1979年のテレビシリーズ放映開始以来、『機動戦士ガンダム』は多くのファンの心を捉えてきた。それだけにシリーズ誕生から30年以上、作品に関連した書籍の数もまた膨大だ。そうしたなかで、とりわけ個性的な一冊がこの5月に宝島社新書より刊行された。多根清史氏による『ガンダムがわかれば世界がわかる』である。本書の特徴は、ガンダム=宇宙世紀の物語から国際政治を語るというものだ。ガンダムに登場する連邦、ジオン公国、さらにその内部、狭間で蠢く政治勢力や構造、経済までを読み解き、さらに実際の国際政治の歴史と照らし合わせる。ギレンの演説とチャーチルやJFKが結びついたり、こんな見方があったのかと驚かされる。一級のエンタテイメントに仕上がっている。アニメから現実の政治を語ることに、“キワモノ”感を持つ人もいるかもしれない、しかし、一度本書を手にすれば、それが大きな誤解であることが分かるだろう。本書は、怖ろしくも真っ当で理路整然と論旨が展開されている。それはゲームやアニメだけにとどまない、そして国際政治を学んできた多根清史氏の博識ぶりに裏付けされている。ガンダムを入り口にした、国際政治入門書に仕上がっている。本書は、2005年8月に刊行された「宇宙世紀の政治経済学」の増補改訂版にあたる。本書を読もうとする人の中には、内容が古くなっているかもしれないと危惧する人もいるかもしれない。これも心配は不要だ。物語としての歴史の魅力がいつの時代に色褪せないように、そしてガンダムが30年以上にもわたり愛され続けるように、ガンダムを通じた政治解釈もまた不変だ。増補改訂も、それを補強する。今回新たにつけられたタイトル「ガンダムがわかれば世界がわかる」は、読者によりアピールするだけでなく、本書の内容を直感的に伝えるものになっている。「ガンダムがわかれば世界がわかる」著者: 多根清史宝島社新書 価格: 840円(税込)
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