「ザ・スピリット」 アイズナーの名作アメコミをフランク・ミラーが映像化 | アニメ!アニメ!

「ザ・スピリット」 アイズナーの名作アメコミをフランク・ミラーが映像化

 日本のマンガ界にとっての神が手塚治虫であるならば、アメリカン・コミックスの世界でそれに匹敵するのは巨匠ウィル・アイズナーであると断言しても差し障りはないだろう。ウィル・アイズナーは、アメリカン・コミックスの世界により深い物語を導入し、現在、人気の高

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 日本のマンガ界にとっての神が手塚治虫であるならば、アメリカン・コミックスの世界でそれに匹敵するのは巨匠ウィル・アイズナーであると断言しても差し障りはないだろう。ウィル・アイズナーは、アメリカン・コミックスの世界により深い物語を導入し、現在、人気の高いグラフィックノベルスの礎を築いた作家である。
 そのウィル・アイズナーの代表作『ザ・スピリット』が、新次元のスタイリッシュな映像となり現代に甦った。日本では6月6日に全国ロードショーされる映画『ザ・スピリット』である。

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(c) 2008 SPIRIT FILMS, LLC. All Rights Reserved. THE SPIRIT trademark is owned by Will Eisner Studios, Inc. and registered in the U.S. Patent and Trademark Office.

 なぜ2009年の今にウィル・アイズナーなのか?それはこの映画の監督であるフランク・ミラーに負うところが大きい。フランク・ミラーは近年『シン・シティ』や『300』の映画監督で、アメコミ原作映画に全く新たな感覚を持ち込んだことで知られている。
 大ヒット作となったこれらの作品は、モノクロームの世界に浮き上がるビビッドな色彩、あたかもコミックスの世界がそのまま実写に置き換わったかのような映像が特徴だ。それは、自らも『デアデビル』シリーズや『バットマン:ダークナイト・リターンズ』や『シン・シティ』などで、コミックスのアーティスとして活躍するフランク・ミラーならの表現だ。

 それまでの勧善懲悪のアメリカのコミックス界により物語性を導入したフランク・ミラーは、米国コミックス界の革命児であり、いま最も熱いアーティストでもある。
 そのフランク・ミラーの源流にあるのが、いまから70年も前にコミックスとドラマの融合を目指したウィル・アイズナーの『ザ・スピリット』である。フランク・ミラーは『ザ・スピリット』の中にあるエンタテイメントの本質を現代にアレンジし、人々の前に差し出す。

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(c) 2008 SPIRIT FILMS, LLC. All Rights Reserved. THE SPIRIT trademark is owned by Will Eisner Studios, Inc. and registered in the U.S. Patent and Trademark Office.

 『ザ・スピリット』の主人公は、刑事デニー・コルト。覆面で顔を隠すだけの彼は、超人的な能力があるわけでない。ただ、彼は死なない。何度でも甦る。その決して死ぬことのない特異な能力だけを持つスピリットとして街を守り続ける。
 その中でスピリットは宿敵であるマッドな犯罪者オクトパスと「ヘラクレスの血」の秘密をめぐる争いに巻き込まれる。やがてスピリットの明かされて行く自身の驚くべき過去とは。怒涛の物語が展開する。

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(c) 2008 SPIRIT FILMS, LLC. All Rights Reserved. THE SPIRIT trademark is owned by Will Eisner Studios, Inc. and registered in the U.S. Patent and Trademark Office.

 また、『ザ・スピリット』では、『シン・シティ』で見られたモノクロームと強烈な色のコントラストがさらに進化している。それはコミックス的であると同時に、時にはマンガ的なモノトーンの世界でもある。
 それはフランク・ミラーが日本のマンガからも大きな影響を受けているためなのかもしれない。時代や国境を越えた映像表現の場が、『ザ・スピリット』だ。

 過去数年、米国では再びアメリカン・コミックスを原作としたビッグムービーが相次ぎ人気を集めている。『ダークナイト』や『アイアンマン』、『インクレディブル・ハルク』といった作品だ。
 そうした作品が大ヒットする背景には、従来のアメコミ原作にはなかった深い人間ドラマが盛り込まれていることが指摘される。しかし、そうしたアメコミにおけるドラマ性の重視は、今に始まったものでなく、既にウィル・アイズナーの初期の作品に盛り込まれていた要素だ。だからこそ現代のコミックス原作映画を知るために、ウィル・アイズナーを振り返ることがいまは重要なのだ。 

thesprit_poster.jpg『ザ・スピリット』 
公式サイト:/http://www.thespirit.jp

6月6日(土)渋谷東急、新宿ミラノ座ほか
全国ロードショー
ワーナー・ブラサース映画配給

監督/脚本 :フランク・ミラー

【キャスト】
スピリット: ガブリエル・マクト
オクトパス: サミュエル・L・ジャクソン
シルケン・フロス: スカーレット・ヨハンソン
サンド・サレフ: エヴァ・メンデス
エレン: サラ・ポールソン
上映時間:103分

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