の活躍を描いています。
平成仮面ライダーシリーズ第3・4作では正義の形は定かでは無いと描かれたことに対し、「職業としての正義」という形で改めて「仮面ライダー=正義」を徹底しようとする試みが垣間見えた作品です。
■第6作『仮面ライダー響鬼』2005年1月30日~2006年1月22日放送/全48回
キャッチコピーは「ぼくたちには、ヒーローがいる」。本作は仮面ライダーのデザインやストーリーに鬼や妖怪、陰陽道や修験道といった日本の伝奇要素が盛り込まれた「和テイスト」になっています。
31歳という歴代最高齢の主人公ヒビキが変身ベルトを使わずに変身することが話題になった本作。古から妖怪退治の役目を担ってきた組織「猛士」の一員であるヒビキだけでなく、少年の明日夢も主人公であり、ヒビキの背中を見ながら成長していく明日夢というストーリー構成は、大人の視聴者に多く支持されました。
■第7作『仮面ライダーカブト』2006年1月29日~2007年1月21日放送/全49回
キャッチコピーは「天の道を往き、総てを司る!」、「俺が正義」。コンセプトは「最強の仮面ライダー」で平成仮面ライダーシリーズの要素に加えて、モチーフに「昆虫」、変身のかけ声の復活、ライダーキックなどの必殺技、バイクなど昭和仮面ライダーの要素が多く採り入れられた原点回帰の作品です。
「クロックアップ」という敵も同じように超高速移動して戦う「常人には入り込めない世界」での戦闘演出が特徴です。
■第8作『仮面ライダー電王』2007年1月28日~2008年1月20日放送/全49回
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キャッチコピーは「時を超えて 俺、参上!」、「時の列車デンライナー、次の駅は過去か?未来か?」。「仮面ライダーはバイクに乗る」というこれまでの常識を覆し、「時の電車」に乗ってそれぞれの時代に飛んだ時間の改変を企てるイマジンを追って戦うという斬新な作品です。
電車をモチーフにしたのは、「バイクに乗ることがないどもに身近に感じて欲しい」という思いからだそうです。
平成仮面ライダーシリーズ屈指の人気を誇り、テレビシリーズ放映後も関連グッズの発売が続き、仮面ライダーシリーズで歴代最も多くのオリジナル劇場版作品が公開されました。
■第9作『仮面ライダーキバ』2008年1月27日~2009年1月18日放送/全48回
キャッチコピーは「覚醒(ウェイクアップ)! 運命(さだめ)の鎖を解き放て!!」「それはバイオリンをめぐる、父と子の物語…」。仮面ライダーのモチーフは「吸血鬼」で、作中では西洋ホラーの要素がふんだんに採り入れられています。
紅渡が主人公の現在(2008年)とその父である紅音也が主人公の過去(1986年)のストーリーが独立しており、過去と現在が密接に混じり合い、影響を与えながら展開していきました。
■第10作『仮面ライダーディケイド』2009年1月25日~8月30日放送/全31回
キャッチコピーは「全てを破壊し、全てを繋げ!」、「平成ライダー? 10年早ぇよ!」。「平成仮面ライダー10周年」を記念して製作された作品で、歴代の平成仮面ライダーが総登場し、主役の仮面ライダーディケイドは、第1作から第9作までの仮面ライダーにフォームチェンジすることができます。
また、同時期に放送されたスーパー戦隊シリーズ『侍戦隊シンケンジャー』ともクロスオーバーしました。本作は、以降の作品のストーリーと関連商品発売時期をスーパー戦隊シリーズ(毎年2月開始)とズラすことを目的として放送されたため、全31話となっています。
■第11作『仮面ライダーW(ダブル)』2009年9月6日~2010年8月29日放送/全49回
キャッチコピーは、「平成仮面ライダー10周年プロジェクト 秋の陣」「俺たちは / 僕たちは、二人で一人の仮面ライダーさ」「これで決まりだ!」。
「“次の10年”に向けた、新たなるシリーズの第1作」をコンセプトとした本作は、探偵ものの要素を多く含んだシリーズ初となる「2人で1人の仮面ライダー」がテーマ。主人公で私立探偵の左翔太郎と弟子のフィリップが同時に変身ベルトを装着することで仮面ライダーWに変身します。変身ベルトに装着するメモリは2人が複数所持しており、組み合わせることで様々な形態の仮面ライダーになることができます。
■第12作『仮面ライダーオーズ/OOO』2010年9月5日~2011年8月28日放送/全48回
キャッチコピーは「俺が変身する!!!」。本作は人間の「欲望」がメインテーマで、欲望から生まれる硬貨・オーメダルを巡る人間と怪人との争奪戦を描いています。
変身ベルト「オーズドライバー」に3種類のコアメダルを組み合わせることで変身できるのですが、怪人との戦いを通して新たなオーメダルを獲得できるため、変身バリエーションはシリーズ屈指の多さになっています。
■第13作『仮面ライダーフォーゼ』2011年9月4日~2012年8月26日放送/全48回
キャッチコピーは「青春スイッチオン」、「宇宙キター!」。仮面ライダーシリーズ40周年記念作品でもある本作は「宇宙」がテーマで、「宇宙開発」を色濃く出した設定。
シリーズ初となる「学園青春ドラマ」で、「天ノ川学園高校」を舞台に主人公で高校2年生の如月弦太朗を中心とした「仮面ライダー部」が活躍します。
キーアイテム「アストロスイッチ」を用いて仮面ライダーや怪人へ変身するため、怪人の正体は最初視聴者に伏せられており、「仮面ライダー部」が探索するという第11作に似たストーリー構成になっています。
■第14作『仮面ライダーウィザード』2012年9月2日~2013年9月29日放送/全53回
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キャッチコピーは「さあ、ショータイムだ!」。モチーフは「魔法使い」で、謎の儀式・「サバト」によって生み出された恐るべき魔物・「ファントム」を倒すため、白い魔法使いにウィザードライバーとウィザードリングを与えられたサバトに巻き込まれた主人公・操真晴人が変身して戦うストーリーです。
操真晴人は「絶望を乗り越えて」仮面ライダーになる過程や、その後も戦いにおいて度々苦悩する姿、敵側においても元の人間の人格を受け継いで異形に生まれ変わってしまった苦しみなど、苦悩する人間の心が深く描かれています。
■第15作『仮面ライダー鎧武(ガイム)』2013年10月6日~2014年9月28日放送/全47回
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キャッチコピーは「ライダー戦国時代」「キミはこの力、どう使う?」「キミはどのフルーツが好き?」。仮面ライダーは戦国武将をモチーフとし、錠前を使ってフルーツの意匠が施された鎧や武器を用いて戦う設定です。
黄金の果実を巡るそれぞれの団体を代表する仮面ライダーが戦い合う本作。『Fate/Zero』 や『魔法少女まどか マギカ』のシナリオを担当した虚淵玄氏がメインライターを務め、序盤から随所に伏線が散りばめられた深みのある作品となっています。
■第16作『仮面ライダードライブ』2014年10月5日~2015年9月27日放送/全48回
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キャッチコピーは、「この男、刑事で仮面ライダー!!」。仮面ライダーのモチーフは「自動車」で、シリーズ初となる刑事が主人公の設定です。味方として登場する人物の大半が警視庁所属で、ストーリーには刑事ドラマの要素が多く採り入れられています。
『DRAGON QUEST -ダイの大冒険』や『冒険王ビィト』の原作で知られる三条陸氏がメインライターを務め、マシンがないと変身できない、仮面ライダーは車にしか乗らないなど、自動車を仮面ライダーの重要な相棒と位置づける設定をしています。
■第17作『仮面ライダーゴースト』2015年10月4日~2016年9月25日放送/全50回

キャッチコピーは、「命、燃やすぜ!」「ヒーローは、一度死んで甦る。」「ゴーストアイコン争奪戦!!」。本作のモチーフは「幽霊」で、主人公でゴーストハンターの天空寺タケルは幽霊型怪人に一度殺されるも、死後の世界で出会った仙人に与えられたゴーストドライバーで
仮面ライダーに変身して蘇ります。しかし、99日間の内に英雄の魂を宿した15個の眼魂を集めなければ生者として蘇れないため、タケルの戦いは続くのでした。
本作のストーリーにおいては、宮本武蔵やトーマス・エジソンといった歴史上の英雄・偉人の存在が重要な要素となっており、仮面ライダーの変身フォームもそれらをモチーフとしています。
■第18作『仮面ライダーエグゼイド』2016年10月2日~2017年8月27日放送/全45回
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キャッチコピーは、「ゲームスタート!」「ノーコンティニューで運命を変えろ!!」。ゲームのバグから生まれた正体不明のコンピュータウイルスが人々を蝕む怪奇事件が発生していた2016年、聖都大学附属病院の電脳救命センター(CR)において、主人公で天才ゲーマーMの異名を持つ研修医の宝生永夢はバグスターを倒すための仮面ライダーとして戦うことになるストーリーです。
本作は病院を舞台に、「ゲーム」の要素が採り入れられています。仮面ライダーのデザインにおいてもモチーフとなっており、従来の昭和・平成仮面ライダーシリーズになかった“仮面ライダーらしくない”デザインが見られます。
■第19作『仮面ライダービルド』2017年9月3日~2018年8月26日放送/全49回
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キャッチコピーは、「2つのボトルでベストマッチ!」、「さぁ、実験を始めようか。」。主人公の桐生戦兎は平成仮面ライダー史上最高IQを誇る天才物理学者で、ライダーベルト「ビルドドライバー」に様々な物の力が封じ込められた「フルボトル」を2本装填することで変身します。
仮面ライダーの基本フォームは「ラビット(うさぎ)」と「戦車」のフルボトルを使用した「ラビットタンクフォーム」。ストーリーが進むにつれて新しく創りだされるフルボトルを「実験」と称して戦いの中で組み合わせ、新しいフォームの能力を活かして「勝利の法則」を編み出す戦闘スタイルが特徴です。
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
こうして振り返って見ると、平成仮面ライダーがいかに差別化を図ってきたかがうかがえますね。時代を超えて人気を得るには、デザインとストーリーどちらも欠かせない中で、仮面ライダーという本質を捉える必要もあると思います。
平成最後の「仮面ライダージオウ」は「時計」をモチーフとしていて、歴代全ての平成仮面ライダーの能力が使える設定です。本作を通して、平成仮面ライダーシリーズ人気の秘密を探ってみてはいかがでしょうか?