宮崎駿、高畑勲などの傑作を次々に世に送り出してきたスタジオジブリが、新たに海外アニメーションの製作に乗り出した。2015年12月10日に大手映画会社の東宝は2016年の配給作品のラインナップを公開したが、そのなかにマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の『レッドタートル THE RED TURTLE』が2016年9月公開とされたのが注目される。 『岸辺のふたり(Father and Daughter)』で世界から絶賛されたフランス出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の最新作である。ヨーロッパの作家性の強い作品を大手の東宝が配給するのは珍しい。
実は本作は日本との関わりが深い。クレジットによれば製作はフランスのワイルドバンチ、そしてスタジオジブリである。ジブリが製作出資の主体であることが分かる。 スタジオジブリはこれまでも、映画配給や映像ソフトの発売を通じて海外の優れたアニメーションの日本への紹介を行ってきた。『レッドタートル THE RED TURTLE』もそうした一環となるが、今回は作品制作自体に深く関わるのが異例だ。
『レッドタートル THE RED TURTLE』は、すでに2015年6月にフランスで開催された世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭で紹介されている。制作進行中の注目作を紹介する「Working in Progress」の目玉のひとつとなった。 プログラムではマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督を初めてとするスタッフが、作品のコンセプトやアートワークを解説した。そこではスタジオジブリの高畑勲や鈴木敏夫プロデューサーについても多くが言及された。なかでも高畑勲は創作の部分でも大きな協力を果たした様子だった。今回、高畑勲は『レッドタートル THE RED TURTLE』でアーティスティック・プロデューサーとクレジットされている。そうしたことからも作品との関わりが窺える。
国内では2014年公開の『思い出のマーニー』以降、長編劇場アニメの動きは見えないが、スタジオジブリの創作活動は依然続いている。現在CGアニメによる短編を制作中とされている宮崎駿監督と共に、2016年は『レッドタートル THE RED TURTLE』の動向から目が離せない。