舞台セットは黒とゴールドを基調にしたセット。中央には楕円形のスクリーン。まずはDevil May Cryのシーンから始まる。 表向きは便利屋なのだが、その実態は悪魔絡みの事件を解決するデビルハンターだ。ここに”シックス”と名乗る1本の間違い電話が。そしてレディがダンテのところに駆け込んで来る。異世界に連れていかれる謎の”戦国遺跡”を調べて欲しいと言う。暇だったダンテはトリッシュやレディと共に”一泊旅行”の気分でお気楽に行くことにする。
全体としては、今までのシリーズのよいところを踏襲しつつ、そこに『Devil May Cry』の主要キャラクターを絡ませて、新しさを出している。2つのゲームのコラボ舞台なので、普通なら絶対にあり得ない”対決”がこの作品のハイライトだ。 プロジェクションマッピングをふんだんに使い、効果音とともにゲームっぽさを舞台上にあふれさせる。伊達政宗は「自分の名を名乗る者がいる」と聞きつけ、仲間とはぐれたダンテと出会う。
コラボ企画だからこその”競演”、『Devil May Cry』のキャラクターと『戦国BASARA』のキャラクターの一騎打ちは必見。もちろん、皆、”お約束”のポーズでキメて、おなじみの武器で戦ってくれるので、逆に”この対決はゲームだとどういう感じなのだろうか”と想像してみるのも楽しい。今回のアンサンブルは前回までのシリーズとは異なり、アクロバットが多い。総勢13人がところ狭しと暴れまくる。 アクション担当は浅井星光、ダイナミックかつ華やかなフォーメーションで作品世界を大きく見せる。映像は横山翼、石田肇で最近では舞台『東京喰種トーキョーグール』が記憶に新しいが、単なる背景ではなく、キャラクターの心情や置かれている状況なども映像で抽象化して見せ、作品世界に奥行きを与えている。
キャストも『戦国BASARA』はもちろん、『Devil May Cry』のキャストもよく役に馴染んでいた。ダンテ役の鈴木拡樹は身のこなしも軽く、剣と二丁拳銃を小気味好く扱うし、対して伊達政宗は6本の刀でのアクション、また、真田幸村は2本の槍をダイナミックに使いこなしたり、ちょっとボケてみせてくれたりもする。こういったキャストの”働きぶり”は頼もしい限りだ。
なお、ゲネプロ前に会見があった。ダンテ役の鈴木は「今、お祭りの時期ですが、『戦国BASARA』は10周年、お祭りです。だから我々にとってはこれがお祭りです。来年はゲームが発表されてから『Devil May Cry』は、15周年です。お祭り騒ぎになるように頑張ります」伊達政宗役の山口は「ここにしかない物語が出来るのでこの歴史の目撃者になってください」と挨拶。 続いてバージル役の南羽は「『Devil May Cry』初の舞台化、すごくプレッシャーですが、やってきたことを全て出し切りたい」とコメント。真田幸村役の松村は「夏の暑さに負けないくらい熱い舞台に!」と意気込んだ。実際、大汗かいての熱演であった。 前田慶次役の伊阪は「明るく、元気に、最高の夏に!」と威勢良くコメント。浅井長政役の桜田は「『戦国BASARA』10周年、花火と思って頑張ります、市の分まで!」と語る。今回、愛するお市の方は登場しない分、見せ場では張り切っていたのが印象的であった。 毛利元就役の小谷はこの日行われた甲子園決勝戦にかけて「決勝戦のつもりで!」と決意表明。レディ役の柴は「男の子たちに負けないように!」と力強く。もう1人の女子、トリッシュ役の階戸は「この10周年の舞台に立たせて頂けて光栄です」とコメント。明智光秀役の谷口は「10周年、10作品目で初のコラボ、実は初演から出てるのは僕だけなんです……陰で”長老”と呼ばれるタイプになりました(笑)」、このコメントで客席から笑いが起こった。黒騎士を演じる吉田は「表現の限界に挑戦してきました」と語ったが、この役は”キーマン”。謎の多いキャラクターだ。
脚本・演出の宇治川まさなりは「この作品に出てくる対決はゲームでは見られません。数々の武将たちのオリジナルな対決があります」と見どころをアピールしてくれた。 カプコンの小林は「『戦国BASARA』が10周年、『Devil May Cry』が15周年、(どちらも)長いゲームシリーズです。どちらも新しいシリーズが出ました。そこで特別なことをやろうということで、この舞台が出来ました。凄く楽しみです……黒騎士はオリジナルキャラクターです。とにかくいろんな方に楽しめる舞台になっています」と締めくくった。