「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」 GACKTさんオフィシャルインタビュー(2) | アニメ!アニメ!

「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」 GACKTさんオフィシャルインタビュー(2)

 4月29日に全国公開された『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』が、既に大きな話題を浴び、人気を集めている。映画の魅力のひとつになっているのが、アーティスそして役者としても活躍するGACKTさんの声を演じる魔王マルタザール。
 今回は、そのGACKTさんのオフィシ

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 4月29日に全国公開された『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』が、既に大きな話題を浴び、人気を集めている。映画の魅力のひとつになっているのが、アーティスそして役者としても活躍するGACKTさんの声を演じる魔王マルタザール。
 今回は、そのGACKTさんのオフィシャルインタビューの2回目を紹介する。

『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』 /http://www.arthur-movie.jp/


Q:今回、マルタザールを演じられてみて、「ここが楽しかった」という所があれば教えて下さい。

GACKT:
今回は2作目に当たるわけだけど、3作目への繋ぎになる2作目って非常に難しい立ち位置にあると思うんだ。そういった時、この映画でも言えることだと思うんだけど、キャラクターの魅力をどんどん押していくしかないんだ。そうでないと2作目から3作目へ繋がらない場合も多いから、尚更マルタザールのキャラクター性が大事になってくるんだよ。
子供達が観た時に、「マルタザールってこんなにチャーミングなんだ!?」とか、「こんな抜けてるキャラクターなの?」とか、「こんなにヒューマニックなの?」とかいうところを感じてくれたら嬉しいなって思いながら演じたんだ。

要は、マルタザールもまた子供のまま大きくなってしまったキャラクターじゃないのかなって思うんだ。だから、どこかアンバランスな感じがするし、言ってる事や振りとかは非常に大人っぽいんだけど、やっていることは非常に子供っぽかったり……そういうキャラクター性がマルタザールの面白さでもあるんじゃないかな。

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Q:GACKTさんの中にも、「今も少年の心があるな」と、ご自分で感じられたりしますか?

GACKT:
感じられるというか、子供のまんまだからね(笑)。「こうだ!」と思ったことは絶対にやるしね(笑)。例えば、「いや、それは無理ですよ」って言われて、「ああ、無理なのか」で終わってしまったら、何も面白いことができないでしょ?だけど自分が「これは面白いな。出来ればいいな」って思うものを提案したとき、みんなに「無理だ」って言われた瞬間、「何で?」って聞くからね(笑)。
「だって、こういう理由で…」って言われても「何で?」。「でも、大人の事情で……」って言われても、「何で?」の繰り返し(笑)。そこで「じゃあ、こうしたら?こうしたら?」って、どんどん被せていくと、実はみんなが無理だと思っていることって、実際は無理ではないことも結構多かったりするんだ。それで、どんどん詰めていくとみんな出来る気になっていって、気がついたら出来ていたりするんだよ。

確かに、そこまで行くのはとても大変なことなんだけど、僕の中にあるのは、“大変か大変ではないか”ではなくて、“出来たら面白いよね”っていう部分が原動力になっているんだ。「それは大変ですから」っていうのはだいたい大人の都合だけの問題なんだから。

例えば、雪で雪だるまを作ったり、かまくらを作ったりして遊んだりするけど、大人は「作ったけど、だから何?」っていう話になってしまうということが多いだよね(笑)。出来たら、「よかったよね」っていう気持ちにはなるけど、作っている最中は、崩れたりとかして、すごく大変じゃない。そこに、もし大人が関わってしまったら、子供と違って、しんどいからって途中で諦めたりするんだよ。

でも、子供ってそういうのがなくて、もう無我夢中で作って、作り終わったときに「わぁ!」っていう感動があって、もうそこで疲れて寝ちゃうみたいな所があるじゃない。そこが大人と子供の違いだよね。子供は出来上がることに対して、出来上がった後の喜びに目が行くけど、大人っていうのは、そのプロセスのしんどさに目が行くから、クリエイティブの幅が狭まる。

だから僕は、いつも自分のコンサートとか、色んなものを作るときには、「これ出来たらすごくない?」とか「これ出来たら面白いよね」とか、とにかく結果だけしか言わない。プロセスにあるしんどいことは言わないようにしてるんだ。言うとみんなやめちゃうから(笑)。

Q:今回の『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』でも、そういうことはあったんですか?(笑)

GACKT:
今回は、録ってる最中に、台本に書いてある台詞を言わなかったり、逆に台詞のないところで、勝手に台詞を作ったりしてたね(笑)。そうすると、周りは驚いて「そう来ましたか!?」って感じになるんだけど、「この方が面白くない?」って、マルタザールがスクリーンに映っていない時や、後ろ向きになっている時で、オリジナルだと台詞が入っていないところに、台詞を入れてみたりしてね。

あとは、オリジナルでは、たくさん喋っていても、なるべく喋らないようにしてみたりして、「こっちの方が面白いんじゃないの?」というようなやり取りを常にしていたね。そして最終的に、それがブレてなければOKになる感じかな。

Q:今、『アバター』が世界各国で話題になっていますが、「アーサー」の3DCGの技術には、興味はありますか?

GACKT:
映像に関しては、技術がどんどん先に進んでいっているから、使い方を間違えなければ、面白い作品になると思うよ。ただ、いつも思うのは、1作、それで当たってしまうと、それ以降、似たり寄ったりの作品がどんどん出てきて、「とりあえずやっておこう」みないな感じになって、お腹いっぱいになってしまう傾向があるよね。

ただ、1番最初にオリジナルでやる人達っていうのは、技術屋が嫌がることを言うんだ。「こことか、こうしたら面白くない?」とか言った時に、やっぱり技術屋は「いやぁ…それは……」ってなるんだよ。でも一度そのプラットフォームを作っちゃうと、それを流用できるから、他の映画もどんどん真似していくんだけど、最初のオリジナルがやっぱり一番面白いんだよ。後から出てくるものは、コピーみたくなっちゃうからさ。

そういう意味では『アーサー』に出てくる表現っていうのは、「前衛的な表現じゃないかな」と思うし、リュックとしては、「映像美に感動してほしい」っていうことではなくて、「自然に見せたい」っていう所が大事なんだと思う。「映像すごい!」っていうのは大人の都合で、大人が見てそう思うわけなんだよ。『アバター』とかはそうだと思うんだけど、あれは大人が見て、大人が感動するための映画だからね。だけど、子供の頭の中っていうのは、既に自分が昆虫に乗っていたり、『フランダースの犬』を観た後は、みんな犬に乗れるんだと思って乗ろうとするし(笑)。僕だって、とにかく大型犬欲しいと思ったし、他にもライオンを飼って、ライオンと一緒に生活しようとか思ったりね(笑)。
子供はそういったことが簡単に頭の中で出来るんだよ。それが出来なくなるのは、大人が常識の中で「いや、それは……」っていう大人の都合上の話なわけだから、子供に対しては、その“映像”という部分は、あまりリュックが推したいところではないと思うんだ。

Q:GACKTさんご自身が、子供の視点で観たとき、自分がもしミニモイになれたら、どんな冒険がしたいと思うと思いますか?

GACKT:
子供にとったら全てが冒険なんじゃないかな。だって、子供にとっては、隣の町に行くことだけでも冒険だと思うんだ。僕だって小さい頃は、自分の知らない町へ行くこと自体が冒険だったし、大きな信号を渡ることさえ冒険だった。森の中で入ってはいけないところに入ることさえドキドキしたし、「この見たことのないキノコ食べてみようかな」とか「これ食べたらどうなるのかな」とか、「触ったら変身するのかな」とか(笑)。何か、そういうことを考えるだけでも冒険だったと思うんだ。そう考えると、東京にいる子供達は可哀相だなと思うことはあるよね。田舎の子供達は山に行ったり、川に行ったりとか、そういう経験がたくさん出来るんだけど、東京って都会がベースになっているから、例えば「苺はこういう風に育つんだ」とか、「葡萄はぶら下がってるものなんだ」とか、全然分からない子供達ばっかりだと思うんだ。「葡萄っていうのは、スーパーに置かれて売られてるものなんだ」としか思っていない子供達ばかりなんじゃないのかな。だからこそ、この『アーサー』のような世界っていうのは、そういった子供達の救いでもあると思うんだ。

僕は、想像力っていうのは、子供にとって成長していく上での財産になると思うんだ。だから、その想像力を与える努力を親はしなくてはならないと思うし、今の世の中って想像しなくてもいい世の中になってきてるじゃない?検索すればすぐ知りたいことだって知ることが出来る。でもそれは、あまり知ろうとする気持ちがあるとは思えないんだよね。昔は、自分が知りたいと思うことを知るためには、すごい努力が必要だったじゃない?それで、その上で探せたものっていうのは、自分の財産になって、周りの友達に「実はこれってこうなんだぜ。」って言ったら、「すげぇ!そうなんだ!」ってなるわけでさ。
ところが、今は違うよね。1つの言葉をクリックしても、それはみんなが知っていることだから、知識が財産ではなくなってきてると思うんだ。本来は知識が財産であるべきだと思うし、想像力が子供を成長させる1番の原動力だということを親ももっと分からなくてはいけないと思うんだ。それを与えるための努力をしている親も、今の世の中では、どんどん少なくなってきている。

Q:1つ不思議に思うのは、子供が生まれたりして父親になれば、子供のために何かしたいといって、こういった作品に参加したりすることがハリウッドなどでも多いと思うのですが、GACKTさんは身近に子供と接するような機会がよくあるのでしょうか?

GACKT:
僕の場合は、姉に子供がいて、その子供達と一緒に生活してるんだ。彼らは、僕のことを「お兄ちゃん」って呼んでくれるんだけど、実際の立場は叔父さんなんだよね。でも、「叔父さんって言ったら、ぶっ飛ばすぞ」とかよく冗談で言ってる(笑)。
その成長していく過程を見ている中で、「良くなるのも悪くなるのも、本当に親次第なんだな」って感じるよね。子供っていうのは、「触っちゃダメだ」と言われたものは触りたがるから、例えば、親がピアノを練習させたいと思って、「練習しなさい」ってガミガミ言ったところで、子供はますます反発してやらなくなる。逆に、親がピアノを自分だけ楽しそうに弾くようにして、子供が弾こうとしたら鍵をかける、とかしたら、子供達は「何とか鍵を開けて弾こう」って思うわけじゃない。やっぱり、そういうことが出来る親が少なくなったのを感じるからこそ、こういう作品に携って、「今後、子供達の背中を押せたらな」と思うんだ。
でも、やっぱり子供達の背中を押す1番の先生っていうのは親だから、少なくともこの作品を子供だけで見に行かせるのではなく、大切なのは“親が子供を連れて”映画を見に行ってくれることなんだ。僕はこの映画の中で、「完全に悪です」とか「完全に分かりやすいキャラクターです」とかではなく、隙間をたくさん作って、子供に疑問が残るようなキャラクター作りをしているから、見終わった後に「ねぇ、ねぇ、マルタザールってさ、どうしてああなの?」って、子供は一緒に行った親に必ず聞いてくると思うんだ。だから、「その質問に答えられる準備をするつもりで、親は映画を見に行かないとだめだ」と思ってほしいし、それが1つのコミュニケーションツールにもなってくれると思って僕もこの作品に携っているし、それは僕が選ばれた役割だとも思っている。

Q:GACKTさんの甥っ子さん、姪っ子さんには、今回のことも「お兄ちゃんがこれやったんだよ」と報告されるんですか?

GACKT:
今はもう大きいんだけどね(笑)。でも、こういう作品に携ることっていうのは、子供達にとって嬉しいみたい。それに、子供達だけじゃなく友人などでも、たまたま『アーサー』を見ていたら、聞き覚えのある声だと思って、見たら“GACKT”って書いてあって驚いたらしくて、「今、アーサー見てるんだけどさ!」って電話かかってきたりしてね(笑)。だから、みんな嬉しいみたいだよ。
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