世界に向けて盛り上がった Anime Songs Night TAM2008 | アニメ!アニメ!

世界に向けて盛り上がった Anime Songs Night TAM2008

 10月16日、東京・品川ステラ・ボールで、人気アニメソングのアーティストが集まった「TAM Showcase Live! Jump Into The World Anime Songs Night!」が開催された。出演アーティストは6組、タイナカサチ、May'n、ALvino、美郷あき、栗林みな実、井上あずみという驚く

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 10月16日、東京・品川ステラ・ボールで、人気アニメソングのアーティストが集まった「TAM Showcase Live! Jump Into The World Anime Songs Night!」が開催された。出演アーティストは6組、タイナカサチ、May'n、ALvino、美郷あき、栗林みな実、井上あずみという驚くほど豪華なメンバーである。
 2時間あまりにわたったライブは、最初から最後まで熱気と興奮が途切れることがなく、アニメソングとそれを歌うアーティストたちの圧倒的なパワーと人気を見せつけた。

 実は、この会場を埋め尽くした観客は全て無料で招待されていた。豪華なアーティスト陣による、無料ライブというユニークな企画である。これが実現したのは、今回のライブが第5回東京アジア・ミュージックマーケット(5TH TAM)のプログラムのひとつであるからだ。
 TAMの目的は、日本の魅力あるアーティストや音楽を広く海外に発信していくこと。今回のライブは、欧米、アジアの音楽ビジネスの関係者を招き、日本の最新の音楽シーンを体感して貰うという目的がある。
 今回、日本アーティストによるライブプログラムは3つ、そのうち1つが「Anime Songs Night」である。日本の音楽界のアニメを媒介にした世界発信への期待の大きさも感じられるものだ。

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 そうした海外に向けて音楽を伝えることを最初にステージにあがったタイナカサチは、強く意識していたようだ。まず、人気アニメ『Fate/Stay night』の「disillusion」で登場したタイナカだが、2曲目には洋楽、中国の曲、韓国の曲とミニワールドツアーと題したメドレーを紹介。
 既に韓国ライブを成功させているだけに、日本の曲だけでなく、英語もアジアの曲もこなせることをさりげなくアピールする。今後の世界展開も期待出来そうだ。関西弁のやわらかい口調のMC、ラストの「最高の片思い」で高らかに歌い上げるハイボイスが大きな印象を残した。

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 続いて登場したMay'nは、アップテンポな曲で統一。自身が歌を担当する『マクロスF』のシェリル・ノームのような迫力で、その『マクロスF』から「ノーザンクロス」、「インフィニティ」、「射手座☆午後九時 Don't be late」を披露。
 11月にシンガポールの大型アニメイベントでライブ開催も決まっているMay'nだが、今回はいち早い海外への音楽発信になったに違いない。

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 アニメと音楽が最も強く結びついていたのは、続く美郷あき、そして栗林みな実だった。美郷あきの曲は『舞-HiME』から「君が空だった」、『怪物王女』の「BLOOD QUEEN」、『ストロベリー・パニック』から「少女迷宮でつかまえて」である。
 いずれもバックスクリーンにアニメの映像も交えつつだから、会場は盛り上がる。そして作品に登場する可憐で清楚なイメージを持つヒロイン達は、美郷あきのイメージともまた重なる。その美郷は曲が始まると驚くほどパワフルに歌いあげる。自身のキャラクターと音楽、映像を巧みに演出出来るのが美郷あきの魅力なのかもしれない。

ms.kuribayashi.JPG 栗林みな実も、アニメソングとのコラボレーションが豊富なアーティストだ。栗林の曲は『Next Season』(『君が望む永遠~Next Season~』)、「Shining☆Days」(『舞-HiME』)、『Crystal Energy』(『舞-HiME』)の3つ、こちらもアニメ作品のイメージ作りに大きな役割を果たしている曲ばかりである。
 アーティスとしてだけでなく、声優にパーソナリティに活躍する栗林だけに、今回のライブをきっかけにその活動が今後ワールドワイドに広がって行くかもしれない。

 ALvinoが歌う『ココロフィルム』は、日本テレビ系で今年春から放映された『秘密 ―トップ・シークレット―』のオープニングだ。
 今回出演する唯一の男性アーティストであり、ゲストの中では、アニメとの関わりは一番薄く感じられたが、観客の心を見事につかみ盛り上がっていた。

 最後の井上あずみは、国民的アニメと言えるジブリ映画の『天空の城ラピュタ』から「君をのせて」、『となりのトトロ』から「さんぽ」、「となりのトトロ」で会場全体を一瞬、童心の戻した。
 さらにNHKのテレビ番組「みんなのうた」から「ハーモニー」、美術家村上隆の制作する不思議なアニメ作品『kiaikai Kiki』のテーマ曲と、アニメソングと日本アニメ自体の幅の広さを感じさせるライナップで締めくくった。

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 しかし、今回驚いたのは特定のアーティストだけのファンも少なくないと思われるのに、ほとんどの観客がいずれのアーティストにも同じ様に大きな声援を送っていたことだ。このためライブの熱気は、最初から最後まで全く途切れることがなかった。
 アーティストにそうした観客を十分満足させるだけに実力があるのは言うまでもないのだが、アニメソングのファンの同じアニメソングを歌うアーティストとそのファンたちへの強いリスペクトを感じさせるものだった。
 また終わって見れば2時間余りの時間であったが、体感時間ではもっと長く感じられた。これは、アーティスト一人ひとりのステージの密度が非常に濃かったためだ。

 ライブの盛り上がりから、やや離れてビジネス的な視点に戻ると、今回のアーティスト達はそれぞれの音楽制作会社がいま最も海外に売り出したいアニメソングを歌うアーティストとして選ばれている。
 実際に昨年の「Anime Songs Night」の出演者には、JAM Projectや桃井はるこ、石田燿子など海外での積極的な活動をするアーティストが多い。今回の6組のアーティストも今後海外での大きな活躍が期待されているに違いない。

第5回東京アジア・ミュージックマーケット /http://tamm.jp/
《animeanime》
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