昔からSF作品のイラストレーションは、国内外を問わずその作品のイメージをある程度規定する。また、本の中身を見ずに表紙が気に入って本を購入するケースも少なくない。広大なフィクションの世界を描くSF作品にとって、想像する力を手助けするイラストレーションは普通の書籍以上に重要なパートを占めている。 しかし、一般にイラストレーションは本の付属物と見られがちで、真鍋博氏や天野善孝氏といった一部の人気アーティストを除くとその名前が知られているケースは少ない。 そうしたなかで6月19日より東京・銀座で、「エロチックSFアート展」と題して星恵美子氏、金森達氏、岩淵慶造氏の3人のSFアートを取り上げた展覧会が開催される。いずれも古くから日本のSF界で活躍しているベテランアーティストである。 展覧会のテーマは、SF作品で活躍する美女たちのコスチュームが、ボディラインを強調した妙にエロチックであるものが多いことに由来しているようだ。展覧会は東京・銀座のヴァニラ画廊で、6月19日から7月1日のおよそ2週間開催される。 紹介される作家のうち星恵美子氏は、SFファンタジーから時代物まで幅広い分野で活躍しているアーティストである。代表作に、新井素子氏の『ディアナ・ディア・ディアス』や『ラビリンス─迷宮─』、D.J.レイク『ジューマの神々』などのイラストレーションがある。 また、金森達氏は早川書房から発刊されている文庫版『スタートレック』シリーズが有名である。岩淵慶造氏は、1960年代に人気SF雑誌『SFマガジン』の表紙を担当した。ほかにも児童書などの分野でも活躍している。 SF作品に限らずよく知っているようで意外に知らないのが、書籍のイラストを手掛ける作家たち。今回は、そうした作品を新たな眼で見ることの出来る機会となる。 また、展覧会ではこうした作品の原画も販売する予定になっており、かつて憧れたSF作品のイラストを手に入れる貴重な機会にもなりそうだ。/星恵美子・金森達・岩淵慶造「エロチックSFアート」展
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