「GUILTY GEAR」石渡太輔氏x「楽園追放」水島精二監督対談―セルルック調3DCGの現状と課題とは | アニメ!アニメ!

「GUILTY GEAR」石渡太輔氏x「楽園追放」水島精二監督対談―セルルック調3DCGの現状と課題とは

「まるで2Dアニメーションのような3Dグラフィックス」―日本最大のゲーム業界カンファレンスCEDECにおいてビジュアル・アーツ部門のアワードを受賞するなど、業界内外のトップクリエイターから高い評価を受けた『GUILTY GEAR Xrd』の3DCG技術。

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「まるで2Dアニメーションのような3Dグラフィックス」―日本最大のゲーム業界カンファレンスCEDECにおいてビジュアル・アーツ部門のアワードを受賞するなど、業界内外のトップクリエイターから高い評価を受けた『GUILTY GEAR Xrd』の3DCG技術。最新作となる『GUILTY GEAR Xrd REV 2』の発売を間近に控え、ニコニコ動画では『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』のストーリーモード配信が実施される他、『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-』ストーリーモードの鑑賞会も予定されており、非常に人気の高いシリーズとなっています。

■「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」ストーリーモード#1
http://www.nicovideo.jp/watch/1460005465
今回は本作のゼネラルディレクターであり、「GUILTY GEARシリーズ」の生みの親であるアークシステムワークス石渡太輔氏と、3DCGで徹底したセルアニメ表現を行った人気作「楽園追放」の監督を務めた水島精二氏のお二人をお招きし、セルルック調3DCGの現状と今後の展望について存分に語って頂きました。

水島精二氏(写真左)と石渡太輔氏(写真右)
●プロフィール
【石渡太輔氏】
「GUILTY GEARシリーズ」ゼネラルディレクター。「GUILTY GEARシリーズ」の生みの親であり、本作ではキャラクターデザインからシナリオ、音楽制作までを幅広く手掛ける。
【水島精二氏】
アニメーション監督として、「機動戦士ガンダム00」や「楽園追放 -Expelled from Paradise-」のほか、数多くの有名作品を手掛ける。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
――本日は宜しくお願いいたします。さて、お二人は旧知の仲とお伺いしておりますが、最初に会われたのはいつ頃のことですか?

水島精二氏(以下、水島氏):最初はアメリカで出会ったんだよね。

石渡太輔氏(以下、石渡氏):はい、アメリカのアニメ・エキスポ(※1)というイベントに日本人クリエイターとして招待されて、そこのゲストルームで初めてお会いしました。

水島氏:僕はその時「ガンダム00」で招待されていて、同行した黒田くん(黒田洋介氏:シリーズ構成及び脚本を担当)と石渡くん、森くん(森利道氏:BLAZBLUEシリーズプロデューサー)が意気投合して。二人ともすごく気さくで、僕らの作っているアニメも好きだと言ってくれて。

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石渡氏:私としてはゲーム業界以外の方とお会いする機会が珍しくて、非常に良い経験をさせて頂きましたね。日本に帰って来てからも何度か食事会やイベントでお会いする機会がありました。

水島氏:会うたびに長くお話させて頂いて、僕はもう友達だと思っていますよ。

石渡氏:ありがとうございます!ここ絶対書いてね!

(一同笑)

※1:日本アニメーション振興会によって毎年開催されるアニメ系イベント。会場はロサンゼルス・コンベンションセンター。通称AX。

――お二人とも、ありがとうございます。間もなく『GUILTY GEAR Xrd REV 2』という新作のリリースもありますが、作品のお話に入る前に改めて「GUILTY GEARシリーズ」について簡単にご紹介頂けますか?

石渡氏:『GUILTY GEAR』は端的に言うと、僕自身が『ストリートファイターII』に影響を受けて作った「アニメっぽい格闘ゲーム」です。1998年に最初の作品が発売されてからファンの方々に支えられ続いているシリーズ作品となります。格闘ゲームというのは月日が経つにつれてどんどん難しくなって、新しく始める方のハードルが高いように思われてしまうのですが、最新作『GUILTY GEAR Xrd REV 2』に関してはそういった方も気軽に楽しんでいただけるような作品になっています。

――今はアーケードだと、お金を入れなくてもチュートリアルモードが起動するようになっていますね。走ったりジャンプしたり、基本的な行動が出来るようになっています。

石渡氏:そうですね!全く格闘ゲームが分からなくてもいいので、まずはとにかく触ってもらおうと思っています。

――水島監督には事前に『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-』のストーリーモードを見て来て頂いています。率直なご感想を頂きたいのですが、最初に見た時にどう思われましたか?

水島氏:良く出来ていると思いましたよ!物量が膨大なのでシーンごとのばらつきはありますが、モデルの出来もすごく良かったし、「ここ見せ場だ!」っていうくだりとか、派手なところの演出は非常にクオリティ高くて。十分、映画レベルのことをやっているなっていう風には思いましたね。

石渡氏:ありがとうございます!

水島氏:光源から身体を動かす際、3Dだと絶対に消えない影パカ(モデルの移動に伴い、影の部分にちらつきが生じる現象)などもあるのですが、この辺りの光の表現もすごく頑張ってて。アクションシーンも素晴らしくて、モデルの出来の良さもあってすごく見栄えが良かったですね。ただ、会話シーンなどはカメラのパン(移動)や髪の揺らし方がくどい感じもありました。

石渡氏:僕らも手探りで作っているものですから、最初はキャラクターが2人立って会話形式で進んでくことを想定していて。動かしてみたら結構やれることが増えて、だんだんこういう感じになっていったんですよ。セルアニメの手法を見て学んでいくうちに、最初僕らは、「動かしてないと間が持たない」のではないかと思っていて。

水島氏:それ、3Dの人ってみんなそうなの!僕が「楽園追放」をやった時に最初に言ったの、「止めろ!」ですからね。

石渡氏:そうなんですよ!最初のうちは「どうしてアニメっぽくならないんだろう?」といろいろ研究して。フィクス(カメラを固定して配置すること)が少なかったりとか。髪の毛の話もそうなのですが、どうしても絵を止めるのが怖くて。イラストでいうところの、空白があるのが怖いという強迫観念に近いものかも知れません。

――止めるのが怖いというのは、まさに3DCG特有の考え方ですね。

水島氏:あとは、立体感を強調するために広角レンズを使用してカメラを動かすと、画の決まりは良いけどそちらに目が行ってしまって会話が頭に入らなくなってしまうこともある。その辺りシーンごとにばらつきがあって、ディレクターの理解度なのかな?と。結構ディレクターの人数いたの?

石渡氏:実はいないんですよ。僕らが作っているのは、モーションじゃなくてポーズが数十種類用意されていて、それをスクリプトで補完するんです。打ち込むのは僕ともう1人だけ。こういうものを、2人で2か月で作るんですよ。

水島氏:2人!?嘘でしょ!?(笑)

石渡氏:音楽とかも作っていて。ポーズも足りなければ作って、それを無理やり突っ込んで進展させていくという形で、すごい作り方をしています。

水島氏:それであのクオリティ!?すごい!であれば、十分ですね!

(一同笑)



◆水島監督お気に入りのシーンは?

――見せ場や派手な演出などクオリティのお話もありましたが、水島監督がストーリーモードをご覧になられた時に、ここが一番好きだったというシーンはありますか?

水島氏:すごいなと思って目に止まったのは、派手に動いているところなどですね。あと後半の方で、でかいのが戦っているところも良かった。あの部分は外部に発注したんですか?

石渡氏:いえ、あれは社内の3Dアニメーターです。

水島氏:それも凄い。以前テストショットを見せてもらった時にも感じたのですが、僕らの業界でアニメーションを作っているクリエイターと肩を並べるだけのスキルは持っているなと。本当にそう思いますよ。30分のOVAであれば、社内で出来てしまうと思います。

石渡氏:ありがとうございます!あとは、僕ら基本的に絵コンテ(映像作品の撮影前に用意するイラストによる進行表)っていうものがないんです。

水島氏:絵コンテがないの?!(笑)

石渡氏:基本はないんです。最後の方に飛行機が飛ぶシーンがあるんですけど、あれも絵コンテはなくて、「こういうロケーションがある、かっこよくしてくれ」という注文で。

――そういった指示でも、きちんとあれだけの映像が上がって来るのがすごいですね。

石渡氏:はい、すごく短い時間で作ってくれて。でもこれを予算や時間で考えてしまうと、全然出来ないんですよね。お金も時間もかかってしまうから。

水島氏:凄いなぁ。無茶ぶりだから出来た、みたいなところもある?

石渡氏:そうそう、そうなんです。

――先ほどキャラクターのモデリングの話が出てきましたが、「GUILTY GEARシリーズ」はかなりたくさんの登場人物がいますよね。ストーリーモードをご覧になられた時、水島監督の方でお気に入りのキャラクターはいましたか?

水島氏:(イラストを見ながら)ファウストとポチョムキンですね。無理なく所作ができるようなモデルの作り方をしていて、なおかつ石渡さん自らやっているからっていう理由もあるとは思いますが、イラストを3D化するときにイメージを損なうようなことがなかった。良いバランスでモデルを作っているなぁと思いましたね。

石渡氏:でかい組ですね、奇しくも声優が同じ方です。近藤隆さんですね。

水島氏:やっぱり特徴あるよね。あとは女の子もみんな可愛かった。

――石渡さんはイラストやコンセプトアートも描かれていますが、2Dイラストと3Dモデリングでギャップを感じた部分や、苦労したポイントなどはありますか?

石渡氏:僕が『GUILTY GEAR Xrd』に入るまでに描いていた絵は、アニメ向きの絵柄ではないんです。なので、Xrdシリーズに入ってからはそのイメージの齟齬を少なくするために、僕自身がアニメ風の絵柄に寄せていったという形です。ただ、最近はその考えも少し改めて、イラストについてはその中間を模索しているようなところはあります。


◆ゲームとアニメ、それぞれの巨匠2人に訊く、3DCG制作におけるワークフローの違い
――ゲームとアニメ、それぞれ作るうえでの共通点と違う点はどういった部分でしょうか?ワークフローとして違うところがかなりあるというか、GUILTY GEARはお話を伺う限りかなりイレギュラーな作り方をされているような印象ですが。

石渡氏:そうですね。恐らくうちのような作り方をしているところは、世界中どこを探してもないと思います。

(一同笑)

水島氏:音楽も社内で発注して管理して、台詞と合わせるのも社内でやっているんだよね?

石渡氏:全部2人でやっています。一応下地で、このシーンでこのキャラクターを読み込んでおくみたいな部分は他の人間に作ってもらったりするんですけど、基本は2人で、音楽も効果音も合わせたりしていますね。効果音も全部ゲームで使われているもので、それを聴きながら「どれを使おうか?」と自分たちで選んでいます。

――全て自分たちで行っているのですね。実作業的には、具体的にはどういう流れで行っているのですか?

石渡氏:まずは僕の書いたExcelの台本をもとに、こういうシーンがあるからこういう背景が必要、こういうポーズが必要というのを試算しておきます。あとはもう、スクリプトを打つ2人がそれらを料理する段階で、ガーッと(笑)。当然やりながら足りない、想定していなかったことなども発生するので、その都度素材を足していきます。

ただ、この方法も利点もあって。それはリトライが容易ということです。最初の想定とは別のアプローチがすぐ試せますし、こっちから見えるはずだったけど、逆側から見せた方が良いとかっていうのを簡単に変えられるのはリアルタイムのいいところだと思います。

水島氏:思った以上に手作業だった!

(一同笑)

水島氏:でも、そうするとシーンごとに差があるっていうのもわかります。相当、家内制手工業みたいな作りというか。

石渡氏:そうですそうです!作業的には物語後半まで進んでいる段階で、また冒頭部分を直したくなったりもしますね。

◆ハード的な制約を踏まえて制作を行っていく

石渡氏:僕らの映像はゲーム機で再生するものなので、ロード時間が含まれるんですね。データも軽くしないといけないですし、シーンを区切るテンポのようなものがアニメと論法が違っていたりするんです。特に現在はPS3も対象になっているので、あまり容量をリッチに使えない部分もあります。

連続で一本の動画にしても、アニメとはかなり異質なものになってしまうところもあるので、これを解消していくやり方がいいのか、ゲーム特有の論法を僕たちが独自に進化させていく必要があるのかっていうのが今の課題です。

水島氏:完全に一緒とはいかないよね。僕も昔、ゲーム機の中に入るアニメーションを作ったことがあるんだけど、大きく画面を変化させるとその分データが重くなって読み込みに時間が掛かってしまうというのをゲームのデザイナーに言われて、「そんなの分からないよ!先に言ってよ!」って(笑)。

◆3DCGだからこそ出来たこと
――3DCGならではの制約も多々あったとは思うのですが、逆に3DCGだからこそ出来たという演出があれば教えて下さい。

水島氏:「楽園追放」は、作画アニメの方法論を使っていて、意外と3DCGじゃないと出来ない事ってやってないんですよ。むしろ、凄い作画アニメにどれだけ迫れるかを模索したんです。前半で、「アーハン(「楽園追放」に登場する球状のロボット)」が球体からロボットの形に変形するシーンなんかはその好例で、アーハンがくるくる回りながら変形していくシーンなのですが、東映のプロデューサーの要求もあり、ワンカットでぐるっと回りつつ、かっこよく変形させる演出になり。結果的にスーパー3Dアニメーターが三日徹夜して仕上げてくれました。

途中から発生したパーツもいっぱいあるんだけど、そういうところは上手くフレーム外や、写っていない部分からスタートさせて。3Dもそういう無茶って、クリエイターのセンスがあればできるんですよ。

石渡氏:僕らからすると、工数が少なくいろいろなカットを作れるところが3Dの大きな利点なんです。アドベンチャーゲームのようにただ会話するシーンでも、それを横向きにするか正面向かせるかは、アングル一つの操作で終了できます。

水島氏:モデル自体を作り込んで、どの方位から見ても違和感がないようになっていれば、汎用性がものすごく高まります。一度ちゃんとモデルを作っておけば、微妙な角度の変化は簡単につけられるし、演出的な意図に沿ったものを詰めやすいところはありますね。

――『GUILTY GEAR』のストーリーモードは、演出的には思い描いていたことの何割くらいが達成できましたか?

石渡氏:えーと、6割ですね!

水島氏:やっぱり制約があるよね。本当はアップでやりたいところも、アップだと密度が足りないし、逆にロングでやると密度があってガチャガチャして見えたりとか。ひとつのモデルで全部やりきろうと思っても「意外とできない!」っていうのはあるよね。

石渡氏:そうなんですよ。あとは女性キャラのあおりがすごく難しくて。ごつい男性キャラならあおりにも耐えられるんですけど。

水島氏:あのね、女性キャラはあおらない。あおる場合は、あごを引く!モデルの位置を少し高くしたりとか、背景とのバランスを考えて整えたりとか、カットごとにきれいに見えるように調整をする方がいい。見栄え重視、それで良いんですよ。実写でもそうなんですけど、撮りたい画のために画面外で嘘をつく。例えば複数台カメラがある中でどの絵を使うかと言えば、それは女優が美しく撮れている方に決まっているじゃないですか。

石渡氏:僕らはそこを技術でなんとかできないかっていうのが、これからの課題だと思っています。


◆3DCGではいまだ到達できない「魂の部分」

――3DCGならではの演出やワークフロー、利便性と弊害と、様々な内容をお伺いして来ましたが、「今まで手描きで出来ていて、3DCGではどうしても再現出来ない」という部分があれば教えて下さい。

石渡氏:それはいくらでもあります。手で描いたものは、それがどう動いているかの知識がない方でも、100%感動が伝わると思うんです。昔で言うと「AKIRA」という映画の序盤でビル群が3DCGみたいにがーっと動くシーンがあるのですが、あれは今見たらぎょっとすると思うんですよ。

あと未だに記憶に残っているのは、鉄雄の手がぐしゃってなっていくシーン(力を使い過ぎたことにより、片腕が暴走するシーン)。これを今の3D技術で近いことやっても、絶対にこんな記憶の残り方はしないだろうなって。おそらく、そういう「人間の魂」に由来するような部分の表現っていうのは、3Dで出ない部分が多分あると思います。

水島氏:不定形なものの表現が難しいと思っています。「楽園追放」では、煙の表現に苦労しました。煙に芝居をさせようと思っても想定通りに動かない。なので、煙が具体的な芝居をする所、例えば、爆破されたビルの煙の中からディンゴ(楽園追放の登場人物)がバギーで出てくるシーンは作画です。そこにはいかにも覆い被さるような粘度の高い煙が必要だったんですけど、下に行った煙が上に巻き上げられて次々に奥から押し出されていくという演出は、3Dで制御するのは難しく、作画でやった方が圧倒的に意図通りの画が出来ます。

あとは純粋に作画力というか、ものすごく歪んでいる絵など圧倒的なイマジネーションを感じる手描き絵って、やっぱり魅力がありますよね。

――不定形なもの、そして魂に由来するものなど、やはり有機的な揺らぎのある表現は手描き特有の魅力があるのですね。最後にお2人にお伺いします。これまでのお話の総括として、「CG表現を使った今後のゲーム、アニメの展望」についてお伺いさせて下さい。

石渡氏:僕らは当初、誰もこういったもの(『GUILTY GEAR Xrd』のストーリーモード)が出来るなんて思っていない段階で企画を進行しています。だから僕ら自身は、これからも本当に好きなようにやっていくと思っています。

水島氏:「GUILTY GEARシリーズ」のように少人数の同じチームで継続して作るのであれば、飛躍的な進化よりは、経験を積んでいく中で新たな表現を見つけ出す、みたいな形になるのかなと。そういうのって大きいプロジェクトではなかなか出てこない変化だと思います。資産を生かして新しいものを作るための創意工夫から、新たな技術が生まれてくる形。作品を作ってる間でもそれがあったみたいだしね。

石渡氏:そうですね、今だってたくさんあります。

水島氏:それによって、我々アニメ畑の人間が何工程も使って達成しているようなことが、実は2工程くらいで済むようになったりするかも知れない。スクリプトで制御するっていうのも、ゲーム業界だから出てくる発想でしょうし。

あと、僕らは僕らで、3Dアニメがこの先どうなって行ったら良いのかということを良く話すんだけど、やっぱり「今までなかったような新しいルック(映像作品全体のビジュアル的印象)」というものが生み出されないと、日本のアニメーションシーンは海外と肩が並べられないとは思っていて。不思議なことに、スーパーアニメーターが作ったカットの方が、3DCGでどんなに頑張ったカットよりもエモーショナルなんですよ。3Dは加工して多少変形もするから色々出来ることが多いのですが、アニメーターが脳内で考えたものを具現化して、1本の線を引いた時に生まれる圧倒的な生き物感、魂が込められたものは画面にものすごい力を与えるので、恐らく同じことを3Dでやっても勝てないんです。

だから、密度の問題とかも含めて、「これぞ3Dだ!」っていう表現、実写でもない、ディズニーがやっているようなトゥーン風の感じでもない、作画に寄せたセルシェーダーでもない、「第四のルック」みたいなものを目指していくべきだと思っています。でも、それがどんなものなのか俺も分からないまま、3年経ってしまった(笑)。

ただ、3DCGも単純に表現方法のひとつなので、今後は一つのアニメの中に作画と3Dとフラッシュが全部入ってきて、もっと混在一体化していくのではと思います。そこからまた新たなスタイルが生まれたり。そのころまで俺が生きているかは分からないですけど。

石渡氏:いつの未来を見ているんですか(笑)。

水島氏:もう歳だからさ(笑)。未来は未来だけど、それが実現した時、俺はいない確率高いよ。

石渡氏:電脳化されているかもしれないじゃないですか!

(一同笑)

水島氏:でも、自分たちの作品で描いたようなことが実現してたりしてね。なにかブレイクスルーが見付かると急激に進歩するから、そういう場に立ち会えたらいいなとは思っています。ただ結局、社会的にも合理化が進む中、みんな技術者が考える効率化の外の部分にエモーショナルな感情を抱くと思うんです。さっきの魂の話じゃないけど、みんなそこにはみ出たいんだなって。



◆「GUILTY GEARシリーズ」の今後について

――お二人とも、長い時間本当にありがとうございました。最後に石渡さんに質問です。「GUILTY GEARシリーズ」の今後のロードマップについて、教えて頂けますか?

石渡氏:ロードマップはあってないようなものではありますが、次に出る作品(『GUILTY GEAR Xrd REV 2』)が終わったら、次は何年後にどのくらいの規模のものを出さないとね、という話はあります。「GUILTY GEARシリーズ」に関しては、今回の『GUILTY GEAR Xrd REV 2』以降の次回作についても、楽しみにお待ちいただければと思います。

――REVELATORのストーリーモードでは今回の事件の黒幕も分かり、シナリオ的には一旦終わりに向かう形なのかなとは思いました。

石渡氏:そうですね。あとは肝心の「あの男」のお話と、あとは初代から言われ続けていた「あの男と主人公の因縁」に決着を付けて終わりたいと思っています。キャラクターに関しては、皆さんがゲーム本編を買ってくれたら思いのままに増えて行きます(笑)。現状はキャラクターを出す順番も決めていなくて、次に目指すもののコンセプトを立てて、それに則したキャラクターを随時追加したいと考えています。

――はい、期待してお待ちしております。この記事の公開と同時に、ニコニコ動画では、『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』のストーリーモードが公開されますが、どういったポイントをおすすめしたいですか?

石渡氏:「GUILTY GEARシリーズ」は長く続いているので予備知識が必要と思われるかも知れませんが、『GUILTY GEAR Xrd』からは取り扱っている事件に関しては全て独立した一連のものになっています。ですから、この機会に初めて「GUILTY GEARシリーズ」を知ったという方がいましたら、ぜひ興味を持って見て頂けると嬉しいです。

――ありがとうございます。水島監督からも、どのようなところに着目して見ると良いかなどのポイントと、応援メッセージなどを頂ければと思います。

水島氏:最近はアニメでも珍しくなってきた「多数のキャラクターがそれぞれの思惑を持って何かを為そうとするストーリー」というものが汲み取れます。格闘ゲームというものが煮詰まっていく中、こうした試みで間口を広げようとしている努力はすごく感じますし、ゲームが得意でない方でも魅力的なキャラクター性をおいかけて楽しむことの出来るクオリティの作品だと思います。僕も新作が出たらやってみようと思っています!

――本日はありがとうございました!

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《神山大輝》
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