※これまでの経緯が気になる方は【第12回】連載目次を参照して下さい。
“気が重い”仕事につきまとう「取りかかりの壁」を気楽に乗り越えていける方法はないものか……?
私の性分は、その時の気分にすごく左右されるテンション型。
嫌なことを、嫌なことのままではやりたくない!”という気持ちになりやすいため、気が重いタスク、たとえば難易度が高い長文原稿とかに着手することがなかなかできませんでした。
前回は、「取りかかり」の敷居を低くするためには、作業を「嫌な作業」から「楽しめる作業」に変換することが必要なんだと気付きました。
そして『艦これ』(ゲーム『艦隊これくしょん』)からヒントを得て、《タスクに着手する順番を工夫することで、重たいタスクに着手するテンションを上げられるのではないか?》と気付きました。
そこから考えたのが、段階的に「楽しいタスク」から「本題タスク」に移行していく方法です。
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朝起きたら、
1.その日に脳が夢中になれる作業は何かなと考えて、自分がやりたい衝動にかられることから始める。
2.その作業をすることでテンションを上げて、達成感を得ていきながら、やらなきゃいけない本題タスクに移行していく。
やりたい作業を連鎖させて繋げていく「リレー方式」にすることで、本題タスクに関連するものに手をつけようという作戦です。
■取材準備はコスメポーチから手を付ける
私の場合なら、その日に「片付けマイブーム」がきているなと感じたら、
書類をカテゴリー別にファイルに入れる→仕事関連ノートに項目見出しをつけていく→そのノートに気づいたこと、原稿に書きたいことをメモしていく→PCを立ち上げてノートのメモをワード文書に打込みながら原稿に着手していく。
片付けを抽象化すると「分類」にあたるので、分類から派生したタスクをどんどん繋げていく感じです。
現在では、毎朝生まれてくる様々な「マイブーム」と「本題タスク」を意識的にリンクさせています。
撮った趣味写真をPCに吸い出して眺める→デスクトップのフォルダの整頓→書かなきゃいけないメールを書く→書いたメール文章を読むと自分が次にやるべきタスクが明確になるので、それに着手する。(メール文は、読み返すと自分への「これをやろうね」申し送りになっていて便利です)
気が重い、身体が動きにくい「準備ごと」も、その方法でクリアしていきました。
たとえば大きな取材に向けての準備。
私は取材ものやインタビューが大好きで、お相手のお話をとにかく知りたい、わかりたい! この幸せを味わうためにライターをしているようなものです。
ですが、お相手の方に楽しくお話していただくためには、事前準備としてたくさんの資料を頭に入れないといけません。
だから取材準備の敷居は高くなりがち。
資料の山を見て「こんなにあるのか~」とくじけることもあります。
そんなときは、「買ったばかりのコスメを、ポーチの中にどんな風にセッティングしようかな」と、自分が好きな「分類ごと」に意識を向かわせます。
ポーチから始まって、持っていく荷物の選び出しをしているうちに、取材相手の方に質問したいことや調べたいことが頭に浮かんでくるようになるので、そこから「~について知りたい!」気持ちを利用して資料を読んでいくようにしました。
朝一、作業の取りかかりがおっくうなときは、「自分の得意分野」を利用すると良いです。
私の場合なら「分類ごと」。得意分野を入れると、早くやる気になって早く本題タスクに移行できる気がします。
まず最初は、取りかかって楽しい!と思える作業を見つける。それをやって達成感を得る。で、その次の作業に移行するときに初めて、て「本題に近いタスク」を探すことを意識していくと良いと思います。最初から本題に近いタスクに繋ごうと思うと挫折したりしますから。
テンション型にとって、マイブームという衝動「=今この瞬間の気持ち」はとても大切なエネルギーなので、そのエネルギーをうまく活用して、本題タスクに変換していけば良いなと思います。
【まとめ】
★気分でやる気が左右されてしまうテンション型の人は、自分をうまくノセてあげる
★朝一、その時の自分の気分を上げる作業を探す(できるだけ仕事に近いものになるように意識する)
★それに類するものを満足するまでやって、達成感を得る
★マイブーム作業をリンクさせることで本題タスクに繋げていく
■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香