「ガルム戦記」は、映画ファンの間では知る人ぞ知る作品だ。国際的に知られた押井守を監督に迎え、広大な宇宙を舞台に描かれるSF映画である。いまから15年前、90年代に海外映画関係者も巻き込んだ大作映画として企画されたが、そのプロジェトの大きさから製作休止に追い込まれた。 その後長らく幻の企画とされてきたが、カナダとの国際共同製作により再び動き出す。2014年に『GARM WARS The Last Druid』が完成。東京国際映画祭にてワールドプレミアム上映された。
『GARM WARS』で描かれるのは、ガルムと呼ばれる部族間の抗争が長年続く星の物語だ。ガルムたちは戦いの中で、マスクをかぶり、身体を機械化し、記憶はデータによって受け継ぐ、戦闘に特化した種へと変貌していた。その中で喪われた歴史を探るために天空からの飛来物“セル”の謎に迫る。 映画『GARM WARS The Last Druid』とは、別の視点でSFファンタジーを描く。押井守ファンには外せない一冊だ。
押井守監督は、1951年東京生まれ。テレビアニメ『うる星やつら』や映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』で注目を浴びた。その後、『機動警察パトレイバー劇場版』などのヒットを飛ばす。 海外で広く知られるようになったのは1995年の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のヒットがきっかけだ。2004年には『イノセンス』が世界的な評価を受けた。実写映画では『Avalon』などの代表作がある。 監督としてだけでなく、小説やエッセイも含めた幅広い活躍をする。時には難解ともされる独特の世界観にファンが多い。『GARM WARS 白銀の審問艦』もそんなひとつだ。 本書は巻末にはキャラクターや軍事設定、世界設定といった用語解説を収録する。こちらも見逃せないだろう。作品を理解する一助になるに違いない。定価は1700円(税抜)だ。