「ULTRAMAN」特撮版ファン唸らす3DCG映像はどう生まれた? 神山健治&荒牧伸志両監督に訊く【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「ULTRAMAN」特撮版ファン唸らす3DCG映像はどう生まれた? 神山健治&荒牧伸志両監督に訊く【インタビュー】

2019年4月1日Netflixにて配信スタートした『ULTRAMAN』より、神山健治監督と荒牧伸志監督にインタビュー。画作りのこだわりや技術的な挑戦、作品の見どころを訊いた。

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『ULTRAMAN』(C)円谷プロ(C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN 製作委員会
  • 『ULTRAMAN』(C)円谷プロ(C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN 製作委員会
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  • 神山健治監督、荒牧伸志監督
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■アニメのキャラクターと特撮の実在感の融合を目指す


――メトロン星人のお話が出ましたが、『ULTRAMAN』作中でも、ゼットン星人のエドが人間たちといるだけで、画面に異物感がありますよね。

神山
しかも背広まで着ていますからね(笑)。

荒牧
エドに限らず、異星人のキャプチャーのときにどう芝居してもらうかを考えるのも面白かったです。頭がでかいので、ちょっと動くだけで存在感が出るんですよ。


神山
頭の大きい異星人をモーションキャプチャーで撮るときは、役者さんの頭の上に目安になる物をつけて、「目線はここからです」と指示しています。今回は等身大の異星人なので、意外とキャプチャーに向いていましたね。

――フル3DCGで描かれる作品ということで、今回の『ULTRAMAN』ではどういったルックの映像を目指されましたか?

荒牧
最初に考えたのは、キャラクターをアニメっぽくしつつ、ウルトラマンや異星人にはある程度質感を付与して、特撮っぽさを出すというバランスです。
ウルトラマンに関しては間違いなく行けると思っていたんですが、画面にキャラクターが同居しているときは成立するか心配でした。

神山
単純なセルルックでもなく「これは果たしてアニメなのか?」という不思議な映像に仕上がったと思います。そこに至るまでの落としどころに苦労しましたよね。

ウルトラマンのスーツ姿で進次郎が顔を出しているカットなどは、アニメの絵がスーツにそのままはめ込まれた感じになりかねませんし。
作業を進めるなかで、セルルックとフォトリアルな質感を両立させるコツがわかってきました。たとえば、キャラクターの色分けは、セルアニメのようなはっきりしたものではなくグラデーションをつけたり、いろいろ工夫をしています。


荒牧
キャラクターに関して言うと、早田や井手(光弘)あたりはデザイン的に密度があるから平気なんですけど、レナちゃんは大変でしたね。


神山
そうですね。セルアニメでは正面寄りの角度が可愛くなるものなんですが、3Dで作った場合、それが必ずしも良くなかったりして。ほっぺたの奥行きがわかるくらいの角度のほうがハマったりするんですよ。

――シーンごとに質感のバランスに悩まれることもあったのでしょうか?

荒牧
夜のシーンではリアルな質感で成立していたものが、昼のシーンではそのままの質感で画面を作ると浮いてしまうことがありました。そのあたり難しいところでしたね。

神山
加えて、僕は作画のアニメから来ているし、荒牧監督はCGから来ているから、お互いに折衷案を見つけるところにも時間がかかりました。

荒牧
「そこ、アニメ感出し過ぎじゃないですか?」「大丈夫、大丈夫!」とか。その逆もあったり(笑)。

■ライブシーンの観客の挙動にも要注目!


――今回、技術面で新基軸は取り入れられているのでしょうか?

神山
すごくリアルなテクスチャのウルトラマンや異星人と、ツルッとしたキャラクターたちを融合させるためにアウトラインを入れているんです。
これが新たに挑戦した部分でしたので、なかなかコントロールが難しくて。特にレナなんて、線が少なくて可愛く見えなきゃいけないキャラクターなのに、一番欲しいところに線が出なかったり、目の下や鼻筋に線が出てしまったりと、地味に苦労したところではありましたね。


荒牧 
技術的な見どころですと、8話のライブシーンですかね。いちいち歌っている人に観客が反応していたりします(笑)。

神山
アイドルのライブを描いたアニメも数多あると思いますが、観客が歌っている人に合わせてちゃんとノッている映像は初めてじゃないですかね。「そんな細かいところ誰得なんだろう?」とも思いつつ(笑)。
ソフト・ハード的なチャレンジというよりは、テクニックの部分ですね。

荒牧
「そこ頑張るとこか!?」っていう。力技ですよね(笑)。

――では、最後にあらためて『ULTRAMAN』の見どころをお願いします。

神山
進次郎という主人公をどう描くかが一番苦労したところでした。
最初は僕も荒牧さんも、「何者でもないことにずっと悩んでいるところが、進次郎の魅力になるだろうか?」ということをずっと考えていたんです。
でも、今はむしろ彼みたいなタイプの主人公の方が現代的で共感を呼ぶのかもしれないなと。

原作を尊重しつつ、僕らなりに視聴者の方が入り込みやすいキャラクターを作ってみようというアプローチをしてみましたので、そこを楽しんでもらえるといいなと思います。

荒牧
あとは、アクションシーンに関しても原作を読んでいる方の期待を上回るくらい膨らましているので、大きな見どころです。

スーツと異星人の戦いにもいろいろなシチュエーションを用意してありますし、意外な角度からアクションを見せることにもチャレンジしています。
さらに、3体登場するULTRAMANも、それぞれの戦い方に個性を出していますので、ドラマと共にスケールアップしていくアクションも楽しんでいただければと思います!

『ULTRAMAN』
(C)円谷プロ(C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN 製作委員会
《山田幸彦》
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