番組放映後に発売されるアニメのムック本は、通常そんな視聴者のニーズに応える役割を担っている。テレビでは語りきれない情報を伝えることで、番組終了後、もう一度作品を楽しむためのものである。 3月3日に徳間書店から発売された「ROMAN ALBUM 電脳コイル」も、そうした番組を見終わった視聴者の要求をまさに満たす本である。
しかし、「ROMAN ALBUM 電脳コイル」は、その丁寧な作りと内容の深さで、これまでのムック本から一線を画している。ビジュアルと設定、スタッフへのインタビューというムック本の通常の体裁を持ちながらプラスαが存在する。 それは作品に対するこだわりと言えばいいのだろうか。例えばインタビュー、あるいは小さなはみ出し、それぞれが入念に考え抜かれた気配が濃厚なのだ。それだけに、実際のページ数以上に内容に厚みが感じられる。
『電脳コイル』は何度観ても面白い作品、この先10年、20年先に残っていく作品に違いない。そして、そうした長い期間ひとつの作品に付き合って行くには、作品だけではやや物足らない。 そんな時に「ROMAN ALBUM 電脳コイル」を読むと、また別の視点からもう一度『電脳コイル』観ることが出来るだろう。そして、さらにもう一度本を読み、さらにもう一度テレビを・・・作品と作品の情報のインタラクティブを繰り返すことが可能になる。 『電脳コイル』と長く付き合うために「ROMAN ALBUM 電脳コイル」は手元において置きたい、そう思わせる本だ。