韓国アニメは『ANIME』になりえるか? | アニメ!アニメ!

韓国アニメは『ANIME』になりえるか?

 韓国アニメーションが伸びている。韓国アニメーションは潜在的な日本アニメの脅威かもしれない。最近、そんなことを考えていた。そう思っていた時に、米国の映画興行成績の情報サイトBox Office MOJOで面白いものを見つけた。このサイトは、週別、年度別のほか、監督

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 韓国アニメーションが伸びている。韓国アニメーションは潜在的な日本アニメの脅威かもしれない。最近、そんなことを考えていた。そう思っていた時に、米国の映画興行成績の情報サイトBox Office MOJOで面白いものを見つけた。このサイトは、週別、年度別のほか、監督別や俳優別、ジャンル別など様々な分類によってランキングをつけている。その中に『ANIME』と名付けられたランキングカテゴリーが存在する。そのランキング表の24位に韓国アニメーションの『Sky Blue(邦題:ワンダフルデイズ)』が掲載されている。『ANIME』のジャンルの残り全ての作品は日本アニメである。

 よく知られているように、米国には元々『アニメ』という語句は存在しない。また、『アニメーション』と言った時は、ジャンルというよりアニメーションの制作技術の側面を主に語っている時が多い。米国では日本の『アニメ』にあたる語句は、90年代頃までは『カートゥーン(Cartoon)』と考えられてきた。しかし、米国のディズニー映画以来の伝統で、『カートゥーン』には、子供向けのアニメーションという意味が含まれている。このため、日本の大人向けのアニメ作品が米国に導入された際、日本の『ANIME』の語句が、大人向けのアニメーションの語句として使用される様になった。
 その後、この『ANIME』の語句は急速な勢いで広がり、今やマスメディアやビジネス、アカデミックな場でさえ一般的に利用されている。さらに、大人向けのアニメでなく『ポケットモンスター』といった子供向けの日本アニメにも『ANIME』の語句が使われる様になって来ている。

 この場合『ANIME』の定義とは、一体何なのだろうか。大人向けのアニメーションのことではないようだ。一番ありそうな答えは、日本で作られたアニメこそが『ANIME』だとするものだ。しかし、『ワンダフルデイズ』が米国人から見て『ANIME』の範疇に入るのなら、この考えは訂正が必要だ。作品を分類する人が、この作品が韓国作品であることを知らないはずはないからだ。
 では、何を持って『ANIME』とすべきか。それは、アニメーションのスタイルのなのかもしれない。リミテッドアニメーションなのか、2Dアニメーションなのか、キャラクター造形なのか、それとも物語の在り方なのかは判らない。ただ、確実なのは米国人の頭の中には、国籍を超えた『ANIME』というスタイルが存在する可能性だ。そうであれば、近い将来に米国製の『ANIME』や中国製の『ANIME』が出現するかもしれない。米国市場で、『ANIME』が大成功!でも、日本製の作品はひとつもないという日が来ても不思議はないかもしれない。

 といったことを考えながら、もう一度Box Office MOJOを眺めていたら、さらに面白いことを発見した。日本製の大作アニメ『ファイナル・ファンタジー』が、『ANIME』のカテゴリーに入っていないのだ。『ファイナル・ファンタジー』は、3Dアニメーションのカテゴリーに分類されている。この分野の他の作品は、米国製の3Dアニメーションばかりである。韓国アニメーションの『ワンダフルデイズ』は『ANIME』であり、日本アニメの『ファイナル・ファンタジー』は、『ANIME』ではない。これが、米国人の見方のひとつらしい。

/Box Office MOJO 
/ワンダフルデイズ公式サイト(日本) 
《animeanime》
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