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経産省のアニメビジネスモデルの調査レポート ウェブ公開

経済産業省は公式サイトにて、「「neo anime」産業のビジネスモデルに関する調査研究報告書」を掲載している。この調査は経済産業省から委託を受けた日本総合研究所が、2008年下半期にまとめたものだ。

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 経済産業省は公式サイトにて、「「neo anime」産業のビジネスモデルに関する調査研究報告書」を掲載している。この調査は経済産業省から委託を受けた日本総合研究所が、2008年下半期にまとめたものだ。同時期に経済産業省の中で設けられた、「アニメ産業のビジネスモデル検討委員会」と並行して行われた。
 調査の目的は国内外の知名度と評価の高さの一方で、ビジネス基盤の弱い国内アニメ産業の現状と課題の整理、そのうえで新しいビジネスモデルを模索するものである。短期的にだけでなく、中長期的な視点も盛り込んだ本格的な調査となっている。

 120ページを超える調査レポートの内容は、アニメ制作の現場から流通、資金調達、海外進出、インターネットでの展開、人材育成まで幅広い領域にわたる。また、企業に向けたアンケート調査やヒアリング調査を行い、ビジネスの現場の声を盛り込んだ。
 レポートの作成は2008年12月と1年前となるが、内容は現在でも十分通用する。アニメビジネス関連の情報、調査、資料が少ないとされるなかで、一次資料として利用出来るものである。

 特に、アニメ製作の資金調達や海外展開、インターネットビジネス(そしてその障害となる違法配信)、人材育成など、これまでアニメビジネスの活性化に重要とされた論点が全て抽出されており分かりやすい。業界内部の人だけでなく、外部からも理解しやすい解説は、業界外部の調査機関に委託した成果だろう。
 また、現状分析を製作サイドと流通サイドに分けてまとめている点や、ヒアリング調査によって得たビジネスモデルの図表などは貴重な資料である。

 ただし、新しいビジネスを創り出すことを目的とした調査だが、レポートの大半は現状分析に向けられており、ビズネスモデルの提言の部分はやや物足らない。「アニメーターやプロデューサーの育成・活用」、「新たな技術の開発・活用の促進」、「海外展開における官民の協力」「資金力のある大手アニメ制作会社のマルチ展開事業を意識した市場再編の必要性」など頷ける視点は多いが、それを実現する具体的な道筋は示されていない。
 それはここで掲げられた問題が、2002年から繰り返し主張されたにも関らず、明確な回答に辿りつけなかった理由でもあるかもしれない。むしろ、今回のレポートの役割は、今後、アニメビジネスを考える際に、あらためて論点を書き出すことを不要にし、より早く解に辿りつくことをサポートすることなのかもしれない。
 経済産業省は、「「neo anime」産業のビジネスモデルに関する調査研究報告書」のほか、「映像・コンテンツビジネスモデル研究会報告書~デジタル化・ネットワーク化によるコンテンツビジネスの変容~」などコンテンツ産業に関する複数の調査レポートを紹介している。これらもコンテンツ産業に関心のある人には役に立ちそうだ。

経済産業省 コンテンツ産業政策
/http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/index.html
上記ページから「「neo anime」産業のビジネスモデルに関する調査研究報告書」がダウンロード可能。
《animeanime》
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