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しかし、その吉田秋生さんのなかでもはずせない名作が『吉祥天女』である。天女の子孫と言い伝えられる美少女小夜子を巡るドラマは連載当時大きな人気となり、いまだにファンは多い。この『吉祥天女』が実写映画化され、本年初夏に劇場公開されることが決まった。
原作は1984年に小学館漫画賞も受賞しており、これまでの累計販売部数はおよそ250万部を記録している。
(C)2007 吉田秋生・小学館/「吉祥天女」製作委員会
こうした作品が、これまで映画化されなかったのはむしろ不思議である。今回の映画化実現は、既に吉田作品のひとつ『ラヴァーズ・キス』の映像化を実現させている及川中監督の熱意によるものである。
及川監督は、原作「吉祥天女」が連載されていた1980年代当時から、原作をリアルタイムで読みながら映画化してみたいと思っていたという。2002年に『ラヴァーズ・キス』を監督したのをきっかけに『吉祥天女』の映画化を実現した。
映画化するにあたり吉田秋生さんからは「原作にとらわれずに作ってほしい」と言われ原作と設定や登場人物は自然と変わった。しかし、原作の世界観と吉田秋生の伝えたかったテーマをきちんと描くことは、一貫して変わっていないという。
『吉祥天女』の映画化の話はこれまでにも数多くあったが、今このタイミングと及川監督の熱い思いが実って実現した。
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(C)2007 吉田秋生・小学館/「吉祥天女」製作委員会
ヒロインの叶小夜子を演じるのは、鈴木杏さん。こちらもマンガからの実写化で話題を読んだ『頭文字D』に続く、ヒロイン役に挑戦する。さらに本仮屋ユイカさんや勝地涼さん、深水元基さんといった若手の注目株が顔を並べる。
そのほか市川実日子さん、津田寛治さん、江波杏子さんといった実力派が顔を揃え、作品を支えている。
近年は、人気マンガからの実写化企画が相次いでいるが、現代に映画で復活する過去の名作として『吉祥天女』大きな注目を浴びるだろう。
吉祥天女公式サイト /http://www.kisshohtennyo.jp/
原作: 吉田秋生(小学館刊)
監督・脚本: 及川中
出演: 鈴木杏 本仮屋ユイカ 勝地涼 市川実日子 深水元基 津田寛治 江波杏子
主題歌: 「仰げば尊し」スーザン・オズボーン(PONY CANYON)
2007/日本/カラー/116分/PG-12
配給: キュービカル・エンタテインメント