11月28日(金)から始まった「進撃の巨人展」、初日と2日目はチケットが完売と始まる前から盛り上がりを見せている。15巻という少ない巻数ながら累計4000万部を突破している『進撃の巨人』、人の形を催した生き物が人間を食べる。そんなグロテスクなファンタジーに、なぜ人は惹かれるのか、その理由がこの展示会で見えてきた。「進撃の巨人展」はかなり挑戦的な展示会に見える。生原稿だけにとどまらず映像とキャストによるオープニングや、マンガに出てくる食べ物やマフラー、ヘッドマウントディスプレイによる360度シアター、そして実物大の巨人の展示だ。全て迫力があり面白い展示となっているが、その中でも圧倒的な力を持っていると感じたのは生原稿だった。『進撃の巨人』の作者である諫山創さん、その成り立ちを展示した「諫山創をつくったもの」「諫山創がつくったもの」と題した小さなブースに注目した。「諫山創をつくったもの」には格闘技、マンガ、ゲームが並べられ、どれも説明を見なくても頷けるような作品たちだ。その中でも引っかかったのがゲーム『マヴラヴ オルタネィティブ』だった。この作品は恋愛アドベンチャーゲーム、いうなればギャルゲーであり、その界隈では良作として有名な作品だ。女の子と恋愛をするのがメインなのにも関わらず、ロボットに乗り「BETA」という人を食らう謎の生物と戦う過酷な物語となっている。マンガ版『マブラヴ オルタネイティヴ』の7巻で 諫山さんがこの作品にかなりの影響を受けていること答えている。このブースではかなりグロテスクなイラストも展示され、「進撃の巨人展」だからこそできるかもしれない。「諫山創がつくったもの」には幼少期から諫山さんの作ったものが並べられていた。それは絵や粘土、陶器や習字、そして描いたマンガなどだ。衝撃的だったのは人気マンガ『ワンピース』のゴーイングメリー号を模った陶器、それは諫山さんが課題で作ったものだという。『進撃の巨人』と『ワンピース』は今を代表するマンガの第一線を行く作品だと思うが、その内容は相反している。人がほとんど死ぬことはなく、希望に満ち溢れた物語の『ワンピース』と多くの人の死を描き絶望の色が深い『進撃の巨人』。全く交わらなそうな2作品だが、諫山さんはその『ワンピース』のメリー号を作っている。『ワンピース』の人気を感じると同時に、諫山さんが『ワンピース』をどう思いながら見ていたのかが気になるところだ。生原稿の展示のスタートには「鳥籠の中で一生を終えるのか。抜け出すために戦うのか――。どちらも同じ一生だ。ようこそウォールトウキョウへ」作品の言葉が、生原稿が並ぶ。言葉の次に目に入った原稿はとにかく絶望するシーンばかりだ。最初から背景が5巻に登場した主要キャラクター達が自分たちの絶望を創造し、巨人たちに食われていくシーンということもあり、心が折れかけた。しかし目を背けられない。そうして生原稿をじっくりと見てしまう。作者本人も述べているが、『進撃の巨人』は絵が特別上手いわけではない。でも読む手が止まらない、どんなに残酷な次が待っていてもページをめくってしまう。そんなマンガで味わった感覚を、この展示会でも味わった。帰ってきたら、きっと1巻から読み返そうと思うだろう。「進撃の巨人展」http://www.kyojinten.jp/『進撃の巨人展』(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人展」製作委員会
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