車載用パワーデバイス市場は、EV・ハイブリッド車の普及と車載電装の高電圧化を背景に拡大している。2025年の世界市場規模は約93.16億米ドル、2032年には164.29億米ドルに達し、2026~2032年のCAGRは8.6%と予測される。車載用パワーデバイスは、インバーター、OBC、DC-DCコンバーター、電動コンプレッサー、バッテリー管理、高電圧配電などで電力変換・制御を担う重要部品であり、シリコンMOSFETやIGBTを基盤としながら、SiC MOSFET、SiCダイオード、SiCパワーモジュール、GaNデバイスへと技術領域が広がっている。
車載用パワーデバイスの世界市場規模
Global Reportsが公開した最新調査レポート「車載用パワーデバイスの世界市場規模、シェア、企業ランキング、売上、需要動向予測(2026~2032年)」によると、車載用パワーデバイスの世界市場規模は、2025年の約9316百万米ドルから拡大し、2026年には約9987百万米ドルに達すると見込まれています。今後も年平均成長率(CAGR)8.6%で成長を続け、2032年には約16429百万米ドルに達すると予測されています。


車載用パワーデバイスの需要を押し上げる800V化
車載用パワーデバイス市場では、400Vから800Vへの車載電源アーキテクチャ移行が高電圧デバイス需要を押し上げている。800V化は同じ電力をより低い電流で伝送できるため、充電時の損失やケーブル重量を抑えやすく、急速充電対応EVや高性能BEVを中心に採用が進む。STMicroelectronicsも800Vアーキテクチャ向けに1200V級SiCデバイスや高電圧電力分配向け製品を展開しており、車載用パワーデバイスの電圧クラスは今後さらに多様化するとみられる。
車載用パワーデバイスはSi・IGBT・SiC・GaNの併存へ
車載用パワーデバイスでは、技術の単純な世代交代ではなく、電圧・電力・コストに応じた使い分けが進んでいる。12V・48V系のボディ制御、ポンプ、EPSなどでは低オン抵抗のシリコンMOSFETが依然として重要であり、高出力かつコストを重視する領域ではIGBTも競争力を維持する。一方、SiC MOSFETは高電圧・高効率が求められる主駆動インバーター、OBC、DC-DCコンバーターで採用が拡大している。GaNは高周波スイッチングを活かし、OBCやDC-DCなど小型・高電力密度が重要な用途から普及が進む段階にある。
車載用パワーデバイスの競争軸は効率から信頼性へ
車載用パワーデバイスでは、単純な低損失化だけでなく、短絡耐量、熱抵抗、接合温度、パワーサイクル寿命、絶縁性能、AEC-Q101などの車載品質基準への適合が設計採用を左右する。2026年5月、Infineonは連続205℃で動作可能な1300V SiCパワーモジュールを発表し、従来設計の175℃から動作温度を引き上げた。高温環境下での出力向上や冷却系簡素化を狙うもので、車載用パワーデバイスでは熱設計と信頼性を同時に高める方向が明確になっている。
車載用パワーデバイスの主要用途はトラクションインバーター
車載用パワーデバイスの中でも、トラクションインバーターは高電圧・大電力デバイスの需要を直接左右する中核用途である。特に800V BEVではSiCの低スイッチング損失と高耐圧特性が航続距離や充電性能の改善につながる。Infineonは1200V SiC MOSFETについて、800V車載システムの主インバーターへの適用を進めており、SiC採用によって電力密度向上や冷却負荷低減が期待されるとしている。
一方、車載用パワーデバイスの需要は駆動系だけに限定されない。OBC、HV DC-DC、電動コンプレッサー、ヒートポンプ、電動ポンプ、ブレーキ、ステアリング、BMS、高電圧配電などが幅広い需要基盤を形成する。Infineonは2026年6月、SiC MOSFETとIGBTの双方に対応するEVインバーター用ゲートドライバーを発表しており、デバイス単体からゲート駆動、センサー、制御ICまで含めたシステム統合が進んでいる。
車載用パワーデバイスの競争はIDM中心に展開
車載用パワーデバイス市場では、Infineon、STMicroelectronics、onsemi、ROHM、三菱電機、富士電機、東芝、Bosch、Wolfspeed、Microchipなどの欧米・日本企業が強い供給基盤を持つ。中国ではBYD Semiconductor、StarPower、CRRC Times、Silan Microelectronics、Yangjie、BASiC SemiconductorなどがIGBT、SiC MOSFET、SiCパワーモジュールの生産能力を拡大している。Infineonによれば、世界の自動車半導体市場は2025年に744億米ドルへ拡大し、同社は12.8%のシェアで6年連続の首位となった。
車載用パワーデバイス市場の今後
車載用パワーデバイス市場では、EV成長率の変動、在庫調整、SiC価格低下などが短期的な収益変動要因となる一方、車両の電動化、高電圧化、急速充電、高効率化という構造的需要は継続するとみられる。今後はSiCの200mmウェハー化や量産歩留まり改善によるコスト低下に加え、シリコンMOSFET、IGBT、SiC、GaNを用途別に最適化する設計が重要になる。車載用パワーデバイスの競争力は、半導体性能だけでなく、パッケージング、放熱、車載認証、長期供給、OEMとの共同開発まで含む総合的なシステム対応力によって決まる段階へ移行している。
Global Reportsの最新調査レポート「車載用パワーデバイスの世界市場規模、シェア、企業ランキング、売上、需要動向予測(2026~2032年)」をもとに、車載用パワーデバイス市場の市場規模、成長動向、主要企業の競争環境などについて整理します。
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