アメコミ(アメリカンコミックス)が静かなブームを呼んでいるとされるなか、これまで出版されたが現在は手に入り難い作品を復刊する動きが出ている。海外コミックスの翻訳出版を手がける小学館集英社プロダクション(ShoPro)は、10年前に一度刊行した3タイトルを9月30日に復刊させた。 発売されたのはバットマンシリーズの中でも名高い『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』(作:グラント・モリソン、画:デイブ・マッキーン)、そしてコアなファンから人気の高いヘルボーイのシリーズから2冊『ヘルボーイ:壱 ~破滅の種子/魔神覚醒~』(作・画: マイク・ミニョーラ、ジョン・バーン)、『ヘルボーイ:弐 ~チェインド・コフィン[縛られた棺]/滅びの右手~』(作・画: マイク・ミニョーラ)である。 『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』は、ShoProがアメコミ100冊記念として行った復刊希望ランキングの1位を獲得したものだ。精神病の犯罪者のみを収容する「アーカム・アサイラム」で発生した暴動を舞台に、バットマンはジョーカーやトゥーフェイス、マッド・ハッターらと対峙する。 正気と狂気の狭間で繰り広げるサイコホラーは、人間の深層心理に目を向けた革新的なストーリーとしてバットマンシリーズの名作とされている。今回はファンからの要望に応えるかたちでの刊行となったが、純粋な復刊でなく装丁も新たにし、旧版には収録されなかったスクリプトとラフスケッチを収録する。 一方、ヘルボーイの2冊は初期長編の『ヘルボーイ:破滅の種子』、『ヘルボーイ:魔神覚醒』や名作『チェインド・コフィン[縛られた棺]』、『滅びの右手』などを収録した。ヘルボーイの誕生から世界観の発展まで、作品を一望出来る。こちらも未公開スケッチなどの設定資料とイラストといった資料の特別収録がされている。 ShoProは、『ウォッチメン』や『バットマン:ダークナイト』など数多くのアメリカンコミックスの翻訳出版を長年行なってきた。この分野を代表する出版社である。アメリカンコミックスは、これまで日本ではあまり人気のないジャンルとされてきたが、近年は売上げが好調とされるタイトルが増えている。次第に注目が増している。 アメリカンコミックスは、現在たびたびハリウッドで大作映画となっている。そうしたアメコミ原作映画の近年の特徴は人間の内面への視線だ。そうした演出がた原作シリーズの重厚な物語から影響を受けていることが知られてきたことも、翻訳出版の人気に影響しているのかもしれない。積極的に海外コミックスの翻訳出版に取り組むShoProは今後も注目を集めそうだ。 小学館集英社プロダクション アメコミセクション/http://books.shopro.co.jp/comic/amecomi/ 『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』 作グラント・モリソン 画デイブ・マッキーン 訳: 高木亮、秋友克也、押野素子 定価: 2730円(税込) 『ヘルボーイ:壱 ~破滅の種子/魔神覚醒~』 作・画マイク・ミニョーラ、ジョン・バーン 訳: 堺三保 定価 3465円(税込) 『ヘルボーイ:弐 ~チェインド・コフィン[縛られた棺]/滅びの右手~』 作・画マイク・ミニョーラ 訳: 堺三保、海法紀光、添野知生 定価 3780円(税込)
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