「GODZILLA 怪獣惑星」は国道246号線沿いで起きていた? 瀬下監督が挑んだ国産3DCGアニメの集大成とは 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「GODZILLA 怪獣惑星」は国道246号線沿いで起きていた? 瀬下監督が挑んだ国産3DCGアニメの集大成とは

11月17日、映画『GODZILLA 怪獣惑星』が公開された。本作は、昨年大ヒットを呼んだ『シン・ゴジラ』に続いて、1954年に誕生した『ゴジラ』シリーズで初めての長編アニメーションとなる。

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■アニメでも揺るがないゴジラの圧倒的存在感

――本作を観ていると、まだスクリーンに姿を現していない状況でも「ガオー」っていう鳴き声ひとつでゴジラという存在を印象付けられる、そのブランド力に驚嘆しました。

瀬下
そうですね。シンボルとしてのゴジラのすごさですよね。シルエットと鳴き声で我々はゴジラを感じられる。僕らはゴジラというキャラクターを本当にリスペクトしていて、ある意味ではゴジラさんという役者さんに「ちょっとアニメに出演してもらっていいですか?」みたいな(笑)。そんな気持ちでやっていましたね。

――それは『ゴジラ』をアニメ化するにあたって、世界観や舞台はSFですからガラッと変えたとしても、「ゴジラとはどんな存在か?」というテーマや精神性は変えないという話ですか?

瀬下
うーん、そのあたりは他のシリーズとの比較に関わってくるので難しいですね。少なくとも本作のゴジラは物語世界において圧倒的な存在で、尊敬や畏敬の対象です。「怪獣」と言う名前で呼ばれていますけど、単純な「生き物」ではなく、もっと神々に近い超越した存在。本来戦いを挑むべき存在なのかどうかという、まさに「天災」です。

ただ、造形としてのゴジラをどういう存在にすべきかは、初期段階から方針を決めていました。「御神木」のような、信仰の対象にもなりえる、そういう存在として描いています。


――そんなゴジラがいきなり地上に出現して人類に災いをもたらすという。やっぱり背景としてあるのは、シリーズ第一作目で本田猪四郎監督が描いた『ゴジラ』にもある、人類が生み出した恐怖の対象であったり?

瀬下
そうかもしれません。そこは第2章以降でおいおい語られてくるところでもあります。これまでに発表されている「年表」や、小説版で書かれた前日譚にもあるとおり、この物語世界では20世紀の終わりに突然「怪獣」と呼ばれる謎の生物が出現します。そして、その怪獣も人類も、区別なくすべてを駆逐していく孤高の存在がゴジラなんです。

――映画公開前に発表された前史によれば、アンギラスやラドン、カマキラスといった歴代シリーズの怪獣も登場していますね。これはゴジラが『VSシリーズ』で歩んできた歴史も包括されている感覚があるのでしょうか。

瀬下
そこはあまり意識はしていないです。あくまでゴジラは地球の生命進化の頂点にあって、地球が選んだ究極の生命として、地球全体に調和をもたらすというか、そういう圧倒的な存在です。これ、第2章以降に関わるヒントかも(笑)。


――おお。ところで先ほど虚淵さんの書かれるシナリオの魅力に「神話的」というキーワードがありましたが、本作のエクシフやビルサルドのデザインを見ていると、どこかエルフやドワーフといったファンタジー要素が感じられますね。

瀬下
そうですね。その通りです。相似性というか、異星人ではあるけれど、彼らが仮に剣と魔法の登場する太古のファンタジー世界に降り立ったとしても、そのまま成立できるという。そういったことを意識しながら、設定やキャラクターデザインを考えています。

――そもそも本作が2万年後という人類有史を超えた世界を舞台にしている点で、すでにファンタジーと言えそうです。

瀬下
はるか未来、はるか太古、どちらも神話的であるし、対称性がありますね。違うのはどの時点・視点から捉えるかだけです。その対称性が、魅力や共感に繋がるのではないかと思います。

■日本で3DCGアニメを作る真意とは?

――3DCGを使ったゴジラとの戦闘シーンは本当に素晴らしい迫力でした。3DCGアニメにおいてステージング(場面設計)は非常に重要と聞きますが、本作では実際に丹沢(神奈川県)などの現地取材に行かれたとか。

瀬下
はい。スケール感を肌で感じとって反映させるためですね。ちなみに、本作の舞台は海面水位が40mくらい上昇して、かつ地殻変動を起こした、関東を舞台にしています。


――あくまで舞台は日本なんですか?

瀬下
具体的には言えないんですけど、本作の舞台は今後2章や3章で起こる出来事を前提に、そこから逆算して着陸ポイントや、ゴジラとの戦闘の場所を設計しています。実は、今回の舞台って、だいたい国道246号線沿いで起こっているんです(笑)。

――ああっ、たしかに! どんどん降りていってますね(笑)。

瀬下
元渋谷から元丹沢までが本作の舞台です。次作以降で意味は繋がります。どうしてゴジラがあのエリアにいたのか、といったあたりです。


――本作のような3DCGアニメーションの場合、プリプロダクション(企画~試作)でどこまで綿密な設計図を描けるかが作品に大きな影響を及ぼすと聞きます。本作は企画から公開まで3年ほどを経ているわけですが、プリプロやプロダクションといった内訳はいかがですか?

瀬下
作業工程間でオーバーラップしているのでハッキリとは区切れないんですけど、最初の1年半ぐらいはずっとストーリー開発と、ゴジラのデザインや世界観設定をしていました。本格的にプロダクションに入ったのはこの1年間くらいだと思います。

――すると、かなり制作がかなり進んだ段階で『シン・ゴジラ』を拝見されたわけですね。制作に影響はありましたか?

瀬下
『シン・ゴジラ』を拝見して、大傑作で安心しました(笑)。静野監督も虚淵さんも同意見でした。日本の特撮文化において、代々受け継いできた唯一無二の『ゴジラ』ブランドの本流を、『シン・ゴジラ』が継承してくれたからです。我々は本流に対する支流のひとつでいられるわけです。その時点までにやってきたことを、自信を持ってやりきればいいと確信することができた瞬間でしたね。


――瀬下さんは『シドニアの騎士』をはじめ、これまでに数々の3DCGアニメに関わってこられました。例えば『亜人』ではモーションキャプチャーを導入されたりと、新しい試みにチャレンジされていますが、本作で何か新しい取り組みはありましたか?

瀬下
細かく言えば色々ありますが、本作はこれまでの集大成になると思います。2014年の『シドニアの騎士』から本格的に、3DCGによるセルルック表現にチャレンジしてきました。この手法が日本の商業映像の世界において、少しずつではあるけれど認知されてきたような手応えを感じ始めています。
欠点の多い3DCGというツールですが、その長所を活用して、たくさんのお客さんに感動的なストーリーを伝えられる手段、ジャンルとして確立できたらと思っています。
そういう意味でも、より多くの方々に『GODZILLA 怪獣惑星』をご覧いただくことが、僕らの願いです。

『GODZILLA 怪獣惑星』
(C)2017 TOHO CO., LTD.
《小松良介》
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