昨年の夏に日本で公開され話題を呼んだ大作日本アニメ『スチームボーイ』が先週金曜日3月18日から米国で公開されている。米国で『ジャパニメーション』と呼ばれた大人向けアニメの原点『AKIRA』監督の大友克洋氏の最新作品として米国でも高い関心を集めている。 米国の映画興行成績の情報サイトBOX OFFICE MOJOによると、公開後の最初の週末の興行成績は、133,148ドル(約1400万円)で全体の興行ランキングは36位であった。劇場数は39館であるため1館ごとの売上げは約3500ドルになる。最初の週末の興行収入としては、『千と千尋の神隠し』が、およそ45万ドル、『イノセンス』が31万7千ドル、『カウボーイビバップ』が23万4千ドルなどに較べると少ない。日本アニメの中のヒット作とされるこれら作品に較べると力不足であった。 しかし、昨年末から今年にかけて公開された『アップルシード』や韓国アニメの『ワンダフルデイズ』に較べると善戦しているといえる。現時点で、米国で公開された劇場アニメの興行ランキングは16位になる。 興行成績から離れて作品の評価だけで見てみると、『スチームボーイ』は比較的好意的に受け入れられている。しかし、その評価は大絶賛というよりも品質の高い作画や英国のビクトリア朝の雰囲気に対する良作としての評価である。逆に言えば、物語的なインパクトがやや不足していると捕らえられている。 それは、日本の公開時における観客の印象と同じように、多くの人が『AKIRA』を監督した大友克洋の世界を期待しており、そこに物足らなさを感じているようである。こうした感想は複数のメディアで見られ、例えばWired Newsは『スチームボーイ』の投げかける人間と機械の関係に注目して丁寧に批評する。一方で、作品は、『AKIRA』のようにアニメの世界を揺るがすような作品ではないが、偉大なアニメーターによる印象的な作品と評価している。 ビレッジボイスは、この映画は大友克洋のハードコアなファンを満足させるものではないとしている。サイバーパンクな『AKIRA』に対してスチームボーイはアナクロな設定であり、ビクトリア朝のロンドンがよく再現されているとする。 また、『イノセンス』を引き合いに出し「スチームボーイには、イノセンスのような深さはないが、最初から最後まで映像的な新しさがある」と評価している。ボストンヘラルドも同様に、大友監督の新作の舞台がビクトリア朝の英国であることに驚きを見せている。 『スチームボーイ』の映像の素晴らしさが評価される一方で、キャラクター描写の深さが足らないとの指摘が目に付いた。4つ星中2つ星の評価をつけたシカゴトリビューンは、映像は素晴らしいが、キャラクター表現に乏しいと述べている。その原因がを120分の日本語版を106分に編集されているせいでないかとしている。ロイターも同様にキャラクター表現の不足を欠点として指摘していた。BOX OFFICE MOJO http://www.boxofficemojo.comWIRED NEWS /Steamboy Rages Against Machinesビレッジボイス /London Fogボストンヘラルド /Striking visuals power 'Steamboy'ロイター /Film Review: 'Steamboy'
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