
スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』(以下、FGO)の企画・開発・運営を行っているディライトワークスは、「FGO PROJECT総合プロデュースチーム」を始動。6月1日に同社オフィスにて、同チームでの仕事に興味のある人を招いたキャリア相談兼懇親会「肉会(MEAT MEETUP) Vol.1 FGO PROJECT総合プロデュースチームキャリア相談会」を開催しました。
同チームは、「“FGOのある生活”をデザインする」というコンセプトのもと、様式や遊び方に一切の制限を設けず、『FGO』ユーザーに“マスター”としての体験を楽しんでもらえるよう、様々な企画を推し進めていく専門チームとして結成。
中途採用を目的にした同日のイベントには、ゲーム及びエンタメ業界を経験したことのある方を中心に約30人が招かれました。

前半のトークセッションには、同プロジェクトのクリエイティブプロデューサー・塩川洋介氏と、プロデュース部マネージャーであるプロデューサー・加藤拓氏、企画部 第1企画セクション マネージャーも務めるディレクター・浅沼拓志氏が登壇。FGO PROJECTにかかわって働くことの魅力とディライトワークスで働くことの具体的なイメージについて語りました。
■ディライトワークスってどんな会社?

PlayStationVR 向けコンテンツ『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』や、2018年4月1日のみ配信されたスマートフォン向けゲーム『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』、さらには契約などの細かな業務まで担当する加藤氏は、「ディライトワークスはレストランである」と例えました。

『FGO』のヒロインであるマシュ・キリエライトに“逢える“特別な体験をコンセプトにして開発された『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』では、開発段階からどのような体験会を開催し、いかにして多くの人に体験してもらうかを開発と開発以外のチームが打ち合わせしていたとのこと。塩川氏は「普段はスマートフォンの中でしか見ないマシュに逢うために会場に行き、実際にVR空間にマシュがいて、アイドルに会いに行ったような思い出や話題を持ち帰っていただくところまで含めて最初の企画として立てた」と語りました。
浅沼氏が「なぜ、無料でダウンロードできるようにしたのか?」とたずねると、加藤氏は「かなり議論した点ですが、最終的に“マシュに逢える”ユーザーさんを増やして喜んでいただくにはどうするか?が判断ポイントだった」と回答。“料理を作る”開発チームだけでなく、“料理を届ける”開発以外のチームがユーザーにプレイしてもらうベストの形を決めた経緯に、塩川氏は「どのタイトルでもゲームを作って、どうやって届けるかというところまでをやっている」のが同社の特徴だとしました。
■教えて!ディライトワークスでの1日

続くディライトワークスの1日を、「それは、MMORPGをプレイするような毎日」であると語る加藤氏。大きな目標のために一つ一つのミッションをクリアしていくゲームのようだと言います。それぞれの1日の過ごし方について、加藤氏は「今日の午前中はずっと打ち合わせをし、その後は社内でいくつかミーティングをしながら、新入社員教育や提案書類作成、抱えている問題解決など、同時多発的にいろいろなことをやっています」と回答。

『FGO』の北米や韓国、中国など海外配信におけるプロデューサー兼ディレクターを担当する浅沼氏は、「複数の国を担当しているので時間軸が違うのですが、韓国や中国ならメールやチャットなどリアルタイムで現地の運営会社とやり取りをし、北米では現地の深夜に対してメンテナンスを入れてイベントなどを開催しています。それに対するリターンをキャッチして次に活かしたり、何か問題が起きた場合はすぐに対応したり、起きたイベントに対して動いている感じです」と回答。
日本を除いた北米・中国・台湾・韓国、その他(オーストラリアや東南アジア)の海外配信全てを、わずか20人あまりのチームで担当し、国ごとの土壌を踏まえた上での運営の仕方を現地パートナーにアドバイスするなど多忙ぶりをのぞかせつつも、「長年取り組んできた日本での『FGO』運営という下地があり、海外ではそれを活かして味付けを変えていっています」と頼もしさを感じさせました。
塩川氏は、「今日はずっとTYPE-MOONさんと『FGO』のミーティングをし、このイベントに出席して、明日は大坂で開催される「Fate/Grand Order×リアル脱出ゲーム 謎特異点I ベーカー街からの脱出」のスタッフトークイベントに登壇。夏に出る『FGOアーケード』の共同開発をしているセガから、色々なムービーなどが送られてきたので確認してフィードバックしています」と、「レストランで言うなら多店舗展開」な日々を語りました。
■ディライトワークスにいて、一番嬉しかった瞬間!

一番嬉しかった瞬間に、『FGO』から生まれたPRG『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』が無事に配信されたことの達成感をあげ、配信後の打ち上げパーティーの話をした加藤氏。同作は『FGO』第1部のパロディーで、失われた4月2日を取り戻すという、4月1日のみ配信・運営されたゲームでした。

加藤氏が「塩川さんもこの日は特に嬉しそうだった」と語ると、塩川氏は「プロジェクトにかかわる人達の一体感がすごくて、4月1日配信という締め切りを何があっても守らないといけないということで、かなりギリギリのせめぎ合いがあった中での達成が嬉しかった」と振り返りました。
最近だとApp Storeにアプリを反映しても、半日反映されないこともあり、何時にこのアプリをアップロードすれば良いのかを開発チームや運営のメンバーと話し合いながら、何が何でも「4月1日0時に間に合わせる」ために全員が取り組んだとのこと。塩川氏も3月31日から『FGO』北米版の発表会イベントでシアトルにいながらも、真夜中でも寝ずにチェックしたり指示を出したりしたと語り、「チームとしての一体感がなかったらできないプロジェクト」だったそうです。
■“FGOのある生活”を、デザインする仕事とは?

最後に『Fate/Grand Order×リアル脱出ゲーム』を例に、“FGOのある生活”をデザインすることの意図を語った塩川氏。実際に開催した『Fate/Grand Order×リアル脱出ゲーム』をフックに、ネット上で「お試し謎キャンペーン」を遊べるようにし、『FGO』内でも「虚月館殺人事件」を開催。さらに公式サイトで犯人を特定する投票を行うなど多角的な展開を行いました。
塩川氏は「メディアミックスやコラボをやっているつもりはなく、その中心にはゲームの中と同じくマスターとなったユーザーさんがいる」とし、今後この方向性を発展させたいと語りました。そこにはゲームが面白いゲームを作るだけではいけない時代になってきたと感じていることが背景にあると言います。
■質問タイム

トークセッションの最後には、「現在開催中のコラボカフェや7月に開催される3周年フェスのような『FGO』をすでにプレイしている人に向けた施策と、リアル脱出ゲームやVRマシュといったように、『FGO』に触れたことがない人も巻き込める施策のどちらに重きを置いていくのか?」という質問もあがりました。
塩川氏は「ゲーム会社なのでやることの中心にはゲームがある。開発をメインに担っている中で、リアルイベントとゲームの両方を展開できるので色んな形で楽しんでいただく」ことを前提としながら、「『FGO』アーケードを開発していますが、スマートフォンでゲームをやらない方や、『FGO』を最近遊ばれていない方々に別の形の『FGO』を届けることで、新しく始まるなら遊んでみようかな、といった考え方が出てくるかもしれない」と、必ずしも既存のユーザー向けだけに限定した展開をしていくわけではないと回答しました。
また、「『FGO』内で虚月館殺人事件イベントを体験した人の多くが、現実やTwitterで話題にしていますが、こういったイベントを増やすことが“FGOのある生活”として広げていきたいことでしょうか?」という質問も。
塩川氏は「虚月館殺人事件に限らず、これまでもさまざまな試みを行ってきました。例えば、2017年の年末にアップデートされたマスターが拘束されて危機的状況に陥るストーリーに合わせて、ゲーム内でサーヴァントを召喚できない(ガチャができない)、現実の公式サイトや公式Twitterも全部封鎖するというのを一週間くらいやりました。一般的には売上という数字で判断したら絶対やるべきではないと言われると思いますが、中長期的に見た時に意義があることは何かと考え、世界観として表現したいことをおこなった。」と述懐。
「ゲームの中でも大変なことが起きて、同時にゲームの外でもマスターとして大変な思いをしていることを感じてもらうことも一つの“FGOのある生活”かなと。これからもいろいろな試みをしていきたい」としました。
■美味しい肉料理を食べながらキャリア相談兼懇親会

トークセッションの後は、美味しい肉料理を食べながら、塩川氏たちに加えて、広報・宣伝といったマーケティングチームやHR担当など、ディライトワークスの様々な職種の現場スタッフと仕事内容やキャリアについて語り合う機会が得られました。

ローストビーフ、ポークリブ、タンドリーチキン、ソーセージなど肉尽くしのおもてなし。パンやパスタなどもありますが、8割ほどが肉料理とイベントの看板に偽りがありません。日頃、スタッフが利用している社内カフェコーナーにはコーヒーやオレンジジュースなど様々なドリンクも用意。立食形式で好きなだけ食べて飲むことができました。


それぞれのスタッフの下に集まって時間ギリギリまで熱心に話を伺う参加者、聞かれたことを自身の経験を交えながら熱心に答えるスタッフの姿が見られました。
同イベントの終了間際に塩川さんは、「『FGO PROJECT』は社外の方から見ても面白いことをやっていると言っていただくことがあります。ディライトワークスへの入社を考えている方と、ぜひ一緒に歴史的な瞬間を生み出していていきい」と締めくくりました。同日には7月4日に第2回の肉会が開催されることが発表されました。次回は、マーケティングセミナーとして宣伝や広報の広告展開の話を担当者がしてくれるとのことです。
肉会(MEAT MEETUP) Vol.2 FGO PROJECT マーケティングセミナー
https://peatix.com/event/390966/