劇場映画の統計資料を公表している社団法人日本映画製作者連盟が、2005年の日本映画産業の統計を発表した。統計によれば、2005年の映画入場者数は1億6045万人(前年比94.3%)、興行収入は1981億6千万円(前年比94%)と前年より減っている。 こうした減少は主に洋画の大ヒット作本数の減少によるもので、邦画だけを取ると前年比103.4%の817億8千万円と好調であった。この結果、興行収入に占める邦画と洋画の比率は、41.3%と58.7%と邦画が8年ぶりに4割を超えた。 好調な邦画におけるアニメ映画の存在感は相変わらず大きく、邦画興行収入第1位は2004年11月に公開され引き続き人気を集めた『ハウルの動く城』の興収196億円である。2位は『ポケットモンスター』の新作劇場アニメで、興収は43億円であった。 しかし、好調とされた邦画の中では、10億円以上の興収をあげたアニメ作品は、2004年は11本だったのに対して、2005年は7本にとどまった。また、興収10億円以上の作品の興収合計は、2004年はおよそ360億円に対して、2005年はおよそ290億円と落ち込んでいる。 こうした傾向はシリーズ作品の興行成績に現われている。『ポケットモンスター』と『クレヨンしんちゃん』は、前年とほぼ同じ水準であったが、『名探偵コナン』は28億円から21.5億円、『ワンピース』は18億円から12億円、『NARUTO』が13.7億円から11.8億円とそれぞれ前年から大きく落ち込んでいる。 毎年公開され安定した興収を稼いでいた『ドラえもん』の劇場公開作品がなかったことも、アニメ映画全体の落込みの一因となっている。 かわって注目されたマンガ原作映画は、『NANA』が40.3億円、『ALWAYS 三丁目の夕日』が32.3億円、『タッチ』が12億円とそれぞれ健闘した。そのほか、それぞれの作品は興収10億円に届かなかったが、『機動戦士Zガンダム』と『ふたりはプリキュアMax Heart』が、2本ずつ劇場公開し貢献した。 海外アニメーションでは、『Mr.インクレディブル』が興収53.5億円の大ヒットとなった。しかし、2004年の『ファインディングニモ』のおよそ半分のレベルで、こちらも2004年度比で大きく落ち込んだ。 配収10億円を超えた作品は、このほか『マダガスカル』、『シャークテイル』、『ロボッツ』、『コープス・ブライド』と合計5作品。これは、2004年の4本より多かった。 全体的にみれば、2004年より邦画、洋画ともアニメーション作品の興収が縮小していることが判る。また、アニメーション映画のほとんどが児童向けのアニメーションで、劇場アニメーションの主要顧客は子供といっていいだろう。 また、2005年は邦画の復活の年ともいえるが、アニメーション映画の分野では実写映画以上に邦画の強さが目立っている。2005年邦画・洋画アニメーション作品の興行上位作品1位 ハウルの動く城(196億円)2位 Mr.インクレディブル(52.6億円) 3位 ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波動の勇者ルカリオ(43億円)4位 マダガスカル(22.5億円)5位 名探偵コナン 水平線の陰謀(21.5億円)6位 シャークテイル(18.8億円)7位 ロボッツ(14億円)8位 クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ快進撃(13億円)9位 鋼の錬金術師 シャンバラを往く者(12.2億円)10位 ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(12億円)11位 NARUTO 大激突!幻の地底遺跡だってばよ(11.8億円)12位 ティムバートンのコープス・ブライド(10億円)(上記社団法人日本映画製作者連盟の資料よりアニメ!アニメ!が作成)/社団法人日本映画製作者連盟