劇場版も公開、初の舞台化「K」、演劇の原点に帰った演出、マンパワーで作品世界を魅せる! | アニメ!アニメ!

劇場版も公開、初の舞台化「K」、演劇の原点に帰った演出、マンパワーで作品世界を魅せる!

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義:■劇場版も好調、超能力者が紡ぐパラレルワールド、それが『K』、■ アニメ感満載なのに全てがマンパワー、演出陣と俳優陣の汗の結晶で『K』の世界を創造

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(C) GoRA・GoHands/k-project (C) GoRA・GoHands/stage k-project
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高浩美のアニメ×ステージ&
ミュージカル談義

[取材・構成: 高浩美]

■ 劇場版も好調、超能力者が紡ぐパラレルワールド、それが『K』

あの『K』が初の舞台化である。劇場版『K』はアニメのその後の物語。戦闘シーンも躍動感があり、次回もある、と思わせるエンディングであった。
『K』は7人組の覆面作家「GoRA」原作によるオリジナルアニメ。超能力者がパラレルワールドの現代日本を舞台に7人の「王」の下へ下った者たち同士の交流や超能力戦を描いた作品。アニメーション制作はテレビアニメ版『プリンセスラバー!』『生徒会役員共』やアニメ映画版『マルドゥック・スクランブル』等で知られるGoHandsが担当している。すでにノベライズ化、コミック化している。

物語の舞台は現実とはちょっと違う日本。島の全てが高校の敷地になっている一風変わった葦中学園高校。その屋上で1匹の子猫と一緒に昼食をとっていた伊佐那社(いさな・やしろ)は、クラスメートから学園祭の買い出しを頼まれる。街に向かったシロは、なぜかガラの悪い、赤いオーラを放つ男たちに追われることに……。その危機を救ったのは、第七王権者『無色の王』の臣夜刀神狗朗(やとがみ・くろう)であった。伊佐那社は礼を言うが臣夜刀神狗朗は彼に刀を突きつける。
「亡き主の遺命のもと、“悪しき王”を討つ!」
伊佐那社の日常が壊れていく。

■ アニメ感満載なのに全てがマンパワー、演出陣と俳優陣の汗の結晶で『K』の世界を創造

物語の“さわり”が冒頭に、そして、すぐにあのオープニングテーマと共にキャラクターが勢揃い。アニメから抜け出た感で『K』の世界が繰り広げられる。セットはシンプルだが、色使いがおしゃれ。パラレルワールド、超能力、とくれば、21世紀の舞台、昨今よく使われるクオリティーの高い映像、凝りに凝った装置、フライング、イリュージョン、マジックとなんだってあり!と思いきや、なんと全てを“マンパワー”でやってしまう。“そう来たか!”的な驚きがある。アニメのオープニングさながらの“映像でタイトルをドドーン!と出す”とか“キャラクター画像と俳優のシンクロ的紹介”等は一切ない。エッジの効いたアニメ作品なのに超アナログ、演劇の原点的な手法、これが意外性あり、あくまでも“これは舞台、演劇なんです”という主張とこだわりが感じられる。
この“人力”演出に俳優陣もよく応えている。ネコ役が手にしている釣り竿の先にネコのぬいぐるみがついているが、これはほぼ“人形浄瑠璃”的で、伝統芸能テイストを上手く持ち込んでいて演出としては“ナイス”。日本人ならではのアイディアだろう。赤、青、白の旗を持った俳優が時折出てきて“オーラ”等を表現。とにかくひたすら“人力”。客席を使っての演出は観客にとっては臨場感いっぱいで満足出来るポイント。
主人公の伊佐那社、お気楽なキャラだが、やがて自分の存在の危うさに気付き、悩み、のたうち回る。自身のアイデンティティを探す果てしなく遠い“旅”の入り口に恐れおののく。そのそばを離れず、伊佐那社をひたすら守ろうとするネコ。「“悪しき王”を討つ!」と息巻いていた臣夜刀神狗朗の心境の変化、この“心の三重奏”を中心に物語は進行する。それぞれの登場人物が持つプライドや絆等が絡み合い、『K』の世界が構築されるが、それをひたすら“人間力”で紡ぐところに舞台版の面白さがある。

基本的にはアニメに沿ったストーリーだが、舞台ならではのオリジナルな部分もあって楽しめる。今回の舞台、物語はもちろん完結しない、舞台最後に“次回予告”もあった。劇場版も完結していないので、どちらも展開が楽しみ。演出・脚本は末満健一。

ゲネプロ終了後、囲み会見があった。主演の松田凌は
「この『K』は、正直、役も難しくて、“どうしよう”と思う作品ですが、可能性もある作品、自分たちだけの『K』、(舞台の)オリジナルなところもあります。『K』の魅力を(客席に)届けたい」と語る。
また、アニメキャストの津田健次郎(周防尊役)と小松未可子(ネコ役)が稽古場を訪問したとのことで、舞台版キャスト一同、大感激。「(『K』でキャラクターを演じている)声優さんの方々にも期待して頂いて、今回多くの皆様の期待を感じています」と松田凌。
見どころは?の質問に松田は終盤の伊佐那社の台詞「僕を斬るかい?」の件で「心境が出ています」とのこと。
また登壇者全員が口を揃えていった言葉は「愛」。作品に対する想いであると同時にこの作品にそこはかとなく流れているテーマでもある。松田は「この夏一番の熱い舞台にします!」とPRして会見は終了した。
次回も大いに期待したい。

舞台『K』
8月6日~8月10日
六本木ブルーシアター
/http://www.marv.jp/special/stage-k/

舞台『K』
(C) GoRA・GoHands/k-project (C) GoRA・GoHands/stage k-project
《animeanime》
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